54話 フィーネさんの弱点
王都への帰路は順調で無事にお屋敷に帰ってきた。お父様が近衛兵の隊長へ袋を渡していた。きっと報酬。今夜は騎士様たちは祝杯ですね!私たちもそれぞれの部屋へ入り、使用人の皆さんは大忙しで荷物の片付け。私は荷物も少ないので、すぐにやることがなくなって、ここはフィーネさんのお手伝いに行きますか!となる。フィーネさんの部屋を訪れると、忙しなく動き回るフィーネさんがいる。
「フィーネさん、お手伝いにきました」
フィーネさんは私を見るなり涙目になる。
「アグリさん、助けてください……」
だそうです(笑)
「お任せください!」
別荘で荷物を詰めたときと同様に、仕分けがいらないものを中心に片づけることにする。衣類はクローゼット部屋へ運んで、長い服は吊るし、小さいものは引き出しに入れる。さすがに並び順までは分からないが、気にしないことにした。落ち着いたらご自分で片付けられるでしょう……たぶん。
しばらくして、衣類の箱はすべて片付け終えた。空き箱はクローゼット部屋にまとめて積んでおいた。使用人の皆さんが落ち着いた頃に片付けをお願いしましよう。フィーネさんの部屋に戻って、部屋にあった空き箱をmoあクローゼット部屋へ移動。再び部屋にもどる。お部屋がだいぶすっきりしてきた。
「フィーネさん、次は机の中の荷物を片付けますが、別荘の机と同じ場所に片付けていいですか?」
「はい、お願いします。分からないものは机の上に置いておいてください」
私は引き出しの上の荷物から片付けを始める。机の引き出しを開けると……フィーネさんは片付けが苦手なのですね(笑)引き出しの中身も含めて片付けることにした。明らかに不要と思えるものは、引き出しの手前の一画に置いて、『捨ててください!』アピールをしておいた。
引き出しの荷物も片付けたところで、最後の箱は招待状が入っていることを思い出します。これはこのままでいい……机の脇に箱のまま置いておく。そろそろフィーネさんは招待状を配られるので、私のハンカチも一緒に持っていってもらわないと……2つ別々だと不便かな?
「フィーネさん、机の中にあった色紙をいただいてもいいですか?」
「はい、ご自由にお使いください」
「フィーネさんの机をお借りして作業してもいいですか?」
「はい、私はしばらくは小物類の片付けをしていますから」
私はいったん自室へ戻り、作ったハンカチを全部布袋に入れて、またフィーネさんの部屋へもどる。机の引き出しから色紙をだして、机の上には色紙、招待状、ハンカチと並べておく。準備完了。
『エコ、1枚の紙から折るだけで封筒を作りたいの。文献があれば1番図の多い物を見せて』……『3ページ該当しました。1ページ目を表示します。次のページを表示するには次と、前のページを表示するには前と、見終える時は終了と送ってください』
こうしてエコから封筒の作り方を教わって、作業開始。招待状にはすでに招待者の名前が書かれていたので、まずは名前をチェック。次に色紙に招待状とハンカチを重ねて置いて、紙を折り始める。封筒が完成したところで、表面に招待者の名前を書いて完成。封をするかはフィーネさんが落ち着いてから相談しましょう!
しばらく作業を進めていると、ドアがノックされる。
「フィーネ様、ミリンダです。こちらにアグリさんは来られてますか?」
「はい、来てますよ。ミリンダも部屋へ入って」
「はい、失礼いたします」
私もフィーネさんも忙しそうにしている様子を見て、ミリンダさんが助っ人に参戦。
「フィーネ様、お片付け手伝いましょうか?」
「どこに何をしまうかを考えながら片付けているので、私の方は大丈夫です。アグリさんの方をお願いします」
「はい、かしこまりました」
そしてミリンダさんが私の後ろから作業の様子を観察する。そして覚えたところで声をかけてくれた。
「アグリさん、お手伝いします。ただ、あて名はアグリさんが書いてください」
「はい、お手伝いお願いします」
それからは2人で作業を進めた。私が折り終えて名前を書き終えるのを見計らって、こちらも~様のお名前をお願いします。と絶妙のタイミングで封筒を渡してくれる。さすがミリンダさん、お嫁さんにしたい!(笑)
こうして私とミリンダさんの作業は終わりました。でも、フィーネさんの作業はあまり進んでしませんでした。私とミリンダさんは目配せして、2人で両側からフィーネさんを抱え立たせました。そして、私がアクセサリを1つ取り上げて、「これはそこのアクセサリの引き出しにいれておきますね」と私が引き出しに片付ける間に、ミリンダさんは本を取り上げて、「これは本棚へいれておきます」と代わる代わる、荷物を片付け始めました。もちろんあっという間に片付けが終わりました。フィーネさんの弱点、克服させてあげたかったけど、根が深すぎてすぐには無理でした……(涙)




