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名もなき少女から始まった、魔法士の系譜  作者: みや本店
4章 大陸に生きる者編
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31話 お土産配りで大忙し

 朝は訓練とお風呂、その後は皆でそろって朝食です。メティスさんとヒメミさんに、今日はお土産を配りに回るので1日外出をすると伝えた。父上も僕たちと帰ると言って、世話になったと挨拶していた。娘たちも一緒にいきたいと言うので、今日は連れていくことにした。


 食事を終え飛び箱に乗り込む。まずは庶民街の皆さんから回りましょう!




 最初は父上のお屋敷から。セイラさんとセリアさんが玄関に出てきてくれた。僕は父上に鎧と防具、セイラさんとセリエさんには布とお茶。そして父上に試作品と伝えて魔法瓶もお渡しした。勝手に水が貯まる魔道具で、魔法士でなくても使えますとお伝えした。父上はリサさんが亡くなって、ダンジョン内の水事情が悪化していたので、とても助かると喜んでくれた。同じものをガンズさんとマルスさんにもお渡しする予定ですとも伝えておいた。最後に倉庫に案内してもらって白ワインの瓶のケースを置かせてもらう。これでお土産のすべてを渡し終えた。


 娘たちのおじい様バイバイと手を振る姿でお別れして、ガンズさんとマルスさんのお屋敷にも寄ってお土産を渡した。お2人も魔法瓶がことのほかお喜びで、グリムを誘ってダンジョンに行くか!と張り切っていた。




 孤児院では食べなかった加工肉を大量に寄付して子供たちに喜ばれた。ライザさんのお店には柄物の生地を数点。ガデンさんの店にはガデンさんに鎧と剣、ゲイテさんに魔道具。マイルさんのお店ではワインをお土産にお渡しした。マイルさんにはフィル王国のお茶の仕入れをお願いした。これは公爵家の独占ですと宣言しておいた。僕の意図を察してくれたマイルさんはふたつ返事で引き受けてくれた。また、僕がフィル王国で皆さんに振舞ったお茶を見せて、このお茶がとても評判が良かったと伝えた。そしてこのお茶はフラテル商会を通じてスぺイス侯爵様に独占販売のお話しをしてみて欲しいともお願いしておいた。スピナさんならうまいこと扱ってくれるでしょう。


 商会の皆さんのお土産を配り終えて、久しぶりにリイサさんの店に顔を出す。キキさんは公爵様ご家族のお出ましだ!と緊張していたが、僕たちは気にせずいつもの席に座る。僕たちにはランチ、娘たちにはキキさん特性のお子様ランチを出してくれた。娘たちも喜んで食べていた。僕は帰り際に、リイサさんとキキさんにお土産ですとワインとお茶をお渡しして、リイサさんにもよろしくと言ってお店をでた。


 お腹いっぱいになったところで、次は神殿です。アスカが次は神殿に行くので大人しくするようにと娘たちに注意していた。神殿の前に到着して飛び箱を片付ける。僕とアスカが娘たちの手を引いて神殿の中に向かう。僕たちは近くにいた神父様に神殿長にお声がけをお願いした後、4人で祭壇に向かってお祈りをする。僕たちのお祈りが終わると、神殿長が僕たちのそばに来てくれた。娘たちにしっかりお祈りできていましたねと頭を撫でてくださり、娘たちも神殿長に挨拶をしていた。僕とアスカでフィル王国の神殿長を創造主様のもとへ導いたことをお話しした。神殿長も創造主様から僕たちの行いのことを聞いていたようだ。僕は気になっていた大陸のことを頼むという創造主様のお言葉の意味が分かるか、神殿長に聞いてみたが神殿長も分からなかった。僕は最後に神殿長にフィル王国のお土産ですとお茶を手渡して神殿長と別れた。




 庶民街の用事を済ませ、次は貴族街。貴族街の門で挨拶しながら門を通過。娘たちもちょくちょく通過するのですっかり顔見知りだ。娘たちはいつものように手を振っている。守衛の何人かが娘たちに手を振り返してくれた。


 まずは近いビーズ伯父上のお屋敷から。あいにくご不在だったので、お土産だけ受け取ってもらってお屋敷を後にした。


 次はグリス伯父上のお屋敷。守衛さんにグランとアスカですと伝えると、大慌てで門を開けてくれた。そもそもアポなしで訪れる貴族なんていないですからね。玄関ではスミスさんが出迎えてくれて、グリス伯父上にフィル王国のお土産を届けにきただけと話すと、グリス伯父上がご在宅なので居間へどうぞと招き入れてくれた。僕たちがソファーに座って伯父上を待っていると、セシルさんがお茶とケーキを用意してきてくれた。



