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名もなき少女から始まった、魔法士の系譜  作者: みや本店
4章 大陸に生きる者編
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37話 ルディア共和国に到着

 ほぼ時間通りにフィル王国の王宮に着陸した。飛び箱の出入り口を開けると、ナイアさんとスピナさんが出迎えてくれた。



「お久しぶり……ではないですね。しばらくお2人には会えないかと思っていましたが、こんなにすぐに再会できるとは思いもしなかったです。でもお2人に会えてうれしいです。今回の護衛はラッサとメディが勤めています」


「公爵様、奥方様、よくおいでくださいました。今回も私とスピナでお世話をさせていただきます。スピナはルディア共和国へも同行いたします。飛び箱はそのままで大丈夫です」



 前回滞在していた部屋に招かれる。食事をするときに使っていたテーブルもそのままだ。給仕をしてくれるメイドさんたちも前回と同じ。僕もアスカもにっこり笑顔で、今回もお世話になりますと会釈をしておいた。


 食事をしながらルディア共和国の王宮まではここから4時間を見込んでいるとお伝えした。まぁ、驚かれるのも当然です。単騎の馬ならかなり無理して4日の距離。それも飛び箱なら絶対に安全な旅でもある。地上を馬車で移動なんて言ったら、護衛の兵士は必要になり、兵や馬の食料も一緒に運ばなければならない。盗賊や魔獣や獣に襲われる危険もある。実際にフィル王国では盗賊の襲撃を受けたしね(笑)


 食事が終わるとすぐに出発準備。スピナさんとフィーリさんの荷物を預かり、物置の中に片付ける。部屋の外へ出て飛び箱の出入り口を開いて6人で中に入る。2人の分のイスも出して。準備は完了です。お見送りの人たちに挨拶をしながら飛び箱を上昇させ、ルディア共和国へ向けて出発です。




 エコに声をかけられたのは夕方の5時近く。まだ夕焼けというほどオレンジ色にはなっていない。ルディア共和国の王宮の庭は初めてなので、皆で下を確認しながらゆっくり降りた。徐々に高度を下げ続けて無事に着陸完了。4人には先に降りてもらい、僕とアスカでテーブルとイスを片付け、物置を小型化しベルトの箱にいれる。外に出て飛び箱を杖に戻して腰のベルトに差す。ルディア共和国の皆さんは初見なので驚きの声を上げられていた。明らかに国王陛下と王妃様と分かるお2人が僕たちのそばまで歩いて来られた。僕たちはメリオス王国流、スピナさんたちはフィル王国流で礼をする。



「メリオス王国より参りました、公爵のグランと申します。隣にいるのが妻のアスカです。また、フィル王国のスピナ様もご一緒していただきました」


「公爵、奥方遠路はるばるよくきてくれた。スピナ嬢は久しぶりだな。儂がルディア国王だ、隣は王妃のメーリンだ。よしなに頼む。堅苦しい挨拶はここまでだ。儂は堅苦しいのが苦手でな。今夜はゆっくり部屋でくつろいでくれ、今後の予定は明日にでも調整してくれ。何か困りごとがあれば、何なりと係りの者に伝えてくれ。では、また明日」



 国王陛下はそれだけ言うと、サッと身をひるがえし去って行かれた。王妃様もにっこり微笑まれ会釈をした後、国王陛下の後に続かれた。僕たちの前には1人の女性と1人の男性が歩いてくる。スピナさんのところには別の男女が1人ずつ歩いていく。


 僕とアスカの前で女性が立ち止まり敬礼をする。



「公爵様、奥方様、ルディア共和国へようこそ。お2人のお世話係を担当します、共和国軍魔法士団少佐のネレイと申します。隣にいるのが私の護衛で少尉のディリアです。早速ですが馬車までご案内させていただきます」


「ネレイ少佐、スピナ様のお荷物は私が預かっています。スピナ様が別の馬車に乗られるのでしたら、お荷物はお預けしたいのですが」


「馬車は別となります。馬車の近くで荷物をお預かりさせてください」



 僕が物置に入れて荷物を持ち歩いているのを知っているんだね。フィル王国から僕たちのことが伝わっているんでしょう。僕たちは何も言わずスピナ少佐の後に続いて歩いた。


 僕たちが馬車に近づくと、何人かの共和国軍の兵士が荷物を受け取りにきてくれた。僕はベルトの箱から物置を出して、元の大きさに戻す。物置のふたを開け、預かっていたいくつかの箱を取り出して兵士に預けた。僕は再び物置を小さくして、ベルトの箱に入れた。


 馬車には僕が先に乗り、アスカの手を引いて馬車に乗せる。2人で座ったところで扉が閉められる。馬車が進み始め、僕は窓の外を眺める。王宮の庭を過ぎると道を挟んだ向かい側には大きなお屋敷が並んでいた。メリオス王国の貴族街のようにお屋敷の敷地が碁盤の目のように配置されている。メリオス王国の貴族街の数倍の規模のようだけど。僕たちの馬車は曲がることもなく、正面の屋敷にそのまま入っていった。スピナさんの馬車は左へ曲がっていった。隣の屋敷がスピナさんの宿舎のようだ。




 玄関先に馬車が停められ扉が開く。僕が先に降りてアスカの手を取りアスカを降ろす。ラッサさんとメディさんは乗ってきた馬から降り、手綱を屋敷の男性に預けて僕たちの前後に並んでくれた。


 ネレイ少佐のお部屋にご案内しますの声で玄関の扉が開かれる。メリオス王国の玄関より広く、フィル王国の玄関より狭い。ただ、ソファーが置かれているので、フィル王国風なのは間違いない。さらに進んで扉を抜けると、今度は部屋内のフロアと言った感じだ。この部屋がフィル王国の玄関のような役割かもしれない。ネレイ少佐は右折してその先の扉を開く。ここが居間のようだ。ただ、この居間もかなり広い。ルディア共和国の様式は広い部屋に少ない家具なのかもしれない。今のところそんな印象を受けている。


 ネレイ少佐にソファーを勧められ僕たちはソファーに腰かけた。僕の座った左横にネレイ少佐は立っている。ネレイ少佐が話し始めようとしたところで、僕はまず質問した。



「ネレイ少佐、この屋敷の中はグラン公爵家のルールで過ごしてもいいですか?」


「はい、メリオス王国滞在中はこちらをご自分の住まいと思っていただいて結構です」


「ありがとうございます。では、ネレイ少佐、私の正面に座ってください。そのお隣にディリア少尉。できればこのお部屋の中ではネレイさんとディリアさんとお呼びしたいのですけどね。ラッサさんとメディさんもソファーに座ってお茶をご一緒してください」



 ラッサさんとメディさんは左側のソファーに並んで腰かける。ネレイ少佐とディリア少尉はその行為をぎょっとした目で見ている。誰も何も言わないので部屋の中はシーンと静まり返ってしまう。根負けしたのか、ネレイ少佐は諦めてソファーに腰かけたが、ディリア少尉は頑なだった。僕が動かないディリア少尉をちらっと見ると、ディリア少尉も諦めてソファーに座ってくれた。



「この6人は部屋の中では常に座って話し、食事のときは6人で一緒に食事をします。これがグラン公爵家流です」



 ネレイ少佐とディリア少尉は渋々了解してくれた。ただ、ネレイさんとディリアさんと呼ぶことだけはご勘弁くださいと言われたので、これは許してあげることにした。


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