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4話 フィーネさんとの出会い

 魔法学校の入学式のために、大講堂へ移動を始めた。皆の後ろをポツンと1人でついていく。


 大講堂に入ると在校生はすでに席についていた。通路を挟んで左側に白魔法士、右側に黒魔法士座っているのが制服で分かる。パッと見た感じでも白魔法士は黒魔法士の3分の1にも満たない人数のようだった。また、どうも1列1学年で座っているようで、そう考えると1クラス20人を超えるクラスは存在しな。皆が中央よりの席から座りだしたので、私も最後に皆の隣の端に座った。




 ――校長先生、来賓の方、在校生代表、新入生代表が壇上で挨拶をし、つつがなく入学式は終了した――




 入学式が終わると最後方に座る最年長学年の人から順に大講堂を退出していく。同時に新入生の白魔法士の私たちの前にフレデリカ先生が歩み寄ってきた。



「このまま構内の案内に移ります。皆さんは私の後ろについてきてください」


「はい」



 フレデリカ先生は黒魔法士の1年生が大講堂を出たタイミングで移動を開始。まずは大講堂向かいの広い空間に着く。



「こちらが休憩室になります。昼食をとったり自習をしたり。皆で集まって雑談したりに使用します」



 すると1人の生徒が手を挙げた。



「先生、昼食がとれるのはこちらだけですか?」


「昼食はクラスでも中庭でも屋上でもご自由にどうぞ。ただ図書室のように飲食禁止の部屋もあります。誰も食べていないから分かると思います」




 2階に移動してフレデリカ先生の説明。



「こちらは初等部の6クラス分の部屋と向かいに一般図書室があります」



 フレデリカ先生は説明を終え、一般図書室へ向かった。



「一般図書室は図書室内での読書と貸し出し申請をして借りて読書ができます。貸し出し申請は王都民証と借りたい本を受付に持って行くだけです。初等部の人向けの本も多数ありますから、どしどし読書をしてくださいませ」



 私は学生寮での空き時間や授業の合間の休憩時間は、読書をして過ごすこになりそう……とぼんやり想像していた。




 次は3階に移動。



「こちらは中等部の6クラス分の部屋と向かいに高等図書室があります」



『ここが中等部のフロアですか。手前が1年生のクラスのようで初等部と同じですね。リサさんはこのフロアにいるので、困ったらここに来ましょう』


 説明に続いて、高等図書室へ移動し高等図書室へ入室した。高等図書室は中央の共通コーナーと左右に扉がある部屋に分かれていた。



「高等図書室の本は持ち出すことができません。こちらで読んでください。また、左側が白魔法士専用部屋、右側が黒魔法士専用部屋となっています。皆さんは黒魔法士専用部屋には入室することはできません。それと白魔法士専用部屋に置かれている本は白魔法士専用部屋内でのみ読むことができます。ご注意ください。高等図書室を利用するのは高等部に所属してからになるとは思いますけど……」




 最後に4階に移動。



「こちらは高等部の9クラス分の部屋と教材倉庫のみとなります。特に説明は不要ですね。せっかくだから屋上にも行ってみましょうか!」



フレデリカ先生はそのまま階段を上りだした。




 屋上に出ると……足がすくんで外の景色を見るどころではなかった!何せ村で1番高い建物は神殿の鐘塔で、もちろん子供が登れるような場所ではなかった。なので2階の窓から麦畑を眺めるぐらいがせいぜいだったからだ。


 呆然として立ち尽くす私の姿に気づいたのは、侯爵令嬢のフィーネさん。普段、皆さんが取り巻いている中心にお座りになっている方です(笑)



「アグリさん、大丈夫ですか?」



 私に近寄ってきてくれて、背中をさすったり、手を取ってくれたりと落ち着きを取り戻させてくれた。



「ありがとうございます。少し落ち着いてきました。高いところに登った経験がなかったもので、不安になってしまいました……」


「落ち着いてきたのなら外の様子を見てみません?私が一緒についていきますから」



 フィーネさんは私に寄り添いながら塀際にゆっくりとした足取りで連れて行ってくれた。実際の街の景色をその目で見ると、恐怖よりも凄い!が勝って足の震えすら止まっていた。ただただ圧倒されながら景色を眺めている私に、フィーネさんは説明を始めてくれた。



「右手の最も高い位置にあるのが王城で、王城の下のお屋敷群が貴族街。貴族街は壁の中にあるので、貴族街に入るには貴族街の門を通るのです。私も毎日門を通って通学しています」


「貴族街の壁に隣接するように建てられているが王立機関の建物。魔法学校も王立なので貴族街の壁に隣接したこの場所なのです。そしてここよりも左側が庶民や商人。大きなクランがあったりもします。これが王都の街並みです」


「クラスの皆さんは貴族街にお住まいなのですか?」


「そうですね、あの街並みのどこかに皆住んでいます。私の家は――お城の下の端の家です。我が家は家柄が低いので端の家なのです」


「フィーネさんは侯爵令嬢様でしたよね?家柄が低いなんて!」


「でも侯爵家の中では最も家柄が低いのですよ」


「フィーネさんこのお話しはここまでにしませんか?私何だか恐れ多くて怖くなってきてしまいました」



 私がトホホって表情をしていると、フィーネさんはそんな私を見てウフフって笑った。



「そうですね、そういたしましょう」



 お育ちが良さそうで、明るく優し気な雰囲気。これが私とフィーネさんの初めての関わり合いでした……


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