第41話-2:娑婆の空気は格別にうまい
工房を後にしたシマノたち一行。
改めて街を見渡すと、確かに初めて来たときよりも活気があるように見える。
地底からまた鉱石が届くかもしれないという噂がそのまま期待感となり賑わいをもたらしているのだろう。
ここで、この後の行動について一度仲間たちと共有しておいた方がよさそうだ。
「さて、この後どうするかなんだけど」
「なーなーシマノ、オレ喉乾いた。酒場行こーぜ」
「このキッズめ……」
つい苛立つシマノをニニィがまぁまぁと宥めてくれた。せっかくだし、話がてらちょっと寄り道していこう。
***
未成年向け飲料で乾杯を済ませると、シマノは改めて今後の行動について仲間に打ち明ける。
「改めて、まずはバルバルを助け出す」
「なら、私が」
「いや、俺が行く。万が一城で何かあっても、ユイなら俺の居場所を探知できるだろ?」
論理的に考えれば、これが最適解だ。にもかかわらず、ユイはまだ何か言いたげに口ごもっている。
「……シマノ、大丈夫?」
どうやらシマノの気持ちを案じてくれているようだ。ここで怖くない、と言ってしまえば嘘にはなるが、これ以上ユイに心配をかけるわけにもいかない。
「平気平気。いくらバルバルでも助けてもらうまでは下手なことしてこないって」
「なら、いいけど……」
ユイはとても納得したとは思えない様子だったが、それでもシマノがバルバルを助けに行くことを了承してくれた。
「じゃ、行ってくる」
念のため酒場を出ると、シマノは人通りのない路地裏へと移動した。周囲を見渡して誰もいないことを確かめてから、ウインドウでマップを開き、地下牢のピンをタップする。
すると、視界が眩い光に包まれ、次の瞬間には地下牢の前に立っていた。
「うォッ!? なッ、何だァ!?」
光とともに突然目の前に姿を現したシマノに、バルバルが激しく動転している。
「しーっ静かに! 今開けるから、ちょっと待って」
バルバルを一旦落ち着かせると、シマノはあの時姫様がしていたように、牢の格子戸に手の甲を近づけてみた。
すると、シマノの手の甲に小さな魔法陣が浮かび上がる。その直後、ガチャリと音を立てて格子戸の鍵が開いた。
無事認証機能が動作したことにホッと胸を撫で下ろし、シマノは手を差し伸べる。
「さ、早く!」
その手を、バルバルが躊躇いを見せながらも取った。リザードマンの手の大きさとゴツゴツした鱗に若干の恐怖を抱きつつ、シマノは再びウインドウを開き、バルバルとともにファブリカへと舞い戻る。
***
「うおーっコイツがトラのオッチャンが言ってたバルバルかー! すげー! でっけー!」
獣キッズが大はしゃぎである。バルバルは尻尾を振り回しながら周囲をウロチョロ駆け回る子犬に面食らっているようだ。
一方シマノはファブリカ住民たちの奇異の視線が気になって仕方なかった。騒ぎになる前にさっさと街を出た方がいいかもしれない。ムルとも合流したいところだ。
とりあえずファブリカから出ようと考え、シマノは仲間たちとバルバルを連れて街の入口へと足を運んだ。
「ムル、まだ戻ってないみたいね」
ニニィの言葉通り、街の入口にムルの姿はなかった。
厄介な状況かもしれない、とシマノは焦りを覚える。ムルとはここで落ち合う約束をしている。つまりムルが戻ってくるまで出発することが出来ないのだ。
「私が様子見てこようか?」
ユイの親切に甘え、シマノは指輪を渡すことにした。
しかし、それはそれとして二人が戻るまでの間どこかで時間を潰さなくてはならない。日も傾いてきたし、なるべく早く本日の寝床を確保する必要がある。
探知があるため、こちらがファブリカを離れ多少移動していても構わないというのはせめてもの救いだった。
指輪でワープするユイを見送り、シマノたちはバルバルを連れて時間を潰せそうな場所を探すことにする。
すると、ニニィがスッとシマノの隣に立ち、耳かして♡と上目遣いに甘えた声でおねだりしてきた。シマノはそれにまんまと乗せられ、特に何も考えることなくしゃがんで耳を貸す。
「……ねぇねぇシマノ、おねぇさんがイイ場所教えてあげる♡」
大人のおねぇさん(自称)の怪しすぎる耳打ちに困惑を隠せないシマノであったが、一先ず話だけでも聞いてみることにした。
「ココよ♡」
ニニィに案内され辿り着いたその場所は、ファブリカからほんの少し「始まりの街イニ」の方面に歩いた先。林の中にぽっかりと空いた、キャンプにうってつけのちょうどいい空き地だった。
「今日はここでキャンプして、二人の帰りを待ちましょ♡」
シマノたち一行はニニィの意見に賛同し、いそいそとキャンプの準備を始めるのであった。
今回の好きなゲーム【マリオパーティ3】
上下分割の画面で競争するミニゲームだけ異様に覚えてる
↑A↓A↑B↓B爆速で入力するの楽しかった




