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第62話-1:勝つのは、俺たちだ

「来てくれたか、バルバル……!」


 王都正規軍の皆様の対処をユイに任せ、シマノはキャンたちとティロが戦っている場へと駆けつけた。

 そこでは、ラケルタの森の長バルバルと操師(あやつりし)ティロが対峙していた。


「ルナーダ? ……ああ、あれか。せっかく強そうな身体を選んだのに、思ったより早く壊れちゃって拍子抜けだったよ」


 相手がリザードマンの長であろうと関係なく、ティロは容赦なく挑発していく。

 だが、バルバルは動じない。虎視眈々と攻撃の機会を窺っている。


 二人ともこちらに気づいていないのだろうか。それなら、とシマノは倒れたキャンたちを助けるべく近づこうと考えた。すると、それを拒むかのように、斧でかき消された黒い炎が蘇る。


「うわっ、目ざといやつだなー」


 仕方なく一旦救助は諦め、シマノはバルバルとティロの戦いの行方を見守ることにした。


「バルバルの……オッサン……!」


 動けないほどのダメージを負って地に伏していたキャンが、バルバルの登場に顔を上げ、息も絶え絶えに声をかける。


「おう、獣のガキ。あっちの嬢ちゃんからだ。受け取れ」


 バルバルがそれに反応し、きらりと光る何かを投げて寄越す。それは、ワープのためユイに装備させていた指輪だった。


「あーっ! オレの指輪!」


 いったいどこにそんな大声を出す元気が残っていたというのか。キャンは一目散に指輪を装備した。

 キャンの全身がほんのりと発光する。それを初めて見たバルバルはつい呆気にとられた。


「お前ェ、それ……」

「うおおおお! 何か元気出てきたぜ!」


 指輪の力でステータスがアップしたからか、スワップで防御を上げていたからか、或いはただの単純馬鹿なのか。

 いずれにせよキャンは元気いっぱい……とまではいかないものの、辛うじて身動きがとれる程度にまでは回復したようだ。


 光るキャンを見たティロは、可笑しくて仕方がないといったふうに笑い出した。


「あっはははは! 今どきの勇者ごっこは随分()()()なんだね」

「ごっこじゃねーし! お? もしかして、羨ましいのか?」

「ははっ……冗談だろ?」


 言うが早いかティロは再び詠唱を始めた。さすがにもう一発上級術を喰らってしまえば、キャンもウティリスも戦闘不能に陥りかねない。


 その時、バルバルが動いた。すぐさま前に出ると石の盾に弾かれ地に落ちていた巨斧を拾い、さらに前進して一息に距離を詰め、ティロに一撃加えんとその巨斧を下から振り上げた。


 ティロが詠唱を中断し、斬撃を躱す。そこに間髪入れず、バルバルは振り上げた斧を今度は力いっぱい振り下ろした。


「くっ……」


 こちらも何とか躱したティロであったが、術の詠唱は完全に中断してしまった。


「邪魔な奴だなぁ。ボクはこいつらと遊んでやってるんだ。横から割り込むなよ」


 そう言うとティロはまたしても闇の加護を発動する。これがある限り、こちらの攻撃は一切ティロまで届かない。


「そうはさせねー!」


 いったいいつ移動したというのか、キャンはティロの背後に回っていた。そして素早くティロに飛び掛かると、なんと闇の加護で生成された黒球の中に入り込んでしまったのだ。


「馬鹿っ、何をする、離せっ!」


 黒球の中で何が起きているのかは不明だが、ティロとキャンの争う声に合わせて時折光が漏れ出している。キャンの指輪の力だろうか。


 しばらくバタバタと暴れるような音がした後、突然キャンの声が響き渡った。


「捕まえた!!」


 黒球の中から届いた嬉しそうな報告にシマノは目を見張った。何が起きているのかはさっぱりだが、恐らくキャンがティロの身動きを封じたと考えるべきであろう。


「くそっ、離せこの馬鹿!」

「や……だね……!」


 どうしたことか、先ほどの報告とは打って変わりキャンの声は非常に苦しげである。


「『力』不足だ」


 ティロを捕まえておくだけの力がキャンには備わっていないのだ。そのことに気づいたシマノは急いでウインドウを確認する。

 ステータスを見ると、キャンにかけていた防御のスワップは効果が切れていた。スワップチャンスだ。今この場において、最も効果的なスワップ対象は誰か。


「ここしかないっしょ!」


 シマノは迷わずその値をタップした。


「うおおおおおおおっ!?」


 黒球の中からキャンの困惑交じりの雄叫びが響いてくる。それと同時にティロの怯えたような声もかすかに聞こえてきた。


「なっ、何だ? 筋肉が……!? ぐっ……動けない……!」


 キャンとティロの見えない攻防に、バルバルは斧を構えたまま戸惑っている。


「いったい何が起きてやがる……?」

「教えてやるよ、バルバル。俺がキャンとウティリスの『力』を『入れ替え』たのさ」


 突然背後から発せられた声に驚きシマノを見たバルバルは、次いでその視線を倒れている従者へと移した。


「……痩せてやがる」


 従者ウティリスの誇る流々とした筋肉は、完全に(しぼ)みきっていた。つまり、それだけの筋肉が今キャンの元に集っているということだ。


「おーいシマノー! オレ、なんかすげーかもー!」


 黒球の中で声しか聞こえないのが非常に残念ではあるが、全身ムキムキになった上に光を発しているキャンが、恐らくティロを羽交い絞めか何かにしているといったところだろうか。


「いいぞーキャン! そのまま押さえといてくれー!」


 とりあえずキャンに指示を飛ばし、シマノはさらにバルバルにも声をかける。


「バルバル、アンタにしか頼めない仕事だ。今ここで、ティロとの戦いにケリをつける」

「……わかったぜ、任せな」


 バルバルが頷いたのを見て、シマノは次の行動を開始する。

今回の好きなゲーム【ピクミン】

あの頃のめちゃくちゃ強くていかにもラスボス!って感じのダイオウデメマダラが好きだった

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