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34話 キツカお兄様との挑戦2

 翌朝の朝食の席で、お父様とフィーネさんは不機嫌顔、お母様とカイトお兄様とレイスお兄様はにこにこ顔、キツカお兄様は平常通り、私はにこにこ顔と様々。そして食事が終わった頃、キツカお兄様は白い石を持って私の隣にきた。



「アグリ、すまないがその石を指でつまんで魔力を送ってくれないか」



 私は指でつまんで石に魔力を送ってみた。すると石の白い濁りが消え透明に変化した。



「キツカお兄様、なんときれいな石でしょう!」



 キツカお兄様は私から石を受け取ると、「この石で決まりだな!」と決め台詞(笑)



 ――それを耳にした使用人の女性たちは、お2人はもう指輪の石の話をされているの?でも昨夜のお話しならそうなのかも、キャッ!それを聞いてお父様とフィーネさんの眉間にしわが……



 するとキツカお兄様は私の耳元でささやきます。



「アグリも気づいたと思うが、白い杖の石に似てないか?」



 私も大きくうなずいた。



「アグリ、今日の夕方に父上のところに一緒に来てほしい。大事な話しを父上にせねば」



 ――それを耳にした使用人の女性たちは、ご当主様に2人で大事なお話しなら……もう確定で間違いないわね!まだ、アグリ様が来られて1月も経たないのに情熱的で素敵、キャッ!それを聞いてお父様とフィーネさんの眉間にさらにしわが……




 そしてその日の夕方、キツカお兄様がお仕事からお戻りになり、部屋着に着替えたところで、私の部屋に迎えに来てくれた。ドアをノックされたので、私が出ていき、2人でお父様の部屋に向かう。お父様の部屋の前でキツカお兄様がノックをする。



「キツカとアグリです。少々よろしいですか?」



 ――屋敷内の皆がソワソワしている。ご当主様はお2人のこと、お許しになるのかしら?



 2人で部屋に入ると、お父様は1人でソファーに座っていた。どこか落ち着きのない様子だけど、どうされたのかしら?私とキツカお兄様も向かいのソファーに腰かける。そしてキツカお兄様が話し始める。



「父上に大事なお話しがあります」



 キツカお兄様の言葉を聞いて、お父様が背筋をのばす。



「話しとは何かな?」


「実はアグリと……?何やら外が騒がしいな、少々お待ちを」



 ふーっ、とため息をついたお父様の横を通り、キツカお兄様がドアを開け、廊下にいる使用人たちに伝える。



「すまないが、今父上と大事な話しをしているので、もう少し静かにしてもらえるか」



 皆が一斉に頭をさげ、「申し訳ございません」と言ったとたんに走り去っていった。


 キツカお兄様がお戻りになり、話しを再開。



「中座失礼しました。実はアグリと思念の伝達についての研究をしています」



 お父様はハイ?って顔になられて固まってしまわれた。キツカお兄様が再度話す。



「聞き取りにくかったですか?ではもう1度、私とアグリで思念の伝達についての研究をしています」



 お父様は冷静さを取り戻したいようなご様子。



「それで?」


「当家の外部記憶装置を使わせていただきたいのと、当家の家宝の白石のブレスレットをアグリに貸してやってください」



 お父様は今度は少々驚いたお顔。



「キツカ、アグリの前で外部記憶装置の話しは……」


「アグリは魔法学校の図書室で3年間外部記憶装置を使っていたそうです。そしてアグリは使い方にも精通しています。おまけに魔法学校の校長より譲り受け、外部記憶装置を個人で所有しております」



 お父様はまたハイ?って顔になられて固まってしまわれた。



「王国の機密事項ではなかったか?」


「アグリが所有しているのは図書室向け対話モードのタイプだったようです。あっさり解除できたようですが。まぁ、外部記憶装置が国家機密だったのは父上が学生の頃までのお話しですし」


「国家機密でないのなら、外部記憶装置の使用については問題ない。誰も使用していなかったので、掃除はたのむ。それと、白石のブレスレットはどう関係してくるのだ?」



 キツカお兄様がお父様に石を手渡し熱く語り始める。



「父上にお渡しした石は白結晶石です。そしてアグリに授けた白い杖の石はたぶん白結晶石でしょう。また、私の想像ですが白石のブレスレットも白結晶石だとにらんでいます。私たちの想定では、外部記憶装置と外部記憶装置との通信は長波の思念が使われていて、その思念の送受信は白結晶石を使用しています」



 キツカお兄様はのどが渇いたのか、お父様のお茶を飲み干して話しを続けた。



「私の仮説ですが、白結晶石の送受信は白と透明の明滅を使用しているのではないかと考えています。そして今のところ石を透明にできるのはアグリただ1人。ですので、アグリに白石のブレスレットを使用させ、接触せずに外部記憶装置と対話できるか確認したいと思います」



 お父様は考え込んでいるようです。



「白石のブレスレットの使用も許可しよう。ただ、アグリですら白と透明にするだけで、石を明滅させるなどできるのか?」


「外部記憶装置でやっていることを、アグリにもやってもらえば良いだけです」



 あらら~、キツカお兄様のお顔がマッドサイエンティストになってます!




 結局、お父様も実験に立ち会いたいということで、次の休日に実験決行とった。キツカお兄様がすべての準備をしてくれるそうだ。私は実験の時に私の外部記憶装置を持ってきて欲しい、だけのようです。お役に立てずごめんなさい。


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