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名もなき少女から始まった、魔法士の系譜  作者: みや本店
4章 大陸に生きる者編
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5話 いわくつきの物置

 僕とアスカは物置とリュックの完成を大喜び。もで、僕はここでアスカに物置のもう1つの機能を見せた。



「アスカ見ていて、この物置は大きさを変えられるんだよ」



 僕は物置を杖を短くするのと同じ要領で、手のひら大の小さな箱にしてしまう。アスカはわぁと驚いていた。僕はさらに物置を小さくして指でつまめるほどの大きさにする。そして、この箱を腰のベルトの小箱にしまってしまう。



「物はなんでもいくつでもしまえて、持ち運びにもこの通りに便利!」



 僕がアスカに自慢していると、エコが大慌てで僕に話しかけてきた。



『グラン、アスカ、その物資格納装置は、創造主様からお許しが出ないかもしれないです。少々待ってください』



 エコにそう言われてしばらく待っていたけど、エコから声がかかるのではなく、いきなり創造主様のおられる大きな木の草原に連れてこられた。これはかなりまずいことをしてしまったようだ。隣にいるアスカも不安になったのか僕の隣に歩いてきた。



『創造主様、私の作った物資格納装置に問題がありましたか?問題があれば破棄いたしますが……』


『グラン、アスカ、今回作り出した物資格納装置は、世の理をたやすく覆すものであるのは間違いありません。ただ、物資格納装置が使えるのはグランとアスカのみ。物資格納袋と同様な制限がかかっているとも言えますし……』


『創造主様にご心配をかけるわけにはまいりませんし、物資格納装置は破棄します。ただ、アスカの物資格納袋は許可をいただけると嬉しく思います』


『エコリアス、あなたの意見を聞かせなさい』


『はい、創造主様。私はグランとアスカを信じております。この2人は絶大な強さを手に入れても、その力を己のことに使うでもなく、世のため人のためになるように使っております。物資格納装置や物資格納袋を与えたところで、2人に変化があるとはとても思えないのです。何かをしたいと思えば、すでにグランの持つ物資格納袋で何事も可能だったのですから』


『エコリアスとしては、問題ないということですね』


『はい、創造主様。2人にはもうすでに絶大な力をお与えになっています。2人なら混乱を起こすようなことはありません』


『分かりました。何度も言いますが、万が一のときはエコリアスが2人を止めなさい。今回は前もって許可も与えていましたし、使い続けることを許しましょう。ただし、グラン、アスカ。くれぐれも使用者は選ぶように』


『創造主様、私の物資格納袋のように一族にのみ引き継がせてもよろしいでしょうか?』


『一族の中にも悪しき心の者が現れぬ保証はありません。くれぐれも慎重に許可を与えるという条件で許可しましょう』


『ありがとうございます。創造主様のお言葉を一族が守り続けるよう固く言い伝えます』



 僕とアスカの意識が戻ると、元居た執務室の中だった。エコにも謝ったけど、エコは特に気にする風でもなく僕の大発明と言って励ましてくれた。アスカもエコの言葉を聞いて、少しは落ち着きを取り戻せたようだ。急な創造主様のお呼び出しは、心臓に悪いのは間違いない。




 僕とアスカはお茶を飲んで一息つくことにした。飛び箱もあまり大掛かりなものは創造主様を心配させるかもとなり、僕たちも含めて10人程度が乗れる飛び箱を作ることにした。念のためエコに確認したけど、人数はそれほど問題ではないようだった。うーん、創造主様やエコが心配をする点が僕には想像できなくて困る(汗)


 いざ飛び箱の作成となったところでアスカと王宮の庭に向かった。庭で材料のダイヤモンドを大量に準備する。今回は長距離の移動がメインとなるので、鳥のくちばし型の高速タイプの飛び箱にしよう。僕がそろそろ作成開始となったところで、アスカが声をかけてきた。



「旦那様、今回の飛び箱はイスなど作らず、ただのフロアにしてはいかがでしょう?イスが必要なら組み立て式のイスを用意すればいいですし、たくさんの荷物を運ぶ場合も便利に使えると思うのですけど」


「うん、いいアイデアだね。アスカの意見を採用しよう」



 僕たちは2人で形を確認しながら、ああだこうだの意見交換を交えつつ、無事にくちばし型の飛び箱を完成させた。今回は後方からの乗り降りもできるけど、くちばし部分を跳ね上げて外が見えるようにもしてみた。お見送りの人たちに挨拶できたりできて便利かと考えました。


 アスカと2人で完成した飛び箱に乗り込んでみる。もちろん中はがらんとしていて何もない。大勢なら敷物を敷いて直接座ってしまってもいいかもね。僕たちはとりあえずくちばしを跳ね上げて外が見える状態にして、王宮の庭を邪魔にならないようにゆっくり進んでみた。ただ、邪魔にならないように進んだところで、今までの飛び箱に比べるとかなり大きい。おまけに中に乗っているのが公爵夫妻なので、皆さんが飛び箱を見て驚いているけどリアクションが取りにくそうだった(笑)


 もう僕たちもいくつかの飛び箱を作ってきたので、テストはそこそこで終了。後は高速で飛んだときの風きり音を確認する程度です。ただ、くちばし型の飛び箱も作っていたので、その点もあまり心配をしていない。部屋の前まで戻ってきて僕は飛び箱を杖の形に戻す。この杖はベルトに差さずにリュックに入れておこう。




 僕とアスカが部屋に戻ると、もう父上と娘たちは一緒にお風呂に入ったようで、3人で居間でソファーに座って冷たい飲み物を飲んでくつろいでいた。父上はもちろんビールです。僕たちも食事の前にお風呂に入ることにして、夕食を食べた後も父上とのんびり晩酌をすることにした。お部屋の皆さんもたまには一緒に飲んじゃいましょう!


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