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第28話-2:来ちゃった♡

 予想外の告白に、シマノは危うく口に含んだ茶を吹き出すところだった。


「ゲホッゴホッ……なっ、なんでっ!?」

「だって、しょうがないじゃない? 亀裂に飛び込んだら、何故かあたしだけアジトにいたんだもん」


 呑気にお茶を啜りながら、ニニィは事も無げに答える。


「だ、だからって」

「そ・の・代・わ・り、とっておきの情報、手に入れてきちゃった♡」


 そう言うとニニィはシマノの耳元に顔を寄せ、こしょこしょと内緒話を始めた。


「ぶぁっ、く、くすぐったいんですけど!? てか二人きりなのにこれ要る!?」

「雰囲気出るかなーって思って♡」


 見た目一桁年齢女子(大人のおねぇさん)に完全に弄ばれている。おかげでシマノは肝心の情報をきれいさっぱり聞き逃してしまった。


「王都のお姫様。ちょうど今この近くにいるみたい」


 改めて伝え直してくれたニニィに感謝しつつ、シマノはその情報に喜んだ。あの姫様ならこちらの味方になってくれる可能性が高い。御付きの従者は正直怖いが、会いに行く価値はありそうだ。それに、単独行動を好む姫様なら従者を連れずに出歩いているかもしれない。


「ナイスニニィ! んで、どこにいるの?」

「ここよ♡」


 マップが自動で開き、獣の町のすぐ近くに星印が現れた。


「すぐそばの廃村よ」

「廃村……? なんでまたそんなところに……」

「さあ?」

「まあいいか。とにかく善は急げだ。明日みんなでその廃村に行ってみよう」

「おっけー♡」


 ニニィは元気に返事をしたかと思うと、ぴょこんと椅子から下り、


「じゃああたしはもう寝るわね。おやすみ~」


 背を向けたまま手を振って部屋へと去っていった。


 その姿を暫く見送り、ぬるくなったお茶を飲んでいると、シマノの脳裏にふと疑問が浮かんだ。


「ゼノのアジトに行って、なんで姫様の情報が手に入るんだ?」


 まさか、ゼノと王家には何か関係があるとでもいうのだろうか。その辺りも含めて確かめた方が良さそうだ。


 シマノは湯呑みに残った茶を一息に飲み干し、明日に備えて寝床についた。


 ***


「いた! あいつが姫か!? おーーーーい! 姫ーーーー!」


 獣の町を出発し、十分程度歩いたところに目的の廃村はあった。そして、そこで何やら調査を行っている様子の姫様の姿も。


 敬意の欠片も感じられないキャンの呼びかけに、姫様はぎょっとした顔でこちらを振り返った。だが、声をかけてきたのがシマノたちだとわかるとその表情は緩み、そのまま親し気にこちらに近づいてきた。


 その背後に、屈強な従者ウティリスを従えて。


「うげっ……あの従者いるのか……」


 シマノの顔色が露骨に青ざめる。それに全く気付いていない姫様は、シマノたちに気さくに声をかけてきた。


「皆さん、ごきげんよう。こんなところでお会いするなんて、奇遇ですわね」


 今日の姫様も例によってお忍びスタイルだ。薄汚れた粗末な帽子と外套を身にまとい、金色の髪を帽子の中にしまい込んでいる。


 彼女の金色の瞳が、初対面の獣キッズの姿を捉えた。


「あら、こちらの方は……?」

「オレ、勇者キャン! シマノたちとパーティ組んでる、しょーしんしょーめーの勇者だぜ! よろしくなっ!」


 キャンの無礼すぎる自己紹介が、ウティリスの額に青筋を立てさせた。


よろしい。まずはこの躾のなっていない小僧から八つ裂きにしてやろう」


「ガキ扱いすんじゃねーよ、オッサン!」


 駄目だ、キャンとこの従者は圧倒的に相性が悪すぎる。横で見ていたシマノの胃は早くも限界を迎えていた。


「ウティリス、おやめなさい。子ども相手に恥ずかしいですわよ」

「キャン、この人は社会的身分が高い。丁寧な口調で話すことを推奨」


 双方諫められ、一旦この場は収まったようだ。協力を申し出るなら今しかない。シマノは恐る恐る手を挙げた。


「あ、あのー……俺たち、ファブリカに戻ったり、お城で鉱石の交渉をしたりしたいんですけど、姫様を攫った罪で追われてて難しくて……何とか助けてもらえたらなー、って……」


 ウティリスが今にも八つ裂き選択肢ウインドウを出さんばかりに睨みを利かせてくる。怖すぎるが、ここで退くわけにはいかない。早くファブリカに戻って、ユイを完全に修理してもらわなくては。


 姫様は下を向いて暫く何事か考えているようだったが、やがて顔を上げ、シマノに告げた。


「条件がありますわ」


 そのまま姫の視線が真っ直ぐムルを射止める。


「ムルの力を、貸してくださらない?」


 意外だった。ムルの、すなわち地底民の力が調査に必要だということだろうか。


 とはいえ、あまりにも条件が漠然としすぎている。これではムルも判断に困るだろうと考え、シマノは姫様に詳細を問いただすことにした。


「えっと、姫様? 具体的にどういった……」

「断る。話は以上だ」


 シマノの言葉を遮り、ムルが拒絶の意思を見せた。突然の事に全員の思考が停止する。


「……聞こえなかったか? 断る、と言った。これ以上話すこともない」


 ムルはそれだけ告げると、その場から一人で去ってしまった。姫様と、今にもすべてを八つ裂きにせんと指を鳴らすウティリスを前に、シマノたちは今一度この場を収めなくてはならない。

今回の好きなゲーム【ピクミン3】

1、2、からの久々のピクミン! 追加コンテンツのクリスマスみたいなステージ好きだった

DX版もありがとうございます!

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