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名もなき少女から始まった、魔法士の系譜  作者: みや本店
3章 夢を紡ぐ2人編
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【幕間挿話】その後のグランとアスカ2

 ――僕とアスカが王宮に引っ越してきてから、次章が始まるまでのお話しです――




 僕が魔道具のランタンを作って国王陛下にお見せしたり、王国魔法を詠唱したりしたことは、一部の悪い人たち?にはすぐに伝わったようだ。


 そして、そんな人たちの公爵としての僕の評価は、王妃様の血縁者のえこひいきばかりではなく、本物の高レベル魔法士だ!だったようだ。僕が王宮で暮らすようになると、すぐに僕に接触するような動きをとってきた。ただ、僕はこれでも王国最強の魔法士で、僕の横には王国最強剣士のアスカ。おかしな動きに気付かないわけはないのです!僕とアスカは怪しい者はどんどん捕まえて、クリス近衛兵団長に引き渡した。そして、クリス近衛兵団長と相談した結果、思考を読んで黒幕を突き止めてしまえ!となった。


 最近は王国でも調査を進めているようだが、魔法士協会の会長のズールは黒というのは明白なものの、黒幕ではないとの結論。ただ、ズールが調べられているのが薄々伝わったようで、ズールの動きは止まってしまった。それで今は黒幕が直接動き出しているようで、王国としても今がチャンスと考えているようだ。


 残念なことにクリス近衛兵団長は尋問がとても下手だった。僕が尋問の内容を隣で聞いていても、頓珍漢な質問をすることが多い。ただ、このダメダメな尋問が意外にいい結果につながった。容疑者が心の中でクリス近衛兵団長にツッコミを入れてしまうのだ。その勢いで心の中で黒幕の名をべらべらしゃべってくれたのだ。クリス近衛兵団長と僕の取り調べで、同一人物の名が何度も出てきた。その人物は大物だった。僕はその名をクリス近衛兵団長にも伝えず、国王陛下に直接お伝えすることにした。




 国王陛下主催で内々の秘密の会議が開かれた。参加者は国王陛下、フィーネ伯母上、宰相様、クリス近衛兵団長、僕とアスカ。黒幕の名を僕が皆さんにお伝えする。「スワロフ伯爵」と。国王陛下もフィーネ伯母上も頭を抱えていた。またかと言って……


 スワロフ伯爵は魔法士系の3貴族に属している。特に派手な生活をしているようにも見えず、有能とは言えないまでもまじめで誠実な人柄で、僕から見ても印象は薄い人だ。ビーズ伯爵の引退を大変残念だと言い、また、キツカ伯父上が次期ビーズ伯爵となったことを、王国の利益になると高く評価していたのにだ。


 黒幕がはっきりしたところで、国王陛下がご決断された。近衛兵団を大動員して、犯人と関係者を一網打尽にすることを。深夜の内に近衛兵の配置を完了させ、明朝5時に一斉に確保に動く命令が下された。


 尋問はだめだめなクリス近衛兵団長だったが、人の手配と配置についてはとても綿密で完璧だった。


 僕とアスカにも動員の命令が下った。犯人確保後の魔法士協会の事務所内の捜索。人が隠れていたり、秘密の部屋や通路がないかを魔法の観点で調べて欲しいとのことだ。僕とアスカは近衛兵団が捜索をした後に呼ばれるらしい。




 僕たちは国王陛下やフィーネ伯母上がいる作戦室として使われている部屋で待機していた。作戦室では近衛兵団所属の魔法士が、外部記憶装置を介してのメッセージのやり取りをしているらしく、リアルタイムに現場の情報が送られてきた。その報告によると黒幕のスワロフ伯爵一族は全員確保できたようだ。また、魔法士協会に属する幹部や職員も、事件に関わったかどうかに関わらず、全員身柄を拘束したようだ。それに、魔法士協会に属する幹部や職員の家族や関係者についても自宅謹慎が命じられ、近衛兵の見張りがつく徹底ぶりだった。


 僕たちに出動要請が出たのが朝の6時。予定よりかなり早い。それだけ作戦が順調なのだろう。僕たちは飛び箱に乗り込み、すぐに魔法士協会の事務所に向かった。




 僕たちが魔法士協会の事務所につくと、近衛兵団の捜索部隊の副隊長が見取り図を持って僕たちを案内してくれた。最上階の5階から捜索を始め、隅々まで調べながら階を降りていく。僕はアスカに頼んで調査が終わった範囲を、見取り図に印を付けてもらった。


 地上階には怪しいところはなく、最後に地下の捜索になった。地下は明かりが必要なので、僕は自分で魔法で明かりをつけ、部屋を1つ1つ調べていった。そして僕は最奥の部屋が見取り図と異なることに気付いた。見取り図では奥行きがもっと広く書かれているが、実際の部屋はずっと手前に石の壁があったからだ。僕は近衛兵団の人たちに、一度明かりをすべて消してもらった。明かりをつけるために魔法を使っている人たちもいたからだ。そして僕はかすかな魔力を感じてサーチの魔法を使う。すると壁の横に薄っすらと魔力を感じる白い薄い光が見えた。僕だけが魔法で明かりをつけて、副隊長にここに魔力を発する何かがあると伝えた。


 副隊長は何か仕掛けがないかを調べたが、特に仕掛けは見つけられなかった。仕方がないので、僕は分解魔法で穴をあけることにした。すると中に何かの魔道具が埋め込まれていた。ただ、この魔道具がどのように使えるものなのかまでは分からない。副隊長に相談すると、副隊長は作戦室と連絡を取り、近衛兵団の魔道具の専門家を派遣してもらうことになった。また、僕とアスカは作戦室に戻って欲しいとのことだった。後のことを副隊長にお任せして、僕たちは先に王宮に戻ることにした。




 僕とアスカが国王陛下のもとに戻ると、国王陛下に魔道具を見つけたことを感謝された。魔道具の存在についてズールに聞くと、ズールも観念したらしく知っていることを話し始めたらしい。何でもその部屋には証拠となるものも多数隠されているようで、魔道具の使い方を黙っていたところで、壁を壊されれば終わりとなり証言を始めたようだ。


 これで僕とアスカはお役御免となり、部屋に戻ってのんびりお風呂にはいり、軽食を食べてから仮眠をとることにした。




 この事件が無事に解決し、国王陛下がフィーネ伯母上、宰相様、クリス近衛兵団長、僕とアスカで内々の打ち上げの場を設けてくれた。国王陛下もフィーネ伯母上も皆の働きに感謝してくれた。ただ、次期スワロフ伯爵の人選に頭を悩ませているとのことで、グラン、何か知恵を貸せと言われた。僕にはこの人選はとても簡単だった。



「国王陛下、フィーネ伯母上、安心してお任せできる人をお忘れです。シーフェ先生です。姫様の魔法教育の大任を任せているのです。先にご褒美を与えても問題ありません!」



 その場にいる皆さんがうーんと考え込まれ、確かに問題なしとなった。後は国王陛下とフィーネ伯母上で判断をすればいいでしょう。僕とアスカはお役目は終わったとばかりに食事を食べ始め、バストンさんが僕とアスカのグラスにワインを注いでくれて、一件落着です!


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