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名もなき少女から始まった、魔法士の系譜  作者: みや本店
4章 大陸に生きる者編
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6話 倉庫街で大量購入

 フィル王国へ向かう準備が整ったことを国王陛下にご報告した。国王陛下はフィル国王への親書を用意してくれていて、係りの者が部屋へ届けてくれるとのことだ。念のためにルディア共和国王への親書も用意されていた。贈り物についても2国分が用意されているらしく、これも後程僕たちの部屋に届けさせるとのことだった。国王陛下には遠征のために物置と大型の飛び箱を作成したことも報告しておいたので、その辺を考慮くださったのだろう。


 フィーネ伯母上からも白結晶石のブレスレットを2本預かった。フィル王国の王妃様とルディア共和国の王妃様への贈り物だ。エコには前もってフィル王国の王宮にもルディア共和国の王宮にも外部記憶装置が置かれているのは確認済みで、外部記憶装置間の話しはついているようだ。


 宰相様からは王国にない他国の物や制度なども見てきてほしいと頼まれた。購入可能な物は買ってきてもかまわないとも言われた。お金は王宮の負担でかまわないと言われて、無駄遣いのお墨付きまでいただいてる。もちろん、フィル王国の人との会食や宿の費用、生活で必要になったものなどもすべて王宮の負担でかまわないと言われて、破格の厚遇の旅になりました。


 グリス近衛兵団長からは王国にない武器や防具をよろしくとのことだ。いつもブレがありません(笑)




 いよいよ出発の日、王宮の庭から飛び箱での出発を許可された僕たちは、大勢の人の見送りに取り囲まれていた。僕とアスカは代わる代わるに娘たちを抱きしめて、後ろ髪をひかれる思いで出来立ての大型高速飛び箱に乗り込む。くちばしを跳ね上げて皆さんに手を振った。やはり目がいってしまうのは2人の娘。アリスは父上に肩車されてニコニコしながら大きく手を振ってくれている。一方のアリサはヒメミさんに手を取られながら寂しそうな顔をしていた。娘たちと離れるのは寂しい。アスカも笑顔で手を振っているが、それが作り笑いなのが分かる。でも、僕もアスカに寂しさに負けないように、しっかり作り笑顔で皆さんに大きく手を振った。


 僕は最後に大きな声を張り上げて、「いってまいります」と伝え、飛び箱をゆっくり上昇させる。エコと話しながらゆっくり飛び箱の進行方向も調整して方向を定める。くちばしを下ろしていよいよ出発だ。徐々に速度を上げていき、王都を囲む壁を越えて王都の外へ出ると速度を最大まで上げた。最初に向かう先は倉庫街。マイルさんに加工品の肉が喜ばれると聞いたので、倉庫街で大量に仕入れてからフィル王国に向かう予定だ。念のためビールの樽も仕入れていきましょう!


 高速の飛び箱だと倉庫街はもうご近所感覚です。加速と減速に時間がかかるので最高速で飛んでいるのはほんの数分。10分も乗っていればマイルさんの倉庫の敷地内に着陸可能だ。いつもはちゃんと倉庫街の門の手前で飛び箱を降りて門を通過する手続きはしているのだけど、今回は倉庫街でも特別に直接の着陸を許可していただいている。きっとボタンさんは驚かれると思うけどね(笑)


 エコと調整しながら飛び箱を上空で停止、徐々に高度を下げて倉庫横の広い場所へ降りていく。くちばしも跳ね上げて、念のため僕とアスカは下に人がいないことを確認しながらゆっくり降りていった。僕たちが降りる場所は人が入らないようにしてくれていたけど、その外側は多くの人が見物に訪れていた。もう僕たちが飛び箱で空を飛んでいる姿は、多くの王国民が目撃しているとは思うけど、まじかで飛び箱を見る機会はあまりないと思う。皆さんのやんややんやの歓声の中、飛び箱は無事に倉庫街に着陸。僕とアスカが後ろの出入り口を開いて外へ出る。僕が飛び箱を杖の形に戻して腰のベルトに差せば、皆さんが大歓声だ。


