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名もなき少女から始まった、魔法士の系譜  作者: みや本店
4章 大陸に生きる者編
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39話 ルディア共和国の神殿

 朝の訓練を終え、国王陛下や皆さんが帰っていかれた。ツバイスさんは領地と共和国軍の引継ぎをした後に、僕たちに仕えさせてもらいますとだけ言って帰っていかれた。僕は今でもこの状況が理解できていない。しばらく時の流れに従いましょう。


 朝の訓練は中途半端なまま終了となった。ネレイ少佐とディリア少尉も国王陛下と共に屋敷に来られていたが、お2人はこのまま屋敷に残るようだ。僕たちがお風呂に入って着替えをしますと伝えると、食事の後に神殿に行きますと言われた。


 お風呂から上がって着替えを済ませ、食卓に向かう。もう皆さんは席に着いていた。僕たちが席に着いたところで食事が始まった。僕は食事をしながらツバイスさんのことを聞いてみた。ツバイスさんは伯爵家でツバイス領の領主でもある。共和国軍の副団長と共和国軍第1師団長を務めていて、共和国軍最強の剣士と言われている。ダンジョンで38階層の階層主(ルディア共和国とフィル王国ではボスのことを階層主と呼ぶそうだ)と戦った経験を持つ。ほうほう、38階層のボスと戦って無傷で戻ってきたとは強者なのは間違いない。ツバイスさんのことは国王陛下にお考えを伺ってみましょう。




 朝食を終えお茶をいただきながらしばし休憩。ネレイ少佐にそろそろ神殿に向かいましょうと声をかけられて屋敷の庭に出た。僕たちは馬車、他の皆さんは馬に乗って神殿へ向かいます。神殿は僕たちが滞在しているお屋敷の、王城や王宮の敷地を挟んで反対側。かなりいい場所に存在しているようだ。


 神殿の前で馬車が停められ、僕とアスカが馬車を降りる。驚いたことに国王陛下と王妃様も来られていた。国王陛下ご夫妻、フットワーク軽すぎではありませんか?僕たちが国王陛下ご夫妻のところへ向かおうとすると、気にせず神殿に向かえと言われ国王陛下の指示に従うことにした。


 神殿に入ると、神殿長も神父の皆さんも僕たちを出迎えてくれた。僕とアスカがメリオス王国式の臣下の礼で神殿長にご挨拶をする。挨拶が終わったところで、神殿長に3人だけでお話ししたいと伝ええると、神殿長室に案内してくれた。僕は歩きながらこの神殿には庶民は来れないのですか?と尋ねると、神殿長は庶民は来ませんと答えてくれた。もちろん神殿が拒んでいるのではなく、場所が貴族街にあるからだ。ただし、庶民街にも多くの礼拝堂があり、庶民はそこでお祈りをするそうだ。メリオス王国やフィル王国よりも信仰心をしっかり持っているお国柄のようだ。


 神殿長のお部屋は祭壇奥の地下を通り過ぎ、導きの書が置かれている部屋の並びにお部屋があった。もちろん僕とアスカはえっとなりながら通り過ぎたけど。


 神殿長に席を勧められ、2人で席につく。神殿長がお茶をいれてくれてお茶をいただきながら話しを始めた。



「神殿長、メリオス王国には導きの書があります」


「はい、存じております。この神殿にも導きの書があり、公爵様ご夫妻が来られることは、創造主様から伺っておりました」


「そうでしたか、それは安心をしました」


「国王陛下と王妃様にも創造主様のことはお話しをしており、お2人は創造主様がおられることを信じてくださっています。大陸のことについてもお考えをお持ちのようです」


「神殿長、私と妻は創造主様から大陸のことを頼むと言われるのですが、何を言われているのか分からないのです」


「そうでしたか……では3人で創造主様にお会いしてみましょう」



 神殿長も何やらお考えがあるようだけど、僕には分からない。今は神殿長に従って創造主様とお話ししてみよう。僕たちは導きの書が置かれている部屋に入り、導きの書に手を触れる。創造主様のおられる草原に導かれる。



『デイジ、グラン、アスカよく来ました。デイジ、王家の間で2人の資格を確認させなさい』


『かしこまりました。ルディア国王陛下が準備を進めてくれているようです』


『資格を持たぬ者のようですが、大陸のために働いてくれていることは認めましょう。ただ、すべてはこれからです。デイジはグランとアスカの面倒を見てあげなさい』


『創造主様、私とアスカは大陸でどのように貢献すればよろしいのでしょうか?』


『グラン、そう慌てなくても大丈夫です。自然に役目に気付くでしょうから』


『分かりました。その時が来るまでできることをしておきます』


『グランとアスカは今はそれでいいでしょう。何事もエコリアスと相談なさい』


『かしこまりました』



 僕たちは導きの書の部屋に戻ってくる。神殿長を先頭に僕たちは祭壇まで戻った。祭壇の横には国王陛下と王妃様が僕たちのことを待っていた。



「神殿長、公爵と奥方は導かれたのだな?」


「はい、国王陛下。公爵様ご夫妻を王家の間で資格の有無を確認されるようにと仰せつかりました」


「うむ、創造主様の御心に従おう。これから2人を案内するとしよう」




 ここで神殿長とはお別れして、僕とアスカは国王陛下と王妃様の後の続いて神殿の隣の建物に向かった。ここは図書館のようだけど、ここに何かあるのかな?僕とアスカは何も理解できぬままお2人の後ろに付き従ってただただ歩いた。図書館の最奥の扉に到着すると、国王陛下は魔力を帯びた鍵のようなものを使い扉を開いた。扉の先に進んだのは国王陛下ご夫妻と僕たちの4人だけだった。僕たち4人が部屋に入ると扉は勝手にしまってしまう。途端に部屋の中は真っ暗になった。王妃様が魔法で辺りを照らしてくれて、さらに狭い通路を先に進む。ただ、その通路は行き止まりだった。



「公爵、奥方、この先は導きの間のような部屋だと言われている。資格のない者は入れない。儂と王妃も入れなかった。神殿長も入れなかった。創造主様が2人の資格の有無を気にされている。試してくれ」



 僕とアスカは壁に向かって歩み寄るのでした。


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