おまえは、きみは、
どうしようもないくらいしょうがないやつだな、おまえは
毎日毎日、同じ言葉を反芻する。彼からの最期の贈り物、たった一枚の両の手のひらにすら満たない大きさの、紙きれ。きみが私をだめにしたのも、私がきみをころしたのも、わかっている。わかっていたまだこの世界にしがみついている。きみは、もう居ないのに。
きっときみは、私はきみがどうなろうと今を更新し続けるとわかっていてこの言葉を遺したんだろう。私を嘲笑うために、私の中に、きみを留めておくために。
そんなことしなくっても、私の中のきみは殺してなんてやらないのに、どうしようもないくらいしょうがないやつだな、きみは。