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名もなき少女から始まった、魔法士の系譜  作者: みや本店
4章 大陸に生きる者編
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16話 フィル王国での晩餐会と食事会

 アークさんのお店から部屋に戻り、のんびりお風呂に入った。今夜は晩餐会が開催されると伝言が残されていたからです。逆に言えば晩餐会までは自由時間がとれるのですがね。


 僕はフィーネ伯母上に向けてメッセージを書き現状報告。アスカは娘たちの様子を伝えるヒメミさんからのメッセージを読み、娘たちへのメッセージと、ヒメミさんへのメッセージを書いていた。ヒメミさんはわざわざ父上の屋敷まで様子を見に行ってくれたようだ。明日から娘たちがダンジョンに行くとのことで、しばらく状況報告はお休みとも書かれていたようだ。


 アスカがしんみりしているので、僕はアスカの肩を抱き寄せる。アスカは僕にもたれかかってきた。自由時間ができるといろいろ考える時間ができて、かえって切ない気持ちにもなる。




 そろそろ支度の時間となり、僕もアスカも着替えを始める。僕がアスカの髪を整えアクセサリーも着ける。お互いに最終確認をして支度は完了。居間へ移動してお呼びがかかるのを待った。


 僕たちを迎えに来てくれたのはスピナさんだけだった。ナイアさんはフィル王国側の代表者の席に着く必要があるらしい。その辺のフィル王国事情はお任せだ。


 馬車に乗って移動をしたが、今回もすぐ降りることになる。多くの馬車が停まっていたが、玄関には人はほとんどいない。すでに皆さんは中に入られているのだろう。僕たちが会場まで案内されて入場すると、大きな歓声で迎えられた。僕たちは国王陛下の脇のひな壇の上に席が設けられていた。饗応役としてスピナさんもアスカの隣に席があった。


 僕の晩餐会の開催のお礼の挨拶の後、国王陛下の返礼のご挨拶と会の開催の宣言によって乾杯する。皆が席に着けば、僕たちの仕事はほぼ終わり。僕たちは普通に食事を楽しむ余裕があった。ひな壇の上ということもあり、あまり人が挨拶に来にくいこともあったけど、どうも貴族の皆さんは僕たちがフィル王国に来たことはあまり興味はないようだ。僕がそれとなくアスカとひそひそ話していると、アスカもそんな印象を持ったようだ。


 考えてみると、王国が管理している魔道具の回収が主な目的のようだから、王国、王国軍、魔法士団にはとてもありがたく思われていると思うけど、一般の貴族の方たちにはあまりメリットはない。僕たちへの関心より、お貴族様同士の情報交換の方が大事な場になっているのだろう。ただ、僕もアスカもこんな雰囲気には慣れている。これがメリオス王国の晩餐会でも、決まった役目のない僕たち公爵家は、偉いばかりであまりお付き合いするメリットがないからだ。いつも僕とアスカはひな壇の上で、おいしい料理とおいしいお酒を楽しんでいる感じだ。今回もそんな慣れた感じで僕たちは気にするでもなく、異国の料理を楽しんでいた。アスカの横に座っているスピナさんは、申し訳ない感をビシビシだしてしたけどね(笑)


 そんな不人気?な僕たちだけど、スピナさんのお父様のスぺイス侯爵様が挨拶にきてくれたり、王国軍や魔法士団の方たちも挨拶にきてくれた。ダンジョンへ行く人選が難航していると伺って、3つのダンジョンに行くので、取り急ぎ苦戦した38階層から魔道具を回収し、2回目のダンジョンで王国軍、3回目のダンジョンで魔法士団と随行の人を分けてはどうかと提案した。僕の意見はなかなかよかったようで、その方向で検討すると話された。




 僕もアスカもデザートまでしっかり完食して、もう大満足の晩餐会。そんな晩餐会もそろそろお開きとなった。国王陛下と王妃様が退場された後は、護衛のレイナさんとリニアさんに伴われて僕たちも退場した。僕とアスカが馬車に乗り待っていると、大急ぎでナイアさんとスピナさんも乗り込んできた。


 4人がそろったところで馬車が動き出す。僕とアスカは料理についてああだこうだと話していたけど、ナイアさんもスピナさんもしんみりムード。晩餐会での僕とアスカの扱いを気にしているのかな?



「ナイアさんもスピナさんも気にされることはないですよ。公爵なんてこんなものです。公爵はあまり目立っていい職でもないですし、特に何をしなさいとお役目もないのです。だから貴族の中では浮いた存在です。そのおかげで私も妻も自由に好き勝手させてもらえてます。ダンジョンで無類の強さでも、王国全土で考えるとあまり王国には貢献はできていないですからね(笑)」


「それにしてもお客様としてお招きしておきながら、あまりに冷たい態度です……」



 若い分、スピナさんは飲み込めないようです。がんばれ若人!




 晩餐会の翌日から、特にやることが無くなった。でも、僕たちが出歩くと皆さんが忙しくなってしまうので、僕は手に入れた魔道具の研究をすることにした。アスカは娘たちのために冬用の帽子を編み始めた。夜は毎晩のように食事会に招かれた。王国軍や魔法士団関係者ばかりですけどね。やはり僕たちのダンジョンでの戦い方や、盗賊と戦ったときの話しに興味があったようだ。


 フィル王国にもルディア共和国にもダンジョン攻略のためにまとめた本は提供している。ただ、本に書いたのは37階層まで。38階層より下は手を出してはダメと書いておいた。それでも、フィル王国は果敢に38階層の攻略に挑んでいるようだ。魔道具を積極的に使っているようだから、メリオス王国の戦い方とは違うのだろうけど、それにしても38階層のボス戦は無謀だと思う。


 お食事会で驚かされたことがあった。ガラテ軍団総長のお屋敷に招かれたときだ。長男のガラナ第3王国軍軍団長も同席されて、盗賊の討伐のときのお礼を言われた。そして、大金を渡されそうになった。どうも最上級ポーションを惜しげもなく振舞ったことへのお礼だとか。でも、僕としてもお金を受け取るのは遠慮した。だって僕が作ったポーションだから、原価はとてもお安いからだ。どちらも譲らないので、アスカが折衷案をだしてくれた。



「旦那様、ガラテ軍団総長様に武器と防具の購入の許可をいただいてはいかがでしょう」と。



 これには僕も大賛成、ガラテ軍団総長はあまり納得はしていなかったけど、僕とアスカが喜んでいるので要望を受け入れてくれた。僕たちの滞在中にガラナ第3王国軍軍団長がご自分が使っている鍛冶職人の店に案内してくれることになった。楽しみです。


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