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第32話-1:操師ティロ

 ユイとニニィがゼノのアジトから指輪の力でワープすると、そこはファブリカの端、地底へとつながる入口のある場所だった。

 周囲に人の気配がないことを確認し、ユイはすぐに先程までのことをニニィに問い詰める。


「ニニィ、あなたの目的は何?」

「……ごめんっ!」


 勢いよく頭を下げて謝るニニィ。その反応に、てっきり何か言い訳でもしてくるかと思っていたユイは戸惑う。


「ニニィ……」

「どうしても手に入れたい情報があるの。迷惑は……もうユイにはかけちゃってるけど、でも、これ以上はかけないから、だからっ」

「……わかった」


 ユイが承諾の意を見せると、ニニィは顔を上げた。その瞳には安堵と戸惑いが揺らいでいる。


「いいの……?」

「問題ない、とは言えない。ニニィ、約束して。一人で無理しないで、私に相談すること。シマノたちには絶対に危害を加えないこと」

「……うん」


 ニニィが深く頷く。当然ながらユイもこの状況を好ましく思っているわけではない。

 しかし一方で、ニニィが危険を冒してでも手に入れたいという情報、その価値が全く気にならないわけでもない。


「すべてのおわり」をもたらすという魔王。そしてその信奉者であるゼノ。謎多き彼らと接触できる機会を逃すべきではない、とユイは判断した。


「今は、シマノには黙っておく。けど、いつかは必ず話す。その時はニニィ、あなたから話してほしい」

「そうね。必ず。……ありがとう、ユイ」

「職人のところへ急ごう」


 二人は人目を避けるように、先日世話になったばかりの職人の工房へと急いだ。


 ***


「全く、貴様のパーティには野蛮人しかおらんのか」

「返す言葉もございません……」


 本の海と化した廃屋の中、シマノとウティリスは小言を漏らしつつ本を棚に戻す作業に奉じていた。姫様も手伝いたがっていたのだが、ウティリスが断固として認めなかったため、仕方なくベッドに腰掛け二人の作業を見守っている。


 この惨状を作り出したキャン本人はというと、一冊も手を付けることなくそそくさと廃屋の外に逃げ出してしまった。故に仕方なく残された者たちで片づけを進めているというわけである。


「はぁ……こんなことしている場合じゃ……俺には帰りを待つ可愛い妹がいるのに……」

「無駄口を叩くな手を動かせ」

「前から思ってたけど、ウティリス俺たちに当たりきつくない?」

「それは、貴様らが、姫様に、無礼な態度を取る上に、姫様の、お手を、煩わせるようなことばかり、するからだろう!?」


 大声でまくしたてるウティリスに、シマノは思わず耳を塞ぐ。


「す、すみませんでした」

「いいかよく聞け、そもそも、元はといえば、貴様らが、」


 手を動かせと言ったばかりの張本人がまさに手を止めてシマノに説教を仕掛けた、ちょうどその時。


「シマノ大変だ!! ムルが!!」


 扉を壊さんばかりの勢いでキャンが駆けこんできた。と思いきや、次の瞬間には既にキャンは外に飛び出していた。シマノ早く! と外から叫ぶ声が聞こえる。

 詳細はわからないが、ムルに何か緊急事態が発生したことは間違いなさそうだ。シマノはキャンの後を追い、急いで廃屋を出た。


 廃屋から出ると、キャンがこちらに背を向けて立っていた。その視線の先にはムルがこちらを向いて立っている。だが、様子がおかしい。深海色の瞳が、柘榴のように赤く染まっている。状態異常だ。シマノはすぐにウインドウを開いた。


 ムルのステータスを確認すると、操り人形のようなマークが表示されている。


「これ、ヤバいやつだ」

「シマノ、なんかわかったのか!?」

「ああ、ムルは……」


 シマノはそこで言葉を止めた。ムルの頭上に、HPバーとMPバーが現れたのだ。


「石よ我とともに。彼の者共を叩き潰せ」


 野蛮極まりない詠唱。その矛先は、明確にシマノとキャンに向いていた。


「まずい逃げろ!」

「うぉあっ!?」


 シマノはキャンの腕を引き、急いでその場を離れる。一瞬の後、元いたところには無数の石片が一斉に撃ち込まれた。地面は深く抉られ、周囲に砂塵が舞う。


「あ……危なかった……」

「おいムル、どーしちゃったんだよ!?」


 間一髪で攻撃を回避しほっと息を吐くシマノと、仲間からの突然の敵対行動に動揺するキャン。

 ムルはその二人に躊躇うことなく次の術の詠唱を開始する。頭上のMPバーが大きく減少する。次も大技が来そうだ。


「何事ですの!?」


 騒ぎを聞き付けた姫様が廃屋から飛び出してきた。そのすぐ後ろにはウティリスもいる。


「ムルが誰かに操られてます!」

「何ですって!?」

「ええっ!? マジかシマノ!?」


 姫様とキャンが同時に驚きの声を上げる。


「操ってるやつがどこかに隠れてるはずです」


 ムルのHPバーが表示されたということは、現在シマノたちは戦闘状態ということになる。操っている者が近くに潜んでいるなら、そいつのバーも見えるはずだ。


 シマノは辺りを隈無く見渡した。残念ながらそれらしきバーはどこにも見えない。


「バカだなぁ。ボクは初めからここにいるのに」


 声は、シマノたちの背後から響いた。

今回の好きなゲーム【ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド】

ミファー様は永遠

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