「セシルさん、お久しぶりです。娘たちがお世話になったようでありがとうございました。午前中にセイラさんとセリエさんにもお会いしてきて、お2人ともお元気そうでした」


「いつも姉と妹に親身になっていただき、感謝しております。姫様たちはお屋敷でもいい子でお過ごしでしたよ。ご当主様と王国の地理について勉強されていました」



 グリス伯父上が来られたところで、セシルさんは部屋を出ていかれた。僕はアスカと不在の間に、娘たちを屋敷に招いてくれたこにお礼を言った。そして多くのお土産をスミスさんにお預けした。グリス伯父上は建築系の侯爵家だけあって、フィル王国のお城や王宮、貴族の屋敷から庶民の家までいろいろい質問された。僕とアスカはグリス伯父上の質問に答え各々の見たものや感想を伯父上にお話しした。ときには僕が紙とペンでササっとスケッチしてお見せした。グリス伯父上はスケッチを大変お悦びになったので、僕は何枚も書いて絵でご説明をした。僕の描いた絵もすべて欲しいと言われたので、すべての絵をお渡しした。


 娘たちは最後に、伯父上様また遊びに来ますと挨拶すると、伯父上は娘たちの頭を撫でてくださり、いつでも遊びに来なさいと言ってくれた。僕はよい機会だと思い、グリス伯父上にダイヤモンドのブレスレットもお渡しした。フィーネ伯母上がしている白結晶石のブレスレットの代わりになるブレスレットで、今後王国内で普及させるお考えのようですとお知らせした。あいにく今のグリス侯爵家はフィーネ伯母上とビーズ伯父上が屋敷を出られ、一族の中に魔法士はいないそうだ。だが、使用人に魔法士を雇っていることで、王宮との連絡は取れていると教えてくれた。それに僕から受け取ったブレスレットは王都外の視察に行く際に連絡員に持たせることができるので、とても助かると喜んでくれた。僕は必要ならいくつでも用意するので相談してくださいとお伝えした。




 最後に伺ったのはガルム伯父上のお屋敷。門でグランとアスカですと伝えると、大慌てでマチスさんが出迎えにきてくれた。伯父上は在宅……というか、お仕事が早く終わり、もうお酒を飲まれているそうだ。夕方までにはもう少し時間があるのだけどね(笑)


 僕たちが食堂に顔を出すと、伯父上が座れ座れと席を勧めてくれた。僕はまずマチスさんにお土産の数々をお預けする。忘れないうちにブレスレットもお預けした。伯父上はたくさんのお土産に感謝すると言われたが、やはり気になるのは鎧と剣だった。



「グラン、アスカ。フィル王国では変わった金属で武器や防具を作っておるのだな」



 伯父上が珍しそうに見ながら僕とアスカに質問をしてきたので、金属を混ぜ合わせた合金でできていると話した。ミスリルには及ばないが、かなり軽く固い金属であることを伝える。メリオス王国にも欲しいと言われたので、宰相様に研究をお願いしたこともお伝えした。


 伯父上が食事をしていけと言ってくれたので、お言葉に甘えることにした。アスカはせっかくだからと、フィル王国で買ってきた白ワインをマチスさんに渡した。アスカは自分たちが不在の間に、伯父上の屋敷で娘たちを預かってくれたことに感謝していた。


 伯父上からも相談をされた。僕が渡したネックレスのことだ。王宮では僕がダイヤモンドで代用ができると伝えてきたことで、外部記憶装置を使った通信の普及急がれることになるだろうと。ただ、ガルム伯爵家は戦いを担う貴族のため、魔法士との接点がほとんどないそうだ。魔法士を雇うにしてもどうしたらいいのかと頭を悩ませているそうだ。


 僕は1人だけ伯父上のお屋敷で働くのにぴったりな人が思い浮かんだ。本人にも確認してみたいので、今は黙っておきましょう。僕は伯父上に魔法士さんを探してみますとだけ伝えておいた。アスカには僕が何やら思いついているのはばれているようですが(笑)




 伯父上にはたっぷりご馳走になり、お屋敷を後にした。僕は飛び箱を出そうとしたけど、今夜はやめた。もう娘たちがうとうとしていたので、僕とアスカが娘たちを抱っこしているからだ。



「アスカ、久しぶりに庶民の頃に戻ったつもりで、歩いて帰らない?」


「いいですね、庶民の頃はいつもおしゃべりしながら歩いて帰っていましたものね」



 2人で星空を眺めたり、娘たちの寝顔を見たり、伯父上のお屋敷のお料理がおいしかったとか、そんな些細なおしゃべりがとても楽しい夜となりました。


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