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名もなき少女から始まった、魔法士の系譜  作者: みや本店
4章 大陸に生きる者編
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41話 大陸の平穏は国王陛下に丸投げです!

 僕とアスカが壁の前に戻ると、壁の前には不安そうな国王陛下と王妃様が立っていた。



「2人ともご無事か?体に異常はないか?」


「はい、国王陛下。私も妻も体調に問題はありません。中には部屋があり、創造主様ともお話ししました。2人で指輪を賜りました」


「うむ、ルディア国王家に伝わる王家の指輪と思われる。王宮に戻れば古文書が残っているだろう」


「初代のルディア王は指輪を手にされたと、創造主様はお話しになりました」


「では、公爵と奥方に大陸の王になるよう、創造主様はご指示されたのだな?」


「それについては戻ってからお話ししましょう。今後のことも含めてお話しもしたいので」



 4人は黙ったまま歩き出し、王宮の部屋へ向かった。途中で護衛の人たちも合流したが、僕たちはひたすら王宮を目指して歩いた。幸い図書館も王宮に隣接している建物なので、それほど時間はかからず王宮の玄関に着いた。国王陛下と王妃様はすたすたと歩き続けると、次第に後ろについてくる人の数が減っている。ことによると、入室の許可を持っていない人たちが、ここまではついてこれなくなっているのかもしれない。そして立派な扉を国王陛下自ら開いて僕たちを部屋に招き入れてくれた。



「公爵、奥方。この部屋は王家の者のみが入れる部屋だ。のんびりしてくれ」



 のんびりしてくれと言われても……僕とアスカが困っていると、王妃様がこちらへと言ってソファーのある部屋に案内してくれた。僕たちを座るように言われた後、王妃様自らがお茶をいれてくれる。



「王妃様もお湯の魔法が使えるのですね」


「これでも王国を代表する高位魔法士です。公爵殿の使われている魔法もどのような魔法か想像して楽しんで見ていました。ただ、右腕の魔法は……」


「お気づきになられましたか。初めてダンジョンの38階層のボスと戦ったときに右腕を負傷しまして、右腕はもう動きませんし感覚もありません。今は魔法で動かし魔法で感じています」


「ルディア共和国でも38階層の階層主にツバイスを立ち向かわせました。ただ、討伐を目的にしていたのではなく、どれほどの階層主かを知るための調査のようなものです。多くの魔法士を従えていきました。ツバイスは一太刀受けたところで無理だと判断して、魔法士全員による足止めの魔法を使い、ようやく皆で逃げ帰ってきたのです」


「38階層のボスと戦った英雄を、なぜ私たちに預けるようなことを、国王陛下はされたのでしょうか?」


「国王陛下はお2人が王の間に入れると確信されていたのでしょう」


「それが目的で私と妻をルディア共和国にお呼びになったのですか?」


「もちろんそれだけではありません。ただ、指輪を賜ったことで、もう少し今後のことを話す必要はでてきました」



 国王陛下が古い羊皮紙のような革の巻物を持って戻ってこられた。机の上に広げると、指輪の文様のようだった。



「公爵と奥方が賜った指輪はこの文様か?」


「多分違うと思います。創造主様は私と妻用だとお話しされていましたから」



 僕はそう言ってはめていた指輪を外し、国王陛下にお渡しする。国王陛下は受け取ってよいものか躊躇されたようだが、僕から指輪を受け取りじっくり観察を始めた。アスカも指輪を外して王妃様にお渡しした。



「指輪の形は同じで文様は別、石の中に描かれているのは……この大陸か?これは絵と同じようだな」


「国王陛下、私と妻が創造主様とお話ししたときに、2人は大陸の王になる気はないとお伝えしました。現在の3王体制を維持する方がこの大陸の安定に長く貢献するだろうからと説得しました。創造主様は私と妻の考えた通りにやってみてよいとご許可くださいました。ただ、条件として3王には賜った指輪を見せなさいとも言われました」


「2人は王になる気はないのか?創造主様もお認めになったのだぞ」


「私はこれでもメリオス王国最高の魔法士を自負しています。なので寿命はあと5、6年といったところでしょう。王となったところでそれほど大陸に長く貢献できません。それらな、現在の3王が協力して大陸を収める体制を確立した方が得策だと考えます。指輪をお見せするために3王には集まってもらって、大陸の未来について話しをしてほしいと考えています」


「なるほど、確かに高位の魔法士は短命ではあるな、儂の王妃も3人目だ。前の2人も高位魔法士でルディア共和国のためによく働いてくれた。今の王妃も高位魔法士だ。ルディア共和国の王妃は高位魔法士と決めておるからな」



 国王陛下は話しをしながら指輪といくつかの古文書を見比べていたけど、確認が終わったのか僕に指輪を返してくれた。王妃様もアスカに指輪を返していた。



「公爵と奥方には儂と王妃を連れてある場所に遠征をしてもらいたい。そのこともあり、ツバイスを2人に預けた。あれは剣も振れれば政治もできる傑物だからな。ルディア共和国での2人の役目が終わったところで、儂と王妃は飛び箱に乗せてもらいフィル王国を訪れよう。2人にはメリオス王国に戻りメリオス王をフィル王国にお連れ願いたい。そこで大陸王と3王で話しをすることにしよう」


 えーと、大陸王って僕とアスカのことだよね。うーん、王にはならないと言っておいたのに。でも、3王と話せるのはありがたい。フィーネ伯母上と話して、国王陛下に準備を進めておいてもらおう。




 4人で部屋に引きこもり長く話しをしていたので、周りの人はさぞ心配をしているでしょう。そろそろ部屋の外へ出て皆さんに顔を見せた方がいいでしょう。ちょうどお腹もペコペコですし。僕のそんなトホホな考えが見透かされたのか、王妃様がそろそろ昼食にしましょうと言ってくれた。


 僕たちが部屋の外に出ると、ラッサさんとメディさんは安堵の表情をしていた。それはそうですよね、護衛対象の2人が今日はぜんぜんどこにいるかも分からない状況なのですから。ラッサさんとメディさんはきっとネレイ少佐にも行先を聞いただろうけど、ネレイ少佐だって聞かれたとて分かりませんとしか言えないですよね。国王陛下ご夫妻が公爵ご夫妻を連れてどこかへ消えてしまったのですから。でも、大丈夫です。これからは皆さんと行動を共にしますので(笑)


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