前編
調べ物が多くて書く時間がなくなり前後編となってしまいます<m(__)m>
夏休みだと言うのに(だからか??)部活のオンパレードで体育館は賑わっている。
その一角に陣取る剣道部は今、“互角稽古”が終わったところで部員は床に正座して各々面紐をほどき始めた。
いち早く外した“面”を甲手の上に置いた“イケメン”……剣道部キャプテンの神藤涼眞は、左手に竹刀を提げ、面を付けたままの部員にお尻辺りを素足で小突かれた。
「もう1本付き合え!」
きれいな“ボーイソプラノ”のその部員の垂には『天坂第二中 丘』と書かれている。
「やるか!」と涼眞は面を付け直した。
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いったい互角稽古を何本やったのか……いつの間にか閑散としている体育館の中、二人はようやく竹刀を納める。
「うわあ!! さすがに暑いぜ!」
さっさと防具を脱いだ涼眞は剣道着から肩を抜くと襟をバタバタさせている。
一方、面を外し、センターパートマッシュの後毛を逆立てる“丘”はジト目でそれを見やる。
「お前さあ、自分がイケメンって自覚ある?」
「それって女子がキャイキャイ言ってるだけだろ? それともお前がそう思ってんの?」
「別に」
「だよな、“コウ”はそういうタマじゃねえもんな」
「じゃあワタシはどういうタマなんだよ!」
言い返しながら防具を外す丘の剣道着の下はTシャツで水濡れした様に色が変わっている。
「お前!このクソ暑いのにそんなの着てんの?!」
「仕方ねえだろ! “見えちゃいけない”って話らしいから! お陰で毎日瘦せそうだよ!」
ところが涼眞は丘の話を半分も聞いていない様で……背中や脇の汗をタオルでゴシゴシやっている。
丘はそんな涼眞に『っとに!ガキだなあ』と肩を竦める。
元々オンナに媚びる様なヤツじゃないしワタシをオンナとして見ていないだろうな……こちらにとって涼眞は願っても無い稽古相手だけど……
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「コウさあ!サバゲーどうよ?」
「やってるよ! 高校入ってバイト出来る様になったら欲しいハンドガンあるんだよね」
「何? グロック18?」
「M93RII ヘヴィウェイト」
「あの3点バースト射撃ができるヤツ? いいじゃん!」
「だろ?」
剣道部所属のサバゲー大好き女子『コウ』こと『丘浩美』にとって『神藤涼眞』はあくまで“同好の士”であり、他の女子の様に“憧れ”の対象ではない。
一方、涼眞にとってコウは、部活では女子なのに自分と力を拮抗させている負けられないライバルだし、素で話せる貴重な女ともだちでもある。
それでも彼は彼なりに気を遣っていて、コウが絶対的に嫌っている自分の名前『浩美』を『コウ』と読み替えて呼んでいた。
まだ照り付ける夏の日差しの中、防具リュックを背負い竹刀袋を肩に掛けて、こんなとりとめのない話をしながら学校を出た二人は『神社脇にあるかき氷屋さんへ行こう』と鎮守の森を目指した。
小高い山の上にある神社に参拝するのには、ちょっとした店が並ぶ登山側と年始などの混み合った時にしか使用される事の無い寂れた下山側の二つのルートがある。
その『下山側』に差し掛かった時、空は夕立が落ちるかのように俄かに黒い雲に覆われ、地の底で何かがドーン!とぶつかる音がした。
と、ゴゴゴゴゴと地響きがして、元から傾いていた古い石造りの灯篭達がお互いぶつかりながら折り重なって倒れた。
こんな状況では立ってはいられずに尻餅を付いた二人の足元が土砂を吹き出しながら割れ拡がり、太さが1メートル以上もある“巨木”が物凄い勢いで天に向かって伸びて行った。
『「!!!!」』
こずえと思われたその先端がグニャリとこちらへ曲がり左右にくっついたガラス玉が二人を見下ろしている……
「ヘビ……?」とコウが口走るより早く“鎌首”は大きく口を開けながら涼眞の上に降り注ぎ、彼をズボン!と飲み込んだ。
「ギャアアア!!!」
叫び声を上げながらコウは竹刀を抜き出し、不気味に光る“ヘビ”の右目に思いっきり突き刺した。
後編へ続く
意味不なところが多いと思われますが、後編で“回収”したく頑張ります(^^;)
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