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追放×配信 ~最強ちびっ子冒険者カイと美少女エルフのわくわくダンジョン動画撮影記♪  作者: ななくさ ゆう
第3章 ドキドキの初コラボ!エルフの歌い手イリエナちゃん
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第1話 ドキドキッ!イリエナちゃんとコラボ撮影開始

 アンバの町から半刻ほど歩いた場所にある洞窟。

 いつもは1人(ソロ)で来るここに、今日はイリエナちゃんと一緒にやってきた。

 イリエナちゃんがちょっぴり不安そうに身をすくめながら辺りを見回した。


「カイくん、ここがダンジョンなんですか?」

「ちがうよ。ここはただの洞窟。ダンジョンへの入り口は……ほら見えてきたよ」


 ぼくが指さした先で、赤いオーブが空中に浮いていた。


「なんですか、あれ? とってもきれい……」

「オーブだよ。ダンジョンへの入り口。聞いたことない?」

「そういえば……でも、とても通り抜けられる大きさには見えませんけど」


 通り抜けるって……その発想はなかったよ!


「そうじゃなくて、あのオーブに触るとダンジョンの第1階層にワープするんだ」

「へー、つまりオーブっていうのはワープゲートの一種なんですね」

「ワープゲ……? なに?」

「エルフのすむ森にはそういうのがあるんですよ」

「ふーん、そうなんだ」


 エルフの森の近くにもダンジョンがあるのかなぁ?


「じゃあ、ダンジョンに行こうか」

「その前に、撮影を始めた方がいいんじゃないですか?」

「え、ダンジョンに行く前に?」

「はい、何かまずいんでしょうか? ひょっとしてカイくんのマホメラはダンジョン内専用とか?」

「そんなことはないけど」

「じゃあ、撮影を始めましょうよ! 私のマホメラもスイッチを入れますので」


 ダンジョンの外から撮影開始かぁ。

 そんなの考えたこともなかったよ!

 コラボ配信って勉強になるなぁ。


 ボクらはそれぞれ自分のマホメラのスイッチを押した。

 イリエナちゃんが空中に浮かんだ2つのマホメラに向かって話し出した。


「こんにちは! エルフの歌い手のイリエナで~す。今日は人気のダンジョン攻略系B-Tuberカイくんとコラボさせていただくことになりましたー」


 うをっ?

 いきなりよどみなく元気に話し始めた!

 すっごーい。

 ぼくはまだまだこんなに流れるように実況できないよ!


 何にしても、ぼくもご挨拶だよね。


「えーっと……その……カイです。きょ、今日はイリエナちゃんとコラボで……その、一緒にダンジョンに行きます。が、がんばります!」


 うわ、噛みまくった!


「わたし、ダンジョンって初めてだから、ちょっとコワイです。でも、カイくんと一緒だから安心かな♪ だよね、カイくん。私をモンスターからまもってくれるよね?」


 そういうと、イリエナちゃんはいきなりぼくの首元に抱きついてきた。


「い、イリエナちゃん!?」


 イリエナちゃんはエルフ特有だという透き通るような声で、歌うようにしゃべった。


「えへへへ、なかよしなかよしで~す♪」

「え、あ、あぅ、う、うん、そ、そうだね。大丈夫、今日は第1階層しか行かないつもりだし、イリエナちゃんのことはぼくがまもるからっ!」

「わーい、たのもしいです!」


 イリエナちゃんはそのまま自然に、ぼくと両手をつないだ。


 ドキン、ドキン、ドッキン!


 なんでだろう。

 ぼくの心臓が、なぜかどんどん高鳴ってきた。

 トロールと戦ったときだってこんなにドキドキしなかったのに!

 まるで【俊足】を使ったまま半日全力疾走したかのように、ドキドキが止められない。


 しかもイリエナちゃんが腕を組んできた!

 イリエナちゃんの心臓の振動が伝わってくる。

 彼女の心音が、ぼくをさらにドギマギさせた。


「い、イリエナちゃん、ちょっと放して……」

「あ、ごめんなさい! みんな! カイくんはお友達だからね! カンチガイはダメよ」


 ぼくの腕を解放すると、イリエナちゃんはさらに続けた。


「さて、みなさん、ここにあるのがダンジョンへの入り口――オーブだそうです。これに触ると私たちはダンジョンの中へとワープします。果たしてそこではどんな冒険が待っているのでしょうか? 緊張の瞬間ですね!」


 そ、そうだよね。

 いつまでもドキドキしているわけにはいかない。


 それにしてもイリエナちゃんの挨拶や実況はみごとだ。

 ぼくよりもずっと上手(じようず)

 動画配信者としてとして、今回のコラボ撮影でいっぱい勉強しなくちゃ!


「イリエナちゃん、一緒にこのオーブに触って」


 先輩冒険者として、イリエナちゃんを導かなくちゃ


「マホメラは回収しなくても大丈夫ですか?」

「うん、自動追尾式のマホメラなら一緒にワープしてくれるから」

「わかりました」


 ちなみにイリエナちゃんのマホメラは新品。

 コラボしようって決めた後、冒険者向けのマホメラを購入したんだ。

 イリエナちゃんもマホメラは持っていたけど、歌い手用のヤツで、自動追尾昨日とかなかったからね。

 イリエナちゃんはさすが有名な歌い手だけあって、マホメラを購入するくらいのお金は持っていた。


 ぼくらはそれぞれの手をオーブに伸ばした。

 ぼくにとってはいつもの、イリエナちゃんにとっては初めての、ダンジョン探索の始まりだ!

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