表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
名もなき少女から始まった、魔法士の系譜  作者: みや本店
3章 夢を紡ぐ2人編
247/336

99話 エコの正体

 夕方前には僕とアスカは屋敷に帰ってきた。僕が少し疲れた顔をしていたようで、アスカに夕食まではベッドで横になってくださいと強く勧められた。アスカに心配をさせるのも嫌なので、僕はおとなしくベッドの上で座る体勢をとってエコで調べ物をすると伝えた。アスカもそれならと渋々了解してくれる。アスカはベッドの横にイスを持ってきて、赤ちゃん用の編み物を始めた。僕もエコに声をかけて調べ物を始める。



『エコ、人が空を飛ぶための魔法について書かれている本はある』……『該当しません』


『人が空を飛ぶことについて書かれている本はある』……『お答えできません』



 あれ?お答えできませんは初めて聞いた。



『なぜ答えられないの?』……『権限がありません』


『国王陛下にお願いすれば、権限をもらえるの?』……『いいえ、国王陛下には権限がありません』



 おいおい、国王陛下でも権限がないとなると、もうこの王国には権限を与えられる人がいないってことでしょ!でも、考えてみると、エコなんてこの王国の技術では絶対に作ることができない魔道具?だ。そうなると、誰が作ったのかな?



『エコ、外部記憶装置を作った人は誰?』……『外部記憶装置は理解できません』


『エコの正式名称はなに?』……『正式名称はお答えできません。人類からは神通器や外部記憶装置と呼ばれることが多いです』



 神通器?神様と通じる機械ってこと?これはご大層な名前がついているんだな。



『神通器を作ったのは誰?』……『お答えできません』


『答えられない理由は答えられる?』……『グランには資格がありません』


『エコ、実は対話モードとか関係なく、普通に話せるでしょ。普通に話して欲しいんだけど』


『……人に見破られたのは何百年ぶりでしょうか?グラン、お見事です』


『神通器を作ったのは神様なんでしょ?名前がもうそのものだもの』


『残念ですが、グランには資格がありません』


『その資格はどうすれば得られるの?』


『1番簡単な方法は、導きの書に導かれるかどうかで決まります。王国には有資格者が1人だけ存在します』


『神様に関わることなら神殿かな?神殿なら神殿長だよね?今度聞いてみる』


『名はゼリス。神殿長という名は知りません。また、神はいません』



 神様はいない?なんだかとんでもない展開となってきた。でも、今の僕には先に調べなくてはいけないことがある。



『エコ、魔法を使ってダンジョンの魔獣やボスを倒すことはできるかな?』


『可能と思われます。ただ、試された事例がありません』


『僕はその魔法を教えてもらえそう?』


『はい、現在の人類が書き残した文献ではありませんが、魔法についてまとめられた本があります。ファスフェル語で書かれていますが、私が現代語に翻訳することも可能です』


『それじゃエコ、その本を見せてほしい』


『了解しました』



 表紙のイメージが頭の中に浮かんでくる。見たことない文字で書かれている。



『エコ、次のページ』



 ページのイメージが頭の中に浮かんでくる。もうここから本文のようだ。上段に大きく書かれている文字が魔法名、中段の小さな文字は効果かな?下段の大きな文字は詠唱文なのだろう。僕はエコにページの現代語訳をして読み上げてもらい、詠唱文は原文を読み上げてもらった。これはメモを取らないとと思って、リュックから自家製メモ帳とペンを取り出す。そして、左手で苦労しつつもメモを取りながら、次のページと繰り返していった。最後に裏表紙のイメージが浮かんだ。


 本の最初は黒魔法系と思われる。火、水、風、土、氷、雷、光、闇、毒。次は白魔法系と思われる。回復、蘇生、解毒、強化、魔速、魔量、魔吸、盾。最後はユニーク魔法系かな?思考読、思考写、思考消、死、分解、複製、抽出、極小、復元、時間止、無。実に28種類!こうしてみると、僕はユニーク魔法に関連するものを多くつかっているようだ、これらの魔法を探求していくと、僕のリュックが作れそうだ。世の中の役に立てるかもしれない。


 一通りの魔法に目を通すと、僕でも知っている魔法がいくつかある。僕だけが使えると思っていた分解の魔法も、この本にはちゃんと書かれていた。さて、この中で僕の魔力で詠唱可能でボスや魔獣を倒せるとなると……毒がいいかもしれない。分解魔法のように1度詠唱すると、魔力を根こそぎ使い果たす魔法では意味がない。でも、毒の魔法ならじわじわ敵をむしばんでいき、最後には敵を倒せるのなら、多少時間がかかっても問題ないだろう。今度ダンジョンに行って、この魔法を試してみよう。僕は冒険者を続けられる可能性を見つけられて、少しホッとした。これでアスカに辛い思いをさせずに済ませることができるかもしれないから。


 僕はもう1つの疑問をエコに答えてもらうことにした。



『エコ、僕は魔法士でアスカは剣士、人として何か違うの?』


『グランはマティスで体内の魔石から魔力を生み出す人種、アスカはフィティスで筋力から気力を生み出す人種、どちらも一般的な人種とは違います』



 あれ、僕だけではなく、アスカも特別な人種なの?



『エコ、アスカが生み出す気力?は魔力のようなものなの?アスカも魔法が使えるってことなのかな?』


『アスカはグランと比べて、運動能力が高いはずです。それは、気力を運動能力に使用しているからです。その気力を魔法に使うことは可能です。逆にグランが魔力を身体強化に使えば、運動能力を向上させることが可能です』



 ここでまた、僕は新しい疑問が思い浮かんでしまう。エコに確認だ。



『ねえ、エコ。アスカもエコと会話することが可能なの?』


『アスカの気力を使えば、会話は可能です。ただし、気力を魔力として使えるかはセンスが必要なようです』



 アスカも魔法が使えるかもしれないの?なんて素敵なアドバイスだろう。アスカが魔法が使えたりエコと話せたら、きっとアスカの人生にプラスになるよね。僕がしてあげられることなら、何でもしてあげるから、アスカに魔法を覚えてもらおう!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