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名もなき少女から始まった、魔法士の系譜  作者: みや本店
4章 大陸に生きる者編
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13話 フィル王国の神殿へ

 朝の訓練を終え、各々が自室でお風呂に入り着替えを済ませる。僕たちも公爵の制服を着て食堂へ向かった。6人がそろったところで食事が始まる。


 ナイアさんから業務連絡として、神殿に行くことも買い物に商会に行くことも許可が出たとのこと。どちらもお願いしたいとナイアさんに頼むと、神殿は問題がないが商会は調整をするので少々お待ちくださいと言われた。まぁ、公爵夫妻がお店に買い物に行きますと言って、気軽にはいどうぞって言える商会はないですよね、メリオス王国でもあるまいし(笑)今日は神殿に行けるだけでもよしとしておきましょう。




 お部屋を出ると庭に馬車が用意されていた。レイナさんとリニアさんの馬も用意されているのはいつものことだが、今日はフィル王国の王国軍の人も僕たちの護衛のために騎乗で待機してくれてえいた。4人が馬車に乗り込んだところで、馬車はすぐに出発した。


 馬車の窓から外を眺めていると、円形の建物の外に出た。どうも別の大きな建物に向かっているようだ。しばらく進むと大きな建物の前で馬車が停まった。馬車を降りた僕とアスカは歩きながら神殿と思われる建物を見上げる。大きさもそうだが、驚くほど高いのだ。お城も王宮もとにかく高い。全部に部屋があるとも思えないので、高さは権威の象徴なのだろう。




 神殿に入ると、多くの神殿関係者が胸に手を当て深くお辞儀をして、僕たちに礼をしてくれている。僕とアスカの前に見事の礼服を着た男性が歩み寄ってきた。


 僕は先に会釈をして、名乗ることにした。



「神殿長、お初にお目にかかります。メリオス王国の公爵のグランと申します。隣にいるのは妻のアスカです。今日は急な神殿への訪問をお許しください。メリオス王国の神殿長から神殿長に伝言を預かって参ったのです。できれば伝言については、神殿長と妻と3人でお話しをしたいのですが……」



 神殿長が周りに目配せすると、皆が後ろに下がっていった。



「神殿長、メリオス王国の神殿長からの伝言です。メリオス王国には導きの書があります。とのことです」


「公爵様、私にはその伝言の意味が分かりません」


「では、祭壇裏の地下の部屋のことはご存じですか?」


「公爵様、祭壇裏には地下への階段があります。その先に岩で作られたような壁画があります。それに触れることは許されていません」


「神殿長、その教えは誤りです。資格がある者はその壁には触れることができず、中の部屋へ入ることができます。資格がない者は壁のままで、部屋には入れません。その先のことは部屋に入ってからご説明します」


「公爵様と奥方様は神様にお会いしたことがあるのですか?」


「残念ですが神様ではありません。それは神殿長が自ら知る必要があります。神殿長には資格があると私は確信しています」



 アスカも横で静かに頷いていた。ただ、神殿長は僕の意見を受け入れるつもりはないようだ。



「神殿長。無理にとは申しませんが、資格の有無の確認を認めないことは、これからご紹介したかったお方のお心に反していることになります。その点だけは信じていただけると嬉しいです。では残念ですが、これで失礼させていただきます」



 僕とアスカが深々と頭を下げたので、周りの皆さんは何だろうと混乱気味。2人が顔を上げると、神殿長は苦渋の表情だ。信じていたものが否定されたのだ、仕方がない。


 僕とアスカが振り向き神殿を出ようとしたところで、神殿長に止められる。ご案内しますと……




 3人で壁の前に立っている。



「神殿長、私が先に部屋に入ります。この壁をすり抜けぬけます。神殿長も勇気をもってお進みください。神殿長の後に妻も入室します」



 僕は先に歩き無事に部屋にはいる。中に入れば邪魔にならないように横にずれて待つ。神殿長が恐る恐る中に入ってくる。僕は神殿長にも横にきてもらう。続いてアスカも部屋に入ってきた。


 部屋には書見台が置かれていて、導きの書も置かれていた。メリオス王国の神殿と同じ部屋の作りだ。



「神殿長、書見台の上に置かれているのが、導きの書です。本に手を乗せることで、資格のある人はお会いすることができます。では、3人でお会いしにいきましょう」



 3人で書見台の前に立ち、皆で本の上に手を置く。草原の中に立っている。左右を確認すれば、アスカも神殿長も立っていた。



「神殿長、神様ではなく創造主様です。この世をお作りになられたお方です。私がお声をかけます。創造主様グランが参りました。フィル王国の神殿長をお連れしています」



「グラン、アスカ、こちらからの導きに感謝します。これからも頼みます」


「かしこまりました」


「トリン、よく来ましたね。嬉しく思います」


「創造主様にお声をかけていただけるなど、光栄のいたりです」


「グランの思考を見ましたが、人が誤りの言い伝えにより資格の有無を確認することを怠っていたとか。トリンもそうだったのですか?」


「はい、創造主様。神殿の言い伝えで、部屋の入り口に触れることは禁じられていました。グラン様とアスカ様によって、ここまで導いていただきました」


「グランとアスカには大変な役目を任せています。トリンも2人に力を貸してあげてください」


「かしこまりました。それと創造主様、こちらへ来れるかの確認は、積極的にさせてもよろしいですか?」


「かまいません。資格ある者は拒みません。資格ない者はここに来れません。トリンも何かに迷ったらここへ来なさい。グランとアスカも途方に暮れるようなときには、エコリアスに相談なさい」


「ありがとうございます。では、創造主様、今回はこれで失礼いたします」


「大陸のことを頼みましたよ」



 そこで僕たちは元居た部屋に戻されていました。神殿長は今まで見てきた光景が信じられないような様子です。だが、創造主様とお話しできたことを、何よりの幸せに感じている様子も伝わってきた。僕とアスカも神殿長を創造主様の元へお連れできてホッとした。


 しかし、創造主様にたまに言われる、大陸のことを頼むはどういうことなのでしょう?


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