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杜道上り 壱

 


「夕凪、この階段を上りきった先の頂上付近に朱色の鳥居が見えるでしょう?

 あれは、杜門もりのとといって、異杜の入り口を示しているわ。


 ちなみに、岸居きしのい・・・さっきあなたが居た鳥居のことよ。

 岸居は彼夜ひや杜道ととの境界上に有るの。


 あっ、杜道はこの階段のことよ。

 杜門と岸居の間にあるこの階段のことを杜道、と呼ぶの。



 ・・・クッ、誰かを案内するのなんて久しぶり過ぎて、説明し忘れている部分が多くなっているわ。



 えっとそれで、・・・注意事項。

 岸居より先へ、彼夜へ行くときには、一人で行かないようにすること。

 彼夜は途方もないくらいに、危険な場所なんだからね。」



 杜道と呼ばれたこの階段は、所々透けている部分がある。

 他にも、はっきりと見えているにも関わらず、段に足が深く沈んでいったり、すり抜けたりする所があり、とても混乱する。



 寧音は、案内をするのは久しぶりだ、と呟いているが、どれだけの期間、この辺りの案内をしていなかったのかは、分からない。

 けれど、寧音の歩き方や足の運び方、目線の動かし方などが、この不思議な階段を上り慣れているのだと感じさせる。



「えっと、それじゃあ、今まで私が歩いていた暗闇は、彼夜だった、ってこと?」



「ええ、そうよ。

『異杜に導かれし者』には、彼夜に創られた、岸居に続く赤の道が見えるの。

 あなたも赤の道を辿って、岸居まで来たのでしょう?」



「えっ、ああ、うん。そうだよ。


 でも、赤の道を歩いていた時は、特に危険を感じるようなことはなかったよ?」



 勢い良く振り返る寧音の動作が視界に納まり、またやってしまった、と思う。



「当たり前よ!

 あの赤の道は、みこ様が()()()()()()()()()()()の中から、『異杜に導かれし者』を選別して、安全に異杜に辿り着けるように、と創ってくださった道標なのよ!?


 みこ様程の実力者が創ってくださった、特別な魔除けの道標を辿っているのだから、安全に決まっているでしょう!?

 みこ様は、あそこまでしっかりとしている魔除けの道標を私たちのような者のために、わざわざ創ってくださったのよ!?


 夕凪。あなたもみこ様に、感謝しておきなさい!」



「う、うん。」



 どうやら、また寧音の逆鱗に触れてしまったみたいだ。


 でも、私の予想を超える人間味を寧音から感じることが出来て、少しだけ安心している。


 みこ様への強い憧れや信仰に近い感情があるだけで、どうやら、想像していたような礼儀や作法に厳しく、他者に対して冷酷な性格の人物ではないのかもしれない。





 しかし、杜門、杜道、岸居、彼夜、そして異杜。



 どれも知らない単語だ。


 単純に、私がそれらの単語を忘れているだけかもしれないが、その可能性は、低いと考えている。



 異杜は今、私たちが向かっている目的の場所で、彼夜は先程まで私が居た所。


 背後にある紅色の光を放っている鳥居は岸居で、前方に見えている朱色の光を放っている鳥居が杜門。

 今、私たちが上っている階段は杜道。



 しかし、何故、岸居は階段の途中にあり、杜門は階段を上りきった先にあるのだろうか。

 おそらく、何かしらの理由はあるのだろう。



 そういえば、寧音は先程、()()()()()()()()()()()と言った。

 私は何故、彼夜に迷い込んだのか、私はいったい何処の誰なのか。


 もし、私が失った記憶を取り戻せたのであれば、これらの疑問も解消されることだろう。



 それにしても、みこ様はあの不思議な赤の道を作ったという。


 先程、唐突に姿を消したことや寧音の反応も鑑みると、みこ様は、少なくとも私たちのような()()()()()、ではないのかもしれない、と思う。





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