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名もなき少女から始まった、魔法士の系譜  作者: みや本店
3章 夢を紡ぐ2人編
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106話 ダンジョンへ行きたい!

 朝、僕が目を覚ますとアスカが心配そうな顔で僕の頭を撫でてくれていた。



「おはよう、アスカ。とても素敵な目覚めだけど、いったいどうしたの?」


「おはようございます。旦那様が寝苦しそうに眠っていたので、心配になっていました。どこかお体が痛んだりしていませんか?」


「うん、これといって悪いところはないよ。強いて言えば、まだ大きくなった魔力に体が慣れていないのかもしれない。でも心配はいらないよ、時間が経てば慣れてしまうから」


「今朝の訓練は中止して、もう少しお休みになりますか?」


「ううん、訓練はする。リハビリと飛行魔法。魔力を使った方が体がすっきりすると思うから」



 こうしていつもの朝の訓練から僕たちの1日が始まりました。




 朝食を食べ終えた僕たちは自室に戻ることにした。今日は何も予定がないので、のんびり部屋で過ごすことにした。退院してから忙しかったからね。



「アスカ、僕は調べ物をしながら部屋で過ごすけど、アスカはどうする?」


「旦那様が屋敷で過ごされるのなら、私も編み物やお料理をして過ごしたいです」



 こうして2人して屋敷で過ごすことが確定!僕はさっそくエコと話しを始めた。



『エコ、この間見せてもらった魔法の本。その中に書かれていた魔法が、どのくらい魔力を使うかは調べることができる?』


『数値で提示しても、グランは理解できないでしょう』


『エコは数値でなら必要な魔力量を提示可能なんだ。それなら簡単な比較方法がある。光る魔法を1とした場合、質問した魔法が何倍の魔力が必要かは答えられるよね?』


『はい、可能です』


『では、毒の魔法はどれくらい?』


『12.836倍です』


『あはは、僕が理解が難しいみたい……そうだ、分解の魔法はどれくらい?』


『300倍を超えます。分解するものによって、必要な魔力量が増えるようです』


『なるほど、それなら僕が毒の魔法を詠唱するのは問題がないんだ、安心した。そうだ、エコ。毒の魔法はダンジョンの魔獣やボスにも効果があるのかな?』


『魔獣やボスに毒の魔法を詠唱した事例はありません。ただ、毒の魔法に対して効果がなかった生物の事例もありません』


『うーん、試してみないと分からないってことか。それと、エコ。例えばスライムに毒が効いたら、ボスにも毒が効くかな?』


『構成物質から推測すると、効果があります』



 おおっ、毒の魔法は詠唱もできれば、魔獣やボスにも毒は効きそうだから、残るはもう1つの道具の準備だな。僕が1人でにまにま笑っていると、アスカが横で僕を不思議そうに見ていた。恥ずかしい(汗)


 次に僕はリュックの中からありったけのミスリルを取り出す。そして杖を3つ作って、2つはリングの形にして、もう1つはアスカの細剣にそっくりそのままの剣にした。これでダンジョンに実験に行く準備が完了だ。ただ、うっかりまだアスカに話しをしていなかったことを思い出す。たまたまアスカも僕が不思議なものを作り出したことに興味を持っている様子で編み物の手が止まっていたから、僕はアスカに話しかけることにした。



「アスカ、明日からダンジョンに実験に行きたいのだけど、一緒に行ってくれるかな?」


「旦那様、まだ退院して数日です。無理はいけませんよ」


「うん、戦いに行くのではなくて、実験に行きたい。まあ、ボスと戦うことにはなるけど、僕もアスカも戦うつもりは今のところない。それに、アスカがダメと言ったことはしないと約束する」


「戦わないのにボス戦はするのですか?それが実験?」


「うん、32階層のボスなら、実験が失敗しても、僕の魔法とアスカの剣で対処できるから実験に丁度いい」


「確かに32階層のボスなら2人でも心配はないです。でも、お体も完治していないのに、ボス戦を急がれるのはどうしてですか?」


「アスカに隠し事はしたくないから正直に話すよ。僕は右腕が不自由になって、正直焦っている。アスカは心配いらないと言ってくれるけど、僕だって旦那さんとしてアスカや家族を養えるくらいの稼ぎを得たいと思ってるから。だから不自由な右手でも、ダンジョンを攻略できる方法を早く確立したいんだ。その憂いを取り除けて、ようやく心置きなく静養できる」



 アスカはしばらく迷っていた。それはそうだろう。腕が動かない人がダンジョンに戦いに行くのだから。ただ、アスカは僕の悩みも理解をしてくれたから、どうしていいか判断を迷っている。



「旦那様、私がここまでと言ったら、地上へ戻ると約束してくれますか?」


「もちろん、約束する。それに、僕が何の目的で何をしたいかを事前にアスカに伝える。アスカはそれを聞いてから判断してくれていい」


「それともう1つ。ダンジョンから戻ったら、私がいいと言うまで静養してください。旦那様は王都に来られてから働き過ぎです」


「分かった。それも約束する。僕もちょうど王都を離れて旅をしたかったんだ。行き先はまだ決めていないけどね」


「では、明日からダンジョンへ行きましょう。ですから、今日はゆっくり体を休めてください」



 アスカは半分納得できていない感じだけど、渋々僕のわがままを受け入れてくれた。僕の想定ではアスカも驚くほどの安全なダンジョン攻略になると思う。アスカがその攻略法に不満や違和感を感じる可能性はあるけれど、やってみないことには何とも言えません……


いつも読んでいただき、ありがとうございます。

4月20日から掲載を始めた『名もなき少女から始まった、魔法士の系譜』が、PVが2万に達することができました。

PV1万越えは9月22日に報告させていただいていました。1万までは5カ月、2万までは3カ月で到達できました。ペースが上がっているのか、掲載話数が増えたからかは不明ですが、読んでいただいている皆さまには心から感謝申し上げます。

現在は4章の執筆にとりかかっていますが、4章を掲載するか、3章で終えて終章を書くかを迷っています。4章も終章もグランとアスカの物語になります。あらすじは書き換える必要がでてきそうです(笑)


『聖女として召喚された私が、いつのまにか森の魔女と恐れられている!』で聖女様物を書かせていただいていますが、もう1つ書いてみたかったロボット物にも手を出してみたいと思っています。

『名もなき少女から始まった、魔法士の系譜』の3章は残り30話と挿話が5話あります。年内毎朝掲載の目標は無事に達成できそうです。もうこんな無謀はしませんけど(笑)

今後も皆さまに読んでいただけるよう、頑張って書き続けていきたいと思います。

2万PV到達をありがとうございました。

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