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この世は不幸で廻っている  作者: レイフォン
9/18

間話な一幕、現場で組み立てる派です。

感じるダンジョン内の温度が少し寒くなっていた。

何故かと言えば、一目瞭然、俺が見ている風景が先程までの人工的な石壁で覆われた通路から一変し、洞窟になっていた。


そう・・場所は既に中層。


少しだけ予定より遅くなってしまったが、俺達は中層に足を踏み入れていた。

この場所に来るまで、モンスターとの遭遇率が異様に多かった、いつもの倍以上と言っても過言では無い。

それに伴う解体作業もいつもの倍だ、そりゃあ遅くもなる。


洞窟といっても、低層もそうだが、ダンジョン内は何故か明るい。

明るいといっても、宿で借りるランプの灯よりも少し暗くした程度なのだが。


何故か明るい。


言うまでもなく、その事に関しては多くの人間が疑問に思ってもいない。

俺的に言えば、相当、不思議な現象ではあるが俺程度の頭の人間が考えても仕方が無いので考えない様にしている。

まぁ、洞窟然としたこちらの風景で言えば、光苔でも

生息しているんだろうと思う事で納得がいく。


そして俺達は、今、戦闘中である。


「マイナちん右から!」

「はい!」


マイナさんは利き手、右手に装備した小さめの木製の盾を全面に押し出し小鬼の突進と剣戟を止め、小鬼の足を自らの足で刈り取り地面に転がすと剣を胸に突き立てた。

この深さの小鬼はそこそこの強さなんだがな。

後を気にしないでいいと言うのは心強い事だ。

これがソロとは違うパーティで挑むと言う事のメリットだな。


俺の方にも2体、小鬼が攻め込んでくる、1体の手には両手持ちの斧、もう1体の手には剣と盾。

そして、俺が上体を逸らすとヒュンっと言う音が目の前を通りすぎて洞窟の表面がパチンと鳴る。

すると、コロンと矢が転がった。


まぁ気付いてはいたが・・・だ。

正確に俺が相手にするのは3体。


こう見えても、多少の実力はあるんだ。

こう見えてもな。

スキルが無い分、研鑽を積んで来た結果だ。


矢が飛んできた方を大体把握しながら、牽制の為に剣を構える。

剣持ちが足を止めたが、斧持ちはそのまま突進し続けてきた。

甲高い鳴き声と共に斧を振り被り、小柄な身体つきに似つかわしくない恐怖を憶える醜さと唾液を撒き散らし斧を振り下ろす。

だが、その動作はさせない、数歩の間合いをスキルの無い俺は技術で補って柄頭を顎に打ち付ける。

小鬼の黒目が上に上がり、白目が剥き出しになった。

意識はしていなかったが、俺って何気に、この部分使うよな。

俺が師事した師匠の流派のせいかもしれんが。

使い勝手はいいからいいけどな。


「!?」


体勢を変え、再び矢を避ける。

知能の高いモンスターなら、一投目を引いた後、位置は変えるもんだろうが、そこは小鬼か。

大体の位置は把握したので石を拾い上げ左手でそれを放る。

牽制と目印代わりのひと投げだ、当たらんでもいい。

立ち上がり白目をむいている一匹に剣を突き刺しそのまま剣持に向く。


「ギギィ!!」


俺の意図を把握したのか声がした方を向くとメイがニコっとしながら手を振っていた。

潜んでいた弓持ちの小鬼が地面に伏している。


「ゲィー」


・・・・・知能が低くとも自分の不利位は理解できるらしい。


「・・・ふぅ。」


俺が息を吐くと小鬼の喉に剣が生えた。


「お疲れ様、マイナさん」

「お疲れ様ですルークさん」

「おっつー皆、とアタシ!!」

「お疲れ、メイ」

「お疲れ様です。」


にわかにしては、いいパーティだ、敵が弱いとはいえ、互いに自分ができる事を率先してやる。

簡単そうで中々できるもんじゃない。


・・・・・欲を言えば、最後のとどめは俺が刺したがったが・・・・文句は言うまい。


「さーて魔石狩りやっちゃおー!!」

「おー」


・・はは。

苦笑い気味に口角が上がる。


「・・・・魔石狩りって。」


視線を落として横たわる小鬼の死体を見る。

こいつら身体つきがなまじ人間に似てるから結構きついんだよな・・・・。

腰のナイフを抜くとしゃがみ込み、一気に切り込みを入れ魔石を取り出す。


「う・・ふぅ」


基本臭いし。


「うう」

「ダイジョブマイナちん?

慣れだよ慣れ、ほい、魔石!」

「うげ」


初めてはきついよな、我慢できなくても仕方ない。

見ないでおいてあげよう。

因みに、こいつら小鬼からも使えそうな素材は取れない。


しかし今日は本当に豊作だ、モンスターとの遭遇率がいつもより高い。

そのせいで素材や魔石が3人のバックの容量を圧迫し始めていた。

中層自体の探索は今日はここ迄だな、このフロアをくまなく探して、加えて戻る時間を考慮に入れるとすると、長い時間はかけられない。


元々各々の実力を把握する為の初日なんだ、そう気張って無理をする必要なんて無い。


だが、本格的にライフラワーを探すとしたら、中層の何処かのセーフスペース、モンスターがあまりわかない場所を拠点にして、キャンプをする必要があるな。


それに各階層、セーフスペースには限りがあるから日によっては面倒な事になりかねん。

ある意味モンスターより厄介だ。


日程は移動と探索で1日、ダンジョンで1泊して、2日目、探索と地上へ帰還。

1日を補給に充てる感じか。


・・・あ、改めて考えるとこの依頼結構しんどいかもな。


まぁいいさ。

マイナさんから依頼を受けた時気長にやる事にしたんだし。


・・・・ポイントも貯まるしな。


「すみません、ルークさん少し手間取りました」


そう言うマイナさんの顔が少々痛々しい。


「嫌、少し行ったところにセーフスペースがあるから、そこで少し休もう、一休みしたら、このフロアを一回りして、ライフラワーを探す。

今日はそのまま地上に帰還だ、それでいいかな?」

「おけーです」

「・・・はい。」


私は大丈夫ですと言いたげな顔だが、我慢してるな。

偉い偉い。

素直でいい子だ。

メイは魔石だけでも今日は大黒字だろう、ホクホク顔でニンマリしている。

素直で宜しい。


「よし、行こうか。」





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