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名もなき少女から始まった、魔法士の系譜  作者: みや本店
3章 夢を紡ぐ2人編
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119話 ミスリル採取場所発見!

 今日も朝からミスリルの採取を続けた。少し進んでは採取の繰り返しだ。そして昼食を終えて採取を再開してしばらく経った頃、ついに前回の採取より取れる量が減った。



「アスカ、このミスリルより、今回のミスリルの方が小さいよね?」


「はい、確かに小さいです。では、先ほどの採取地が最も鉱脈に近いということですね」


「うん、前回の採取場所まで戻って、ミスリルの採取を始めよう」



 僕とアスカはハイタッチで喜びをあって、すぐに飛び箱に乗って出発した。僕は到着するとすぐにミスリルを採取してみる。今度はいつもの大きさで採取する。



「魔力の消費量は多めにみても15%程度かな。これなら十分採取可能な場所になる。ただ、渓谷の下の方へ降りていったときの魔力消費も確認したいから、飛び箱で降りて採取してみるよ」


「そうですね、試せることは試してみましょう」



 僕たちは再び飛び箱へ乗り込んで、谷底に降りていく。上から3分の1ほど降りて、採取。さらにまた3分の1ほど降りて、採取。最後は川面ぎりぎりのところで採取。結果は川面に近いほど採取の効率がよく、魔力の消費は10%にも満たない。この採取方法がベストなようだ。



「アスカ、ここで採取すると、魔力を10%も使わない。これなら大量に採取して帰れるよ」


「やりましたね、旦那様。私も採取してみます」



 アスカは僕から受け取ったミスリルの塊を左手で持つと、じっとミスリルを凝視している。しばらくすると、右手の手のひらに小さなミスリルの塊が現れ、どんどん大きくなっていく。そして最後には左手のミスリルの塊とまったく同じミスリルの塊となった。



「アスカ、おめでとう。ちゃんと採取できたね。疲れはどう?」


「まだ慣れていないからか、体力を30%程度使った気分です。今の私では1つ採取して休憩するのがいいようです」



 僕はアスカの話しを聞いた後、急いで5個のミスリルを追加で採取して地上に戻った。その後は鐘1つくらいの時間を休憩して、飛び箱に乗って採取に出向くことを繰り返した。寝る前まで続けたので、今日1日でもある程度の数が集められた。




 僕たちはこの場でミスリルを採取をするために4泊した。4日間は待ち時間も驚くほど充実していて、とても楽しい時間だった。僕はアスカにいろいろな魔法を教えた。アスカは僕が教えた魔法をほとんど詠唱できていた。うーん、いくらアスカが王国最強の剣士でも、ちょっと魔法に関しても優秀過ぎやしないかな?僕は不思議に思ってエコに質問してみた。



『エコ、アスカは僕が教える魔法を苦もなく詠唱できている。並の魔法士以上の才能に思えるのだけど、どうしてだろう?』


『答えは簡単です。グランの教え方が優れているからです』


『僕の教え方が優れてる?特別なことはしていないけど』


『グランの世界では伝承の儀式という行為で師匠から弟子に魔法を伝えています。グランのアスカへの教え方は、伝承の儀式のより効率のいい方法です。アスカの体内の気力を感じ、直接気力の流れを導く……これはお互いを信頼しあっていなければ、できない行為でしょう。体の中を隅々まで見られるようなものですから』


『なるほど……でもエコ、このことはアスカには内緒にしておいて。アスカが知ったらきっと赤面してうなだれてしまうから』


『了解です。ただ、アスカだからグランの教えに応えられるのです。アスカの能力が高いことも前提で成立している導き方なのです』




 アスカは僕から熱心に飛び箱の魔法と分解の魔法を教えて欲しいとおねだりしてきた。アスカにしては珍しいほど固執していたので理由を聞いてみた。答えは簡単で、アスカもボスとの戦闘にある戦い方をひらめいたらしい。どちらも簡単ではない魔法だし、魔力はかなり消費すると思う。特に分解魔法は僕があんな状態になるような魔力を消費する魔法だし……


 それについてはアスカが、剣先で突いた部分を分解するだけと教えてくれた。どうも僕がボスとの戦いの中でこっそり分解魔法で穴を開けていたのを知っていて、それを戦いに応用することを思いついたようだ。その程度の分解ならアスカの気力量なら問題ないでしょう。アスカに2つの魔法を教えると、さすがのアスカもどちらの魔法も成功率は低かった。ただ、繰り返し魔法を使うことで、2日後にはすっかり魔法をマスターしたようだった。アスカの2つの魔法の習得におめでとうと言って、王都に戻ったらダンジョンへ試しに行こうと伝えると、アスカは嬉しそうな笑顔でハイと返事をしてくれた。




 きっとミスリル採取は急用ができなければ、まだ数日は続けていたのだろう。残念ながら僕たちに王都に戻るよう、呼び出しがきてしまう。連絡をくれたのは王宮のヒメミさん。明日、王宮にきてほしいとのことだ。ダンジョンへ行くときの装備できて欲しいとのリクエストまであった。もちろん、お断りできる訳もないので了承したけど、ちょっと急な気がする。王妃様と昼食をご一緒する予定だが、その前に着替えをしてもらいたいとも頼まれた。僕は10時の鐘に王宮へ伺うとお伝えした。僕からもヒメミさんにお願いを伝えておいた。王宮までは魔道具に乗って伺いたいと。ヒメミさんも何のことだか理解はできていないようだったけど、希望の件は伝えておいてくれるそうで、飛び箱で王宮に行くのは許可がもらえた。



「アスカ、王宮のヒメミさんから連絡があって、明日の10時の鐘に王宮にきて欲しいとのことだ。これから後片付けをして王都に戻るよ」


「王妃様からの呼び出しですか?お願いするかもしれないとお話しされていましたものね。ミスリルはかなり採れましたし、また採りにくるにしてもここなら近いですから安心です」


「詳しい話しは聞けなかったけど、ダンジョンへ行くときの装備できて欲しいと言われた。何を頼まれるんだろう?」



 アスカとあーだこーだ言いながら野営の片付けを進める。リュックに荷物を詰め込めばいつでも出発可能だ。最後に2人並んで景色を眺める。4日もいたので見慣れた愛着のある風景になっていた。



「アスカ、ここなら王都からも近いから、息抜きも兼ねてまたこよう」


「ここは景色も素晴らしいですし空気も澄んでいて、とてもリラックスできました。ぜひまた来ましょう」



 僕は最後にエコにこの場所を記憶しておくことはできるか確認すると、可能とのことだった。驚いたことにここまでの道案内も可能なようだ。僕はエコにお願いして、そのことをアスカにも伝えた。これで出発準備は完了。


 僕たちは飛び箱に乗り込み、王都を目指して飛び始めた。王都に着くのはお昼を少し過ぎた頃。リイサさんのお店で遅めのランチを食べて、そのままガデンさんのお店に寄る予定です。


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