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名もなき少女から始まった、魔法士の系譜  作者: みや本店
3章 夢を紡ぐ2人編
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132話 皇太子様と姫様

 ダンジョンから戻ってきた翌日、僕とアスカは自分たちの荷物の片づけをしていた。僕はそもそも荷物が少なく片付けるのはあっという間。アスカもこの屋敷に引っ越してくるときに荷物の整理をしているので、アスカもそれほど時間はかからないようだ。僕もアスカの手伝いをすることにした。


 2人で片づけをしていると、エコから声をかけられた。ヒメミさんからだった。



「公爵様、急なご連絡で申し訳ありません。お部屋で着用されるお洋服を準備したいので、1度王宮のお部屋に来ていただきたいのですが」



 僕はその旨をアスカに伝えると、アスカはいつでも大丈夫とのことだ。僕は明日の10時の鐘で伺いますと伝えてヒメミさんとの会話を終了した。




 翌日は屋敷で王宮へ向かう支度を整え、アスカの髪もセリエさんと一緒に整えた。公爵の制服を着て装備も身に着けると、すっかり公爵の姿に変身です。セリエさんにいってきますと挨拶をして飛び箱に乗り込んだ。貴族街の門で守衛の皆さんといつもどおりの挨拶。守衛の皆さんはどう返事をしていいのか迷っているようだ。



「皆さんは公務中です。堅苦しい挨拶は無用です。今までと変わらずでいきましょう」



 守衛の皆さんは恐縮しつつもいつものように挨拶を返してくれて、門を通過させてくれた。王城の門でも同じようなやり取りをした。ただ、王城の門では魔法の許可証が必要なのかが分からず、この点は守衛さんに聞いてみた。すると僕とアスカの王都民証はもう王族の身分になっているので、もう魔法の許可証は不要と教えてもらった。僕は守衛の皆さんにお礼を言いながら門を通してもらった。


 王宮の玄関前に到着すると、ヒメミさんが僕たちを待っていてくれた。ヒメミさんと挨拶を交わし、ヒメミさんにも飛び箱に乗ってもらった。ヒメミさんは今日は寄り道をしますと言って、いつもと違う方向に向かうよう指示された。僕は言われるままに飛び箱を進める。



「今日はお庭の方へご案内となります。皇太子様と姫様のお稽古がありますので」


「カイザル様が皇太子様で、ユリ様が姫様で正しいでしょうか?」


「はい、そのとおりです。本日はクリス近衛兵団長とシーフェ先生も同行されます」



 ヒメミさんが案内してくれたのは、芝生の庭にお茶会用のテーブルとイスが置かれた一画。これは優雅です!


 クリス兵団長とシーフェ先生と思われる魔法士の女性がいた。クリス兵団長が女性を紹介してくれる。



「こちらが姫様の魔法の指導を担当しているシーフェ先生、こちらが公爵となられたグラン様と奥方のアスカ様です」



 僕たちはお互いに挨拶を交わす。僕は失礼ながらシーフェ先生にサーチで魔石の大きさを確認。リサさんレベルでかなり優秀な魔法士さんだ。



「お見受けすると、シーフェ先生は相当な魔法士様のようですね。王妃様のご学友だったのですか?」


「はい、私が2年先輩でした。公爵様のお母様とも面識がありました。お母様は図書室の司書さんをされていたので、魔法学校では知らない人はいないのです」


「そうでしたか、親子2代にわたりお世話になるとは恐縮ですが、今後ともよろしくお願いします」




 フィーネ伯母上が男の子と女の子を連れて、こちらへ歩いてきた。僕とアスカは会釈でお出迎えする。



「本日は、お招きをありがとうございます。今日は皇太子様の剣と姫様の魔法を見せていただけると聞いて、楽しみにしていました」



 すると皇太子様がお礼を言われた。



「グラン、アスカきてくれてありがとう。今日は私の剣とユリの魔法の発表会なのです。頑張ります」




 さっそく、お2人のお稽古が披露が始められることとなった。


 皇太子様とクリス兵団長が立ち合う。皇太子様は子供用の剣を持たれている。皇太子様が剣をすすっと突いて、クリス兵団長が受けたりかわしたりした。しばらく続けると、クリス兵団長がそれまでと止められた。皆が拍手する。僕は右腕が動かないからできないけど(汗)



