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3話 いざ教室へ

 もう外の景色も薄暗くなった頃、ドアがノックされた。「アグリさん夕食の時間です」と声をかけられた。ドアを開けると、私より少し年上の女の子が立っていた。



「初めまして、私は304号室のリサです。よろしくお願いします」と挨拶された。


「アグリです。こちらこそ、よろしくお願いします」



 私も挨拶を返し、2人で食堂へ向かう。食堂にはもう皆が揃っていた。食堂に着くとメリル先生に「こちらへ」と皆の前に立たされた。



「今日から寮生活をする新入生のアグリさんです。白魔法士なので皆さんと接するのは、ほぼ学生寮だけになると思いますが、よろしく面倒をみてあげてください」とメリル先生に紹介され、私も「アグリです。よろしくお願いします」と挨拶をした。


 私を呼びに来たリサさんを除くと、他の寮生さんは大人に見えた。後で確認するとリサさんは中等部1年生で他は高等部生だから納得。挨拶を終えると席につき食事となった。はっきり言って学生寮の食事は超豪華!料理の品数はそれ程でなくても、素材の質や数は村では考えられないレベル。自分がお貴族様にでもなった気分♪私は正面に座っているリサさんに聞いてみた。



「毎日こんなおいしい食事が出るの?」


「うん、毎食こんな感じ。でも特別な日はもう少し豪華になるのよ」



 この食事より豪華になるって、私の想像ではもついていけません(笑)




 翌朝もリサさんが朝食のお誘いに来てくれた。



「夕食からは自分で降りてきてね!」


「はい」



 食堂へ行き、昨夜と同じ席につくと、年長のサキさんが制服を持って私の横へきた。



「これが制服です。とりあえず1着だけ。残りは今夜になるそうですよ」



 そう説明してくれて、制服を渡してくれた。制服を受け取り、「ありがとうございます」とお礼を言ったけど、私は別のことに気を取られていた。受け取った制服のなんと肌触りの良いことか!こんな高級な布がこの世に存在することすら知らなかった。この服を着た時にどんな着心地なのだろう……と考えただけで天にも昇る気分です。


 落ち着きを取り戻して食事に戻ると、向かいのリサさんが私に話しかけてきた。



「今日は初等部1年生の教室までは私が案内していきます。食事を終えたら制服に着替えて鞄を持ってここに集合です」


「はい、お願いします」



 いよいよ教室に向かうと思うと、緊張してきた。


 食事を終えトレイを戻しに行くと、食堂のおばさんことヒビキさんに、「はい、昼ご飯。お弁当箱は夕食のときに持ってきてね」と弁当箱を渡された。孤児院では普段は2食だったので、お弁当箱を片手にこれまたビックリ。嬉しいビックリは大歓迎です(笑)




 支度を整え食堂に降りると、すぐにリサさんも降りてきた。


「それでは行きましょうか」と2人そろって学生寮を出て学習館へ出発。


 教室に向かう道すがら、リサさんはいろいろなアドバイスをくれた。



「他の生徒さんは皆お貴族様。だから学業のお話し以外はチンプンカンプンだけど気にしちゃダメよ!」


「他の生徒さんも悪意は持っていないの……どんなに気分の悪くなる話しをされてもそれだけは忘れないでね!」


「昼食も基本は1人で食べるものと覚悟しておいてね。お貴族様の作法で食べるのは正直しんどいから!裏ワザとして学生寮の食堂に戻ってきて食べる手もありです。これが1番落ち着いて食べられるかもしれない……」


「困ったことは先生に相談が基本だよ。アグリさんも魔法士候補生で王国からみたら貴重な人材なの。だから先生方もあなたの悩みに親身に応じてくれるから安心して!」



 リサさんのアドバイスはありがたいけど、聞くたびに不安が増していく……




 いよいよ教室に到着。リサさんは教室後ろ側のドアを開けて、「皆様ごきげんよう!」と明るく挨拶しながら教室に入っていく。教室前方にいる一人の女の子――を囲むように集まっていた人々が、一斉に視線をこちらに向けて、「ごきげんよう」と挨拶を返してくれた。



「一般生徒のアグリさんをお連れしました。皆さんよろしくお願いしますね」



リサさんの挨拶の後に、私も続けて。



「一般生徒のアグリと申します。よろしくお願いします」と頭を下げた。


「よろしくお願いします」と皆さんも会釈を返してくれたけど、挨拶を済ませるとまた1人の女の子を囲む形の談笑に戻ってしまった。


「アグリさんはこの席に座ってね。鞄は机横の鞄かけにかけておくの。授業には教科の本と羽ペン、インク、紙を用意して、黒板に書かれたことをメモしていってください」とリサさんがアドバイスをしてくれた。


「どうしても他の人に相談しにくいことがあったら、1階上の中等部黒魔法士1年のクラスに来てね。そこに私がいるから!」と言い残し教室を出て行った。


 私は言われたとおり授業を受ける準備をして一息つくと、すぐに女性の先生が教室に入ってくる。



「皆さん着席ください。それと後ろの席に座っているのはアグリさんかしら?前方の席につめてください。このクラスはこれで全員ですから……」


「はい」



 私は荷物と鞄を持ち前方の席へ運び始める。移動の完了を見計らって先生は挨拶を始められた。



「私がこのクラスの担任のフレデリカです。何事もなければ貴方達の卒業までの初等部2年、中等部2年、高等部3年の7年間を一緒に過ごすことになります。皆さんもクラス替え等は無いのでこのメンバーで7年間同クラスとなります」


「それと大切な注意点で、この学園の敷地内では身分の違いはありません。これは国王陛下のご命令です。ですので皆さんはお互いを~さんと呼び合ってください」


「もし万が一、身分を意識した行動や言動をされた場合、罰せられることになりますので、皆さん十分にお気をつけください」


「本日はこれから入学式、その後構内を案内して回ります。入学式は学習館の1階左側の大講堂で行います。新入生は最前列の席に座ってください。荷物はここに置いたままで、大講堂へ移動してください」


「はい」



 いよいよ入学式です!


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