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第37話-2:ドキドキ♡川下り

「……で、これはいったい?」


 次の日、獣の町を出たシマノたちの目の前には、川。そして、筏があった。


「獣の町名物『ドキドキ♡リーヴ(がわ)下り』さ! 楽しんでっとくれ!」


 キャンの母ジェニィがドンと胸を叩く。名物というわりに手作り感満載の粗末な筏が、シマノの不安を募らせる。


「これ、大丈夫なやつです……?」

「おっ? ビビってんのかシマノ?」


 キャンがここぞとばかりに尻尾を振り回しながら煽り倒してくる。鬱陶しいこと極まりない。


「別にビビってるわけじゃないけど……どうしても乗らなきゃ駄目か……?」

「獣の町から王都に向かうなら、このリーヴ川を下るのが最速」


 ユイに淡々と告げられ、シマノはいよいよ退路を失ってしまった。


「筏は二つあるからね! 好きな方を使っとくれ!」

「よーし競争だシマノ! オレこっち!」


 言うが早いかキャンが筏の一つに飛び乗る。キャンの乗った筏は大きく、残された筏はかなり小さい。


「俺、こっち? 狭くない?」


 渋々乗ってはみたものの、シマノ一人だけでほぼ満席状態である。


「じゃああたしはキャンの方に乗るわね♡」

「我もだ」


 仲間たちが次々とキャンの筏に乗り込んでいく。


「ちょっと待った! 一人は寂しいんですけど!?」

「じゃあ、私が」


 ユイがシマノの筏に乗ってくれた。小さな筏は二人分の重さに何とか耐えてくれているが、いつ沈んでもおかしくない状態だ。


「本当に大丈夫かこれ~!?」

「問題ない。行こう、シマノ」


 何故か自信満々のユイに促され、シマノは筏に積まれていた櫂を握りしめる。キャンの方をチラリと見ると、向こうも櫂を持ってやる気満々のようだ。


「おっし! 行くぜ! よ~~~~い、スタート!!」


 シマノとキャンの筏はそれぞれ川の流れに乗って進みだした。後方から「気をつけて行くんだよー!」とジェニィの声が響く。


 さあ、川下りの始まりだ。まずはスタートダッシュとばかりに、キャンが目にも留まらぬ速さで櫂を漕ぎ筏を進めていく。


 一方のシマノは慎重な漕ぎ出しとなった。狭すぎる筏に無理やり二人乗っているため、沈まないようバランスを取るので精一杯なのだ。二つの筏の距離はあっという間に離れていく。


「シマノ、遅えーーーー!」


 キャンが櫂と同じぐらいの勢いで尻尾を振り回し、にやけ顔で何度も何度もこちらを振り返っている。腹立たしいことこの上ない。


「くっそー……これだからキッズは……」

「シマノ、落ち着いて。あのペースを維持するのは無理。すぐにスタミナ切れを起こすから、そこを狙おう」


 ユイの言葉通り、キャンはあっという間にスタミナ切れを起こし、ぜえぜえと情けなく息を切らしている。代わりにムルが漕いでいるようだが、スピードはさほど速くはない。


「シマノ、チャンス!」

「よーし、今度はこっちの番だ!」


 シマノの櫂を握る手に力がこもる。とはいえ、川の流れは速く、シマノたちの小さな筏はただその流れに乗るだけで精一杯だ。

 それでも何とか前進し、ムルの漕ぐ筏へあと一歩のところまで追いついた。


「あらぁ、追いつかれちゃったわよ?」

「やべっ! 交代だ、ムル!」

「わかった。気をつけろ、この先は岩が多そうだ」


 漕ぎ手がキャンに交代し、またしても差が開いていく。これ以上離されてなるものかと、シマノも必死で食らいついている。


「シマノ、前方に分かれ道あり。片方は狭くて危険だけど流れが速い。もう片方は広くて安全だけど流れが遅い」

「そんなの、狭い方に決まってるっ!」


 せっかく小さな筏に乗っているのだ。ここで狭い方を選ばなければ勝ちはない。

 キャンたちが広い方に向かったのを見届け、シマノは狭い方へと舵を切った。


「うわああああ速っ怖っ!!」


 シマノたちの筏は、狭い川幅の急流をものすごいスピードで下っている。先程までとは比べ物にならないスピード感、そして前方のあちこちに突き出ている岩に泣きそうになりながら、シマノは懸命に筏を操った。


「あー……走馬灯見えそう……」

「シマノ、気を抜いては駄目。しっかり」


 シマノの脳裏に、失われていた記憶がぼんやりと浮かび上がってきた。そうだ、俺、この川下りミニゲームやったことあるわ……確かこの先……。


「……ヤバい!!」


 シマノは思い出した。この先、分かれ道が再び合流する地点の、その手前。両サイドを切り立った崖に挟まれている急カーブで、そのイベントは発生する。


 崖の一部が崩れ、巨大な岩が頭上から降ってくる――落石イベントだ。

今回の好きなゲーム【ファイアーエムブレムif】

楽しかった~ 全ルートやりました!

暗夜の戦闘がずっと楽しくて良かった

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