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85話 カノンさんとの出会い

 ラクサさんのお店で、皆でお茶をいただきながら、ラクサさんが村のお店について説明を始めてくれました。



「この村の商店についてご説明します。当店はよろずやのような店で、他店で扱わないものは当店でとなっています。ですので、当店に来ていただいて、欲しい物をお聞かせくだされば、当店か他店かをお伝えできます。当店の隣から順に衣料品店、革製品店、金属製品店、木工製品店です。その横に宿屋もあります。宿屋は簡単な食事もできます。各商店は当店と違い、商品の販売と修理。注文作成も行っています」


「食料品はラクサさんのお店でよろしいですか?」


「はい、当店です。何かご入用ですか?」


「そうですね、本日はお店には一通りご案内いただきたいのですが、欲しい物と注文作成をお願いしたいものがあります。まずは私の方から必要な物をお伝えします。最初は、私が持つバッグが欲しいです。グランの着替えや食事を持ち歩けるように、肩からかけられる大きめのバッグです。それから水筒を2つ。それと、食材のお肉とお魚、卵もですか。衣料品では白い生地を織る糸にグリムさんとグランの着替え、金属製品と木工製品は注文作成をお願いしたいです」



 私の注文についてラクサさんが説明をしてくれる。



「では私も順に、バッグは布製品なら衣料品店、革製品なら革製品店です。水筒は当店ですが大きさの違いがあるだけで、しゃれたものはありません。食材の生のお肉と生のお魚、卵は残念ながら販売が禁止されています。生ものは衛生管理のために、この村では販売ができないのです。自分で狩った物を食べることは可能です。人を雇って狩りをしてもらうことも可能です。ただ、一般的には乾燥させたものや塩漬けしたものを食しています。糸は衣料品店ですが、ご希望の物がなければ、村の買い出しの時にご注文ください。お着替えも衣料品店です。注文作成はそれぞれのお店でお話ししましょう」


「ラクサさん、村の買い出しとは何ですか?」


「村にない物を大きな街や王都まで買いに行きます。各店が馬車の費用を分担で負担して、商品を仕入れて、それをこの村で販売します。ですので、村人にはとても高価な商品となります」


「つかぬことをお伺いしますが、私も馬車代を負担して、仕入れをお願いすることは可能ですか?」


「今までは村長が村代表として、それと近衛兵団が仕入れに参加されましたが、個人ではいませんでした。ただ、費用をご負担いただければ可能です。極端な話しですが、1人で馬車代を負担すれば、すぐにでも仕入れに出発させることもできます。ただ、今のところ私の店は毎回必ず参加をしております」


「馬車を出したかったらラクサさんにご相談すれば良いですね。ラクサさんも馬車を出されるときはご連絡いただけると嬉しいです。それと、馬車代を払えば配達もお願いできるのですよね?そもそも馬車代は1人で負担するとおいくらくらいかかるのでしょうか?」


「毎回、アグリさんに買い出しのご連絡をしましょう。それと配達も可能です。荷物が小さければ、馬車ではなく馬に乗って運べますので、料金はお安くなります。小さい物の仕入れなら、馬に乗った仕入れも可能です。馬車代ですが400シルから500シルの間です。馬車の大きさで値段が変わります。馬に乗った配達や仕入れは200シルです」


「はい、ご説明ありがとうございます。では、早速水筒を見せていただけますか」



 するとすでにマリネさんが持ってきてくれて、「こちらです」と見せてくれました。私はグリムさんに確認をお願いします。



「山歩きの時に、私とグランが使う物ですが、いかがですか?」


「こちらの大きい物がいいと思います。しっかりした品です」


「はい、分かりました。ではマリネさん、大きいのを2ついただきます。品物は帰りに持ち帰ります」




 次はラクサさんの案内で衣料品店に来店しました。



「カノンさん、こちらが静養所の所長として王都から派遣されたアグリさんです。今日はご紹介にお連れしました」


「アグリです。今度ともよろしくお願いします」


「カノンと申します。こちらこそ、よろしくお願いします」


「カノンさん、肩から掛けられる大きめのバッグが欲しいのです。子供の着替えと食事や食器を持ち歩くのが目的です」


「こちらにございます。小さいお子さんがいるお母さんは、皆さん大きめのバッグが必要になりますから」



 案内されてバッグのコーナーに来ました。確かに皆が欲しがるらしく、様々な形や色のバッグが並べられていました。中にはとても凝った刺しゅうのバッグもありました。



「素敵ですね、すべてカノンさんがお作りになったのですか?」


「いいえ、半数は母です。ただ、母は去年亡くなって、それで私が店主を継ぎました」


「なるほど、でもカノンさんが半分は作られたのでしょ?どれも素敵ですからお母様の技術はしっかり受け継がれたのですね。では、カノンさん、あの猫の刺しゅうのはいったバッグを見せてください」


「はい、かしこまりました」



 私はカノンさんからバッグ受け取って、左肩にかけてみた。バッグを持っても、グランに当たることが無いようなのでこれで決まりです!


 私はカノンさんにバッグを返して、「カノンさん、こちらをいただきます」と伝える。するとカノンさんは嬉しそうな笑顔になった。



「はい、ありがとうございます。これは私が作ったものなので嬉しいです」


「そうでしたか、形が縦に長めで横幅を抑えられていたので、子供の頭に当たらないことと、何より猫の刺しゅうが可愛かったです」


「はい、私の工夫をご理解いただけて嬉しいです」



 カノンさんは優しそうで、すぐにでもお友達になれそうです!お互い裁縫好きのようですし(笑)


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