 僕たちの姿を見かけて、ボタンさんがいつもの笑顔で出迎えてくれた。



「公爵様、奥方様、わざわざ倉庫街までお越しくださり、ありがとうございます」


「ボタンさん、お久しぶりです。今日は急なお願いに応じてくださり、ありがとうございます。いつものようにご案内をお願いします」



 ボタンさんはさっそく倉庫へ僕たちを迎え入れてくれた。買いたいものをボタンさんに伝えると、その商品棚のところまで案内してくれる。いくつ必要ですかと聞かれアスカと2人で悩む。具体的にいくつとは考えていなかったからだ。何せ物置に入れておけば腐りもしないのでいくつ買っても困ることはない。かえってあまり大量に購入すると、マイルさんの商会が在庫不足で困ったりしないかな?僕はそのことをボタンさんに伝えると、そんなに買われるのですか!と驚かれていた。結局ボタンさんと相談した結果、在庫の3割を購入させてもらうことにした。在庫の3割と言っても、何百人分の食材だよ!と言いたくなる量です。


 さすがにボタンさん1人では商品を用意するのも無理で、人を呼んできてくれることになった。一方の僕たちも自分たちの手で物置に入れるのは無理なので、僕はダイヤモンドで薄くて広い板を数枚作った。テストにリュックから取り出したジュースの瓶を板の上に乗せて、板を魔法で浮かせる。板の幅より大きくした物置まで板を押して進める。物置の入り口を無事に通過できたので一安心だ。ちなみに手で押さずに魔法だけで板を進めたら、中には入っていかなかった。やはり人の手が介在しないのはダメなようです。アスカも試してみたらアスカでも物置への出し入れは無事にできた。


 僕がダイヤモンドの板を大量に作っていると、ボタンさんが大勢の人を連れて戻ってきた。僕がこの板の上に袋を乗せて欲しいとお願いすると、皆さんが次々に袋を運び積み上げてくれた。僕はある程度の数が積みあがると、板を浮かせて物置まで運ぶ。僕が運んでいる間はアスカが板を用意して、アスカの板に積み上げてもらう。完璧な流れ作業です!僕たちが購入したのはソーセージ、ベーコン、塩漬け肉と干し肉。ビールの樽と樽用の台も大量購入です。


 すべての商品を受け取り、受け取りのサインをしていると、お支払いもこちらで済ませますか?と聞かれる。ボタンさんが満面の笑みで首に巻いたネックレスを見せてくれた。



「もしかしてボタンさん、出世されたのですか?」


「はい、公爵様と奥方様のおかげで、私も倉庫の責任者の1人になることができました。お金のやり取りもここで可能になりました」



 僕とアスカがおめでとうとボタンさんに伝え固く握手。ボタンさんは嬉しいやら恥ずかしいやらの笑顔でありがとうございますと照れていた。僕とアスカからお祝いにと金属ペンをプレゼントすると、ボタンさんは公爵様ご夫妻から賜った品なので、家宝にしますと興奮気味。僕とアスカは家宝などと言わずに、お仕事のときに使ってくださいとお願いした。




 無事に倉庫街での買い物を済ませ、ボタンさんと倉庫の外へ出る。僕は倉庫の横のひらけた場所に飛び箱を出して、飛び箱の後ろの出入り口を開ける。最後に僕とアスカがボタンさんと握手を交わし、また来ますと伝えて飛び箱に乗り込んだ。くちばしを跳ね上げて、見送りに来てくれた倉庫の皆さんに手を振りながら飛び箱をゆっくり上昇させる。またまた皆さんが大歓声です(笑)ある程度上昇したところで、次の目的地の国境門に方向を向け、速度を上げて出発です。


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