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名もなき少女から始まった、魔法士の系譜  作者: みや本店
3章 夢を紡ぐ2人編
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103話 おいしかったー!

 1品目のオードブルを食べ終える頃、バストンさんは僕の献上した剣と杖を国王陛下と王妃様にお見せした。



「グラン、これは魔法で作ったのか?」


「はい、魔法で作りました。剣も杖もダイヤモンドです」


「これは国宝になるだろう。素晴らしいものだ」


「いいえ、国王陛下、国宝にするのはご遠慮願います。原価はタダ、作った場所はダンジョンですから」



 すると王妃様も杖を見て質問された。



「グラン、この杖は病室で作ったものと同じですか?」


「はい、病室では抱きかかえられるように丸くしていましたが、今回は杖の形でお持ちしました。実は国王陛下に献上させていいただいた剣も、中身は杖なのです。ですから、剣から火も水も出すことができます」


「この杖は侯爵家の杖より性能は上ですか?」


「魔道具ですので、人それぞれです。ただ、私には合っています。ダイヤモンドの利点は比較的誰でも魔道具として使えるところです。王妃様も自由自在にお使いになれると思います」



 すると王妃様は杖をかざし、魔法を詠唱。室内を明るく照らす。



「確かにグランの言う通り、とても扱いやすい杖ですね。それに魔力の回復速度も素晴らしい。これも、原価はタダですか?」


「はい、詳しくはまだ解明できていませんが、材料はタダで手に入れてきました」




 話しがひと段落ついたところで、次はスープが運ばれてきた。濃厚でとろみのあるスープはとてもおいしい。これは作り方を聞かずにいられない。僕はこっそりバストンさんに聞いてみた。



「バストンさん、このスープは何というスープですか?」


「はい、ポタージュと言います。野菜を裏ごしして作ったスープと聞いています。お帰りのときにレシピをお渡ししましょうか?」


「はい、ぜひお願いします」


「実は昔、お母様のアグリ様も、コンソメスープに興味を持たれ、レシピをお持ち帰りになりました」


「はい、バストンさんのお陰で、コンソメスープは我が家のご馳走になっていました」




 魚料理は、見たこともない大きな魚の料理が出てきて、取り分けて皆の前に出された。ひと口食べると、濃厚なソースとさっぱりした魚の味が絶品だ。でも、さすがにこの料理は屋敷で作ることはできないか……残念。


 食事をしながら、伯爵様が国王陛下へダンジョン攻略についての報告を始められた。父上からの報告をうけているのだろう、クラン連合、戦法、野営に至るまで、詳細に報告されていた。国王陛下は興味津々のようだ。今回の遠征に参加したメンバーの冒険者レベルが4人上がったことと、僕が冒険者レベル17で世界最強になったことも報告された。国王陛下は大変お喜びになった。




 続いて肉料理が運ばれてくる。薄っすら焦げ目が付けられたお肉を、ソースで煮込んだ料理。手間がかかっている。お肉はホロホロの食感と濃厚な煮込みソースで幸せ感じます。これは時間がかかるけど、屋敷でも作れないことはないな。頑張ってみよう。


 僕が肉料理に夢中になっていると、国王陛下に38階層のボスについて尋ねられた。



「国王陛下は、色違いの魔獣についてはご存じですか?」


「ああ、赤い魔獣は通常の魔獣より強いと聞いておる」


「はい、その通りです。ですが、赤の上に白がいます。白は赤とは比べられないほど素早く強いです」


「白がいただと!そんな話しは聞いたことがない」


「はい、実は私とアスカがダンジョンで実験をしていて、たまたま白いスライムを見つけました。この件はキツカ様にご報告していて、キツカ様はもう研究を始めてくれていると思います」


「分かった。キツカからも報告を受けてみる」


「38階層のボスは、30階層のボスの白いボスでした。スピードもパワーも桁違いでした。アスカも父上も1撃を受け止めただけで、死を覚悟するほどでした」


「グランはどうやって倒したのだ?」


「はい、私の産みの親はユニーク魔法士だったようで、私は物を分解する魔法が使えます。その魔法でボスの体を分解し、体内の魔石も分解しました。ただ、今回の分解魔法は私のすべての魔力を使い切るほどで、死を覚悟しないと使えませんでした」


「今回はそれほど追い込まれたということだな」


「はい、誰一人欠けることなく地上に戻れたのは、奇跡だと思っております」




 食事の最後にチーズの盛り合わせが出てくる。いよいよ食事会も終わりに近づく。


 伯爵様はボス戦で得た戦利品を献上したいと国王陛下へお伝えする。国王陛下が見てみたいといわれたが、今回は数が多い。食事を終えたら、会議室のテーブルに並べて披露することとなった。




 最後にデザートとコーヒーが運ばれてきた。デザートは棒のクッキーのようなものとフルーツの盛り合わせに、白いクリームソースがかけられていた。見た目も美しいデザートだ。コーヒーは王宮でしか飲んだことがない。庶民には手に入らないものなのかな?


 国王陛下は冒険者として、王国への要望があるかと聞かれた。周りを見ると誰も発言しないようなので、僕はお願いしてみることにした。



「国王陛下。ダンジョンの攻略についての情報は、王国内だけの情報とお考えですか?それとも、全世界で共有する情報とお考えですか?」


「グラン、何が言いたい。思うままを話していいぞ」


「ありがとうございます。私もアスカも産みの両親を魔獣に殺されています。魔獣を恨んでおります。魔獣のいない平和な世界を心から望んでいます。ですので、魔獣の討伐はどんどん進めていきたいのです。そのためには力も情報も1つに合わせて臨むのが効率的です。今回のクラン連合もこうして始まりました。私はこれを全世界へ広げたいと考えています。そして、すべての国から魔獣を一掃したいのです。そのために、今回の魔獣討伐の情報を他国にも伝えたいのです。そこで、国王陛下にお願いになります。国王陛下のお声がけで、他国の魔獣討伐に興味のある方をお招きして、情報共有の国際会議を開催ください。そして他国にも独自に得た情報を公開してもらい、魔獣討伐の情報は世界共通の情報としていただきたいと思います」


「うむ、大きく出たな。さすがアグリの息子だ。儂も賛同するし、他国へ打診もしていやろう。ただ、他国が乗ってくるかは保証できん」


「国王陛下、他国が欲しがるとっておきの情報があります。他国が倒せず困っている33階層のボスには弱点があります。33階層のボスはもう私とアスカの2人でも簡単に倒せてしまうでしょう」


「その情報をエサにしてみろというのだな。良かろう。グラン、其方は世界最強になったのだ、お主にも動いてもらうから覚悟しておけ」


「はい、お役に立てるのでしたら、何なりとお命じください」



 食事は無事に終わりました。おいしかったー!


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