「皇太子様、妻はとても細剣が得意なのです。アドバイスをもらってみましょうか」


「はい、アスカお願いします」



 アスカは皇太子様のおそばへいって、肘の角度だけを直していた。そして、皇太子様とクリス兵団長が立ち合う。アスカは横で様子をみていた。明らかに突きの速度が増していた。アスカが改善された様子を見て、再び拍手していた。



「皇太子様、とても突きが速くなりました。皇太子様は毎日訓練をしっかりされているから、少しのアドバイスでもすぐに動きが良くなるのです。これからも毎日の訓練を頑張ってください」


「はい、頑張ります」




 続いて姫様とシーフェ先生が前に出る。僕はまた姫様の魔石を確認する。シーフェ先生より若干大きい。これは驚きだ。将来は大魔法士確実です。僕はこっそりフィーネ伯母上へお伝えする。



「フィーネ伯母上、姫様はかなりの魔力量のようです。このまま教育を受ければ、王国魔法の詠唱は可能だと思います」


「ユリの魔石を見てくれたの?グランが太鼓判を押してくれるなら安心ね」



 姫様は辺りを照らす光の魔法を詠唱された。また皆が拍手をする。



「姫様、素晴らしいです。シーフェ先生にしっかり教えていただいているのですね」


「はい、今日は皆さんに見てもらうために頑張りました」


「姫様、魔法は頑張っても使えない人もいるのです。でも姫様は頑張るとちゃんと魔法が使えるので、将来は立派な魔法士になれますよ」


「はい、これからもいシーフェ先生にいっぱい教わります」




 皇太子様も頑張られた姫様を褒めて姫様はにっこり嬉しそうに微笑む。2人が手をつないで席に戻ってこられた。僕もアスカもそのかわいらしいお2人の姿にほっこり。せっかくなので僕はお2人にプレゼントを渡すことにした。



「皇太子様と姫様がとても頑張られている姿に感動しました。お2人に剣と魔法を見せていただいたお礼に、私からささやかなプレゼントをさせていただきましょう」



 僕はリュックの中から魔法で作ったミスリルの細剣と、ダイヤモンドで作った杖を取り出してヒメミさんに手渡した。ヒメミさんは受け取った品をフィーネ伯母上にお見せして許可を得る。その後ヒメミさんが皇太子様と姫様に剣と杖をお渡しした。2人ともキラキラした目で剣と杖を見つめ、嬉しそうな笑顔をしてくれた。皇太子様の剣は少々大きいかなという感じで問題がなかったけど、姫様には明らかに杖が長すぎる。僕は姫様のところへ歩み寄る。



「姫様、少し杖が大きいようですね。姫様にちょうどいい大きさに小さくしてみましょう」



 僕は姫様の目線に合わせるように片膝をつき、姫様はイスから立ち上がってくれた。皆が何が始まるのかと注目している。僕は姫様と一緒に杖を持って、姫様にこっそり耳打ちする。



「姫様。この杖は魔法で小さくも大きくもすることができるのですよ。姫様にはまだ難しいと思いますが、私と一緒ならできると思います。一緒にやってみましょう」


「はい、やってみたいです。でも、グラン。私はどうすればいいの?」


「姫様は私と一緒に杖を握って、杖よ小さくなれと魔法を使ってください」


「はい、やってみます」


「ではやってみましょう、姫様。いきますよ」



 杖に姫様の魔法が流れてくるのを感じる。僕も魔法を流し杖をゆっくり短くしていく。杖はだんだん小さくなって、姫様の背丈よりも少し短い杖になった。僕はここで魔法を止める。



「この杖なら姫様にピッタリですね」


「はい、グランありがとう。大切にします」



 姫様のニコニコ笑顔に癒されました(笑)


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