蒼騎士王子が異世界に召喚されたら
それは月明かりが暗闇を照らす夜。どんよりとした黒い闇をシャープな光が刺すように照らす。
「はぁ、はぁ!」
1人の少女が息を切らしながら夜道を駆ける。彼女の名前はウィルマ・ストーレー。今まさに亡国となりつつある国の混乱に惑わされる人間の1人である。走る、走る、走る。一気に目の前が暗転した。転んだ先にあったのは小さな聖堂だった。ここならっ!そう思った彼女は急ぎばやに魔法陣を描く。魔法陣を描く手はブルブルと震えていた。だが、迷いなくそこに描いてゆく。刹那、顔の横を何かが掠めた。掠めたものが何かわからないが顔を伏せる。頭の上を何かが掠めてゆく。そのまま前のめりに転がる。あと少し。あと少しなのに!焦燥する心と怯える心がチョークを持つ手を滑らせる。終わった。そう思った瞬間に最後の一角へとチョークが滑る。そして、男が持っていた剣が彼女を捉えた。ああ、これで終わりなのか。そう思ったその時チョークのついた指が魔法陣に触れる。そうしてソレは現れた。彼女を捉えたはずの剣は弾き返され。目の前には1人の蒼い騎士が立っていた。
「どのような理由かはしらんが、武器を持たぬか弱き女性に剣を向けるならこの俺が相手しよう。」
そういった騎士はそのまま男に向かってゆく。成功した!ウィルマの心ははやった。成功したのだ!この国を救う英雄に!遂に私は出会ったのだと、喜んだ刹那、もう1人男追っての男が現れて騎士を挟み撃ちにする。だが、そんなことさえ何も無い事のようにその騎士は片方の男へと向かっていく。片方の男と撃ち合う中、後ろからもう1人の男が切りかかった。騎士はそれを体制をかがめて滑り逃げ、ギリギリで避ける。2人の男が再び騎士へと向かってゆく。
「この程度でこの俺に向かってくるとは……」
その瞬間場が凍る。冷たい月光のようにそれは高速で移動する。あっという間に2人の男は腰から真っ二つになり崩れ落ちた。
「っ!」
ウィルマはその恐ろしさに震えた。そして、返り血を浴びたソレはこちらに向かってくる。ウィルマは思わず後ずさりするが遅い。殺される!何が伝説の英雄だ!こんなのただの、ただの殺人鬼!いや、殺戮兵器だ!!そう思った彼女は何もかもを諦めて眼を閉じる。しかし、ソレは彼女の前に跪き、ニコリと笑った。
「レディー、お怪我はありませんか?」
評価、感想お待ちしております。皆さんの反応から続編を作るか検討します。
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