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名もなき少女から始まった、魔法士の系譜  作者: みや本店
4章 大陸に生きる者編
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46話 ツバイス領と北第3国境門

 超高速タイプの飛び箱に乗ると、港から北第3国境門までは1時間もかからずに到着することができた。僕はツバイスさんの指示に従い、お城の庭に飛び箱を降ろさせてもらった。突然の来訪にもかかわらず、僕たちに気づいた人たちは出迎えに庭に出てきてくれた。



「グラン公爵様、アスカ奥方様、お初にお目にかかります。筆頭執事を務めているゼブリと申します。何なりとお申し付けください」


「ゼブリさん、ご挨拶をありがとうございます。皆さんにもこの領地の現状についてお話ししたいので、皆さんに集まってもらってください。せっかくなので皆さんとお茶をいただきながらお話ししましょう」


「公爵様、皆さんとはどなたのことを言われていますか?」


「お城でお勤めになっている全員ですけど、何か問題がありますか?


「かしこまりました。皆に声をかけますので、しばらくお部屋で休憩をしてください」


「皆さんは食堂に集まりますよね?私たちも食堂で先にお茶をご馳走になって待っていましょう」


「かしこまりました」



 ゼブリさんは飛び箱に乗ってきた皆を食堂に案内してくれて、近くにいた給仕の女性にお茶の準備を指示してくれた。ゼブリさんは僕たちに会釈してから、お城の皆さんに声をかけに出ていかれた。


 ゼブリさんと入れ替わるように1人の女性が僕とアスカのところに挨拶に来てくれた。身なりが立派なのでお貴族様なのでしょう。お貴族様ということは……ちなみに杖を背負われているので魔法士のようです。



「公爵様、奥方様、お初にお目にかかります。ツバイスの末の妹のサリーと申します。わざわざ遠くまで足を延ばしてくださり、ありがとうございました」


「私がグランで、隣にいるのが妻のアスカです。今後もよろしくお願いします。サリーさんは魔法士ですよね?」


「御前で杖の携帯を失礼しました。ここは国境門にも近く時折魔獣を見かけたとの報告がくるので、領兵と共に討伐に向かうことがあるのです」


「ほうほう、魔獣討伐にはどんな魔法を使っているのですか?」


「土の魔法です。公爵様ご夫妻よりお送りいただいたダンジョンの攻略本を参考に、土の魔法を使用しております」


「土の魔法は魔獣の足止めには効果的ですから。メリオス王国の近衛兵団でも習得を推奨されています。サリーざんは優秀なのですね。では、お近づきの記念に2つプレゼントしましょう」



 僕はリュックからダイヤモンドの杖とダイヤモンドのブレスレット、それとミスリルの細剣を2本取り出した。そしてまずはサリーさんに杖とブレスレットをお渡しする。



「杖は私も使用しているダイヤモンドの杖です。とても素直で高性能なので使ってみてください。ブレスレットはメーリン王妃様に献上したブレスレットと同様に使えるものです。サリーさんにお渡しするのは私のお手製で安物ですけどね。これで外部記憶装置を遠隔で使えます。外部記憶装置を介して人と話しやメッセージのやり取りもできます。私も妻も使っているのでサリーさんも持っていてください。私と妻はエコという外部記憶装置です。サリーさんは……ツバイス城ですか。試しに私と妻と3人で会話をしてみましょう」



 サリーさんは何の苦労もせず、あっさり3人での会話も始められるようになった。急ぎの用事があればこれでやり取りをしましょうとなりました。


 ミスリルの剣はツバイスさんとザルツさんにお渡しした。アスカが使っている剣と同じ剣ですと伝えると、38階層の階層主をこの剣で倒しますと気合を入れられてしまいました(笑)




 人が集まりお茶も出そろったところで、ツバイスさんに揃いましたと声をかけられた。僕とアスカが立ち上がって皆さんに挨拶を始める。



「皆さん始めまして、ルディア国王陛下よりルディア共和国の公爵を任命されました、グランと申します。隣にいるのが妻のアスカです。今後ともよろしくお願いします。皆さんもお耳にされていると思いますが、ルディア国王陛下よりツバイス領の領主も拝命しています。また、ツバイス家の皆さんには公爵家の専属のお手伝いをしていただくことになりました。このようにお話しするとツバイス家が私に取り上げられたように聞こえますが、ツバイス家にとっては出世と同じことなのです。私と妻はツバイスさんと協力してハリメデ王国のラール港を魔獣の手から取り戻すお役目を受けています。このお役目はもちろんツバイス家の皆さんにも同様に国王陛下より拝命しています。よってツバイスさんにはラール港の管理、ザルツさんにはツバイス領の管理、サリーさんには王都で連絡官と王宮の部屋の管理をお願いしたいと考えています。ですので、これからもツバイス領はツバイス一族の方が管理を続けられ、それは代々変わることはありません。よってツバイス家で働いていただいている皆さんも、今までと何ら変わることなく生活を続けてください。ザルツさんと何なりと相談してこの領地とお城を守ってください」



 僕が挨拶を終えた後は、皆さんから疑問や質問を受け付けた。皆さんが気にされていたのは僕とアスカがこの城で過ごすときの部屋についてだった。新しい僕たち専用の部屋をどうするかと相談されたのだ。



「このお城で私と妻のためのお部屋は不要です。このお城に滞在するときは客間を貸してもらいます。それで十分です。そうそう、皆さんにお伝えしておくことがありました。ことによると明日、国王陛下と王妃様がお城に寄られるかもしれません。お迎えできる準備は進めておいてください。サリーさん、国王陛下がこられるようなら連絡をします」



 お城で働いている皆さんは、これからも変わらず働けることに安堵されていた。どこの馬の骨とも知らない公爵が突然領主になりましたでは、皆さんが心配されるのも無理はありませんね。ただ、ラール港で不足した物資の購入はツバイス領でお願いした方がいいかもしれません。その分で領民の皆さんの懐が潤えば喜んでもらえるでしょうから。そうなると、閑散としていた国境門の前の広場も一部の店舗は再開を検討してもらいましょう。


 こう考えていくと領地を治めるとはどれほど頭を悩ませることか。早々にザルツさんとゼブリさんにお任せしてしまいましょう!


いつも読んでいただき、ありがとうございます。

今回の掲載を最後に、毎日の掲載は終了とさせていただきます。

今後は書きあがった話しを順次掲載していきます。

これからもよろしくお願いいたします。

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