最終章 真堂守哉と神掛ゆんと奮闘記(前編)その2
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犯人は神掛家屋上にいた。三階建てのお城みたいな屋敷の頂上にあるヘリコプターの離着場、そこの端に一人で立つ彼は、中肉中背の体を持ち、双眸だけを晒す覆面をしていて、確証はないが男に見える。男は右手に細長い銃――スナイパーライフルと呼ばれるそれを持ち、左手にはボタンがたくさんついたゲームのコントローラーのような物を持っている。
守哉は推理で冷静さに欠ける狂人と言っていたが、最初の襲撃でターゲットを逃がした犯人にしてはその姿に焦りといった感情は感じられない。
「……神懸かりの強運」
男は覆面の下からその単語を告げる。
「知ってはいたが、まさかあそこまでのモノとは。想定外だったな」
感情のない、冷たい声だった。誰に言うでもなく、男はそのまま続ける。
「だが、急ぐことはない。情報操作で、警察がここに辿り着くことはない」
男の足元には大きなスーツケースが置かれていて、開かれたそれの中から、よくパトカーなどに設置されているような無線機が顔を出していた。
彼が言った通り、この屋敷に警察が来ることはない。彼が吹き込んだ情報により、彼らは今頃こことは逆方向の場所に向かってアクセルを踏んでいることだろう。
故に、時間は有り余るほどある。
あらかじめ仕掛けておいたアレを使える状況になるまで、ただじっと待つだけでいい。
相手は、ただ何もできずに怯えることしかできないのだから。




