表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/53

第39話-2:トカゲは二足歩行しなくても怖い

 地下牢を通過し、細く暗い階段を上がると、王城のメインホールらしき場所に出ることができた。驚くべきことに、見張りの兵士らしき姿はどこにも見当たらない。


「相変わらず、中に入りさえすればあとはザルなんだな……」


 呆れ半分に呟きつつ、シマノは仲間たちとともに王様がいるであろう謁見の間へと向かう。


 謁見の間には、シマノとあまり変わらない年齢に見える人物が一人で座っていた。


「えっ……一人?」

「シマノ、気をつけて。姿が見えないだけで周囲に何人も隠れている」


 急いでレンズをかけると、ユイの忠告通り、無数のHPバーが広間のあちこちに表示された。臨戦態勢の護衛がいたるところに隠れ潜んでいるということだ。


 つまり、護衛たちに囲まれているこの人物こそ、このアルカナの王であると考えて良さそうだ。シマノと同年代にしか見えないが、これで姫様の父親だというのだからエルフ族というのは恐ろしい。


「誰か? 名乗られよ」


 王と推定されるその人物が口を開いた。シマノが条件反射的に前に出て返事をする。


「シマノと言います! 凡人です!」


 やってしまった。キャンが勢いよく噴き出した。ニニィも俯き、肩を震わせている。


「元気で身の程を弁えた、善い返答だ。して、何ゆえお前たちがここにいる?」


 王は特に表情を変えることなく用件を促した。笑わなくてもいいからせめてツッコんでほしい。

 しかも、王はツッコむことなくさらに話を続ける。


「お前たちは余の娘にあたる第一王女を(かどわ)かした罪で服役中の身と聞いているが?」

「誤解なんです! 俺たち、いきなり捕まったところを姫様にお助けいただいて……右も左もわからないまま連れていかれて……」

「ほう、即ちお前は王女の憐憫に付け込み脱獄に利用した挙句無断で城外に連れ去った上で無実を訴えたいと、そう申しているのか?」


 ……何を言っているんだこの人は。シマノは頭を抱えた。


 確かに王の言う通り、ただ事実だけを辿っていけばそうなってしまうかもしれない。

 だが、それらの行動は全て姫本人の意思で行われたものなのだ。それをどうやってわかってもらえばいいのだろう。


「王様、発言をお許しいただけるかしら?」

「良い。申せ」


 シマノの様子を見かねたのか、ニニィが前に出て進言する。


「まず、お姫様から直接お話を聞いていただけないかしら? お姫様に聞けば、あたしたちが無理やり連れ去ったんじゃないってお分かりいただけると思うわ」


 ニニィはそこで一旦言葉を切り、長い桃色の髪を耳にかけた。そしてふぅと小さく息を吐くと、再び王に語りかける。


「それにね、あたしたちは元々、地底からの正式な橋渡し役としてここに来たのよ。なのに、訳も言わないでいきなり地下牢に閉じ込めるだなんて、あんまりだと思わない?」

「そうか。まずは使者に対する非礼を詫びよう。お前たちがそこまで言うのなら、余から娘に意見を聞いてやらんこともない」


 意外にも、ニニィの非難を王はすんなり受け入れた。しかも、姫様から直接話を聞いてくれそうな勢いである。


「して、橋渡し役よ。地底の鉱石は再び採掘出来る状態になったと聞いたが、(まこと)か?」


 王があっという間に話題を変えてきた。なるほど、狙いは鉱石の供給確保か、とシマノは一人感心する。

 地底の鉱石についてはムルが返答していく。


「そうだ。だがお前たち王家に使わせるつもりはない。我はそれを伝えに来たのだ」

「お前は地底の民だな。好い、言い分を申してみよ」


 ムルの無礼と取られてもおかしくはない返事にも王は寛大であった。いや、寛大というよりは無関心の方が近いかもしれない。

 王の様子に薄ら寒いものを感じつつも、シマノは王とムルのやり取りをそっと見守る。


「ティロという者は、お前の息子か?」

「あれは最早王位継承権を有しておらぬ。息子とはいえんな。血縁の有無でいえば息子に相当するが。それが鉱石と関係しているのか?」

「奴の能力だ。我ら地底民を意のままに操る。あの力は、お前たち王家が与えたものか?」

「知らんな。確かに、お前たち地底の民を操る(すべ)は我ら王家に代々伝わる秘術である。だが、あれにその教えを与えたことはない」


 やはり王家には地底民を操る術が伝わっていた。ティロの術に直接は関係なかったとしても、間接的に何らかのヒントを与えてしまった可能性はありそうだ。


「我らは、奴のような能力を使う者に操られ、主を殺してしまった。もしお前たち王家がそれに関与しているならば、我らは二度と地上に鉱石を送らぬ」

「ほう、言い分は以上か? 鉱石を差し出さぬというなら、王家に対する反逆と見做し全ての地底民を殲滅することとなるが」

「なっ……」


 あまりにも一方的すぎる発言にムルが言葉を失っている。シマノもこれには困惑した。本当に、何を言っているんだこの人は。

 他の仲間たちもそれぞれ驚き呆れているようだ。


「ハァ!? 何言ってんだよ王様! そっちが先にひでーことしたからムルたちが怒ってるんだろ!?」

「そうよねぇ。いくら王家だからって、ちょっとワガママすぎるんじゃないかしら?」


「お父様! わたくしも納得がいきませんわ!」


 なんと、ここにきて姫様の乱入である。予想外の事態にシマノと仲間たちは思わず動きを止め、声のした方を振り返った。


「かつて過ちを犯してしまったのであれば、謙虚に受け止め、再発を防ぐべきではありませんこと?」


 姫様のごもっともな発言に、ニニィもキャンも大きく頷いている。

 王はそれを見て、何か思うところがあったようだ。


「お前たちは大きな勘違いをしているようだ。良い、かつて何が起きたか、実際にこの目で見てきた余が全て教えてやろう」


 なんと、王自らこの世界(アルカナ)の歴史を紐解いてくれるらしい。ストーリーの根幹に関わる会話イベントの発生に、シマノは胸を高鳴らせるのであった。

今回の好きなゲーム【新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女】

旧1をやっていないので、初めてのエトリア 五層BGMが好きすぎる FM音源の方が好き

新要素はM.I.K.E.が可愛くてとても良かった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