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第62話-2:勝つのは、俺たちだ

「姫様! 加護の力を全てバルバルに!」

「合点承知でしてよ!」


 ティロの動きを封じた今、もはや操りに怯えることもない。姫様の光の加護は全て、バルバルへと注がれた。

 (まばゆ)い光のバリアがバルバルを覆う。その輝きはどんどん増していき、中のバルバルが見えないほどの強い光球となった。


「行っけええええ!!」

「ウオオオオッ!!」


 光球が黒球へと突っ込み、激しくぶつかり合った。闇の魔力と光の魔力がしのぎを削り、闇と光の火花を散らしている。

 王家の正統なる後継者の姫様と、同じく王家の血を引く者でありながらゼノの幹部でもあるティロ。両者の魔力のどちらが勝るのか、その雌雄が今、決しようとしていた。


「小癪な……!」


 なんと、ここでティロが魔力の出力を上げてきた。黒球の闇はより一層深まり、光球を端からじわじわと呑み込み喰い尽くさんとする。


 だが、それを見てもシマノは一切動じなかった。


「勝つのは、俺たちだ」


 シマノがその言葉を発した次の瞬間、光球が黒球の勢いを巻き返した。


 ……シマノは知っていた。ウインドウの、キャンのステータス。金色の指輪を装備したキャンに付与された、光属性のマーク。それをタップすると、属性間の相性を示す表が出現する。


 その表が示す事実。()()()()()()


 光球はそのまま黒球を押し流し、強い光の中に押し込めてしまった。


 一瞬、誰もが目を閉じるほどの強烈な閃光が地底を照らすと、そこには黒球を失ったティロ――筋骨隆々な光の勇者(マッスル・キャン)に羽交い絞めにされた哀れな少年――が呆然と姿を晒していた。


「馬鹿な……このボクが……」


 ティロの溢した呟きが虚しくシマノの耳に届いた。


「終わりだ、操師ティロ」


 シマノの言葉に合わせ、光の加護を得たバルバルの巨斧が、ティロを真っ二つに裂かんと振り下ろされた。


「そこまでです」


 今一番聞きたくない声が地底に響く。バルバルの斧の一撃は、無数の黒い腕によって阻まれてしまった。

 それらの黒い腕は、ティロの足元に出現した魔法陣から伸びている。かつて大蜘蛛化したセクィを救出したときと同様、エトルがティロを救出しようとしているようだ。


 斧を止めた黒い腕たちは、続いてティロと筋骨隆々な光の勇者(マッスル・キャン)を捉えると、あっという間に魔法陣の中へと引きずり込んでしまった。


「あっ」


 あまりにもとんとん拍子に事が進んだためシマノはついうっかり見送ってしまったが、よく考えれば緊急事態である。

 せっかく追い詰めたティロにとどめを刺せず、しかも貴重な指輪とキャンまで奪われてしまった。


 ……と思っていると、何故か再び魔法陣が出現した。数本の黒い腕が、魔法陣の中から何かを懸命に引き上げようとしている。


 やがて、その何かがポイっと外へ吐き出された。筋骨隆々な光の勇者(マッスル・キャン)だ。光っているので、指輪も無事だろう。


「ふぅ~助かったぜ~!」


 呑気なものである。まだ先ほどの声の主エトルがどこに潜んでいるかわからないというのに。シマノだけでなくバルバルも同じ考えのようで、二人は暫く周囲を見渡し警戒を続けることにした。


 だが、結局エトルはそれきり一言も話さず、特に攻撃を仕掛けてくることもなかった。ただ単に魔法陣越しに一声送ってきただけだったのかもしれない。


 何はともあれ、煮え切らない結末とはなったものの、シマノたちは見事操師ティロを撤退させることに成功した。これは大金星といっていい結果だろう。


「とりあえず一件落着ってとこか」

「……シマノ、私たちのことを忘れては駄目」


 幾分冷たく聞こえるその声に恐る恐る振り返ると、ユイが呆れたような目でこちらをじっと見ている。

 そういえば、王都正規軍の皆様の対処を完全に任せきりにしていた。ユイの後ろでは、ムルと地底民たちも同じくこちらをじっと見ている。


「やっべー、すっかり忘れてた(もちろん、ちゃんと覚えていたさ!)」


 今日もシマノの心の声は駄々洩れである。


 ティロが去ったことで王都正規軍の皆様は操り状態が解け、そのまま姫様の命令で撤退。赤い鎧の黒猫騎士も他の兵士たちとともに引き上げていった。


 これにて、ようやく地底に平和が訪れた。


「LEVEL UP」


 なんと、王都正規軍と戦った分の経験値が入り、久々のレベルアップを果たすことができたようだ。


「『KOUKANDO』

新しいスキルを習得しました」


 好感度。ここへきて突然のローマ字である。そのぐらい調べろよ、とシマノはこれを入力したであろう過去の自分にツッコミを入れる。


「待てよ、ツッコミ入れてる場合じゃないぞこれ」


 シマノはハッと我に返った。もしかしてもしかすると、とうとうパーティメンバー間の好感度を確認できるスキルが手に入ってしまったりなんかしちゃったりしているのではないか。


 とにかく一刻も早くスキルの全容を確かめたい。逸る気持ちをこれ以上抑えきれそうにない。

 幸い、みんなは地底に訪れた束の間の平和を楽しみ、和気藹々と過ごしている様子だ。誰かに見つかってしまう前に、急いでこっそりスキルを使っておかなくては。


 シマノは一つ深呼吸をし、好感度のスキルを静かにタップした。

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