表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
名もなき少女から始まった、魔法士の系譜  作者: みや本店
3章 夢を紡ぐ2人編
229/336

81話 33階層のボス。あっさり討伐完了

 いよいよ33階層のボスとの対戦。皆の気合が入りまくりだ!リサさんの顔色も良くなっている。でも念のため、父上に話しておくことにした。



「父上、少しお話しいいですか?」


「ああ、どうした?」


「昨日、リサさんが魔力不足で体調を崩されました」


「今日の討伐に影響がありそうか?」


「今朝はいつも通りでした。問題ないと思います。ただ、今日ボスを討伐したら、明日は休養日にしてもらえませんか?」


「そうだな、そろそろ休みを取るにはいいタイミングだ。明日は休養日にする。リサにもそう伝えて、今日を乗り切ってもらってくれ」


「はい、父上。リサさんに伝えてきます」



 僕は後衛チームのところへ戻り、皆に明日は休養日だと伝えた。皆が大喜びで、ますますやる気になっていた。



「皆さんに確認なんですけど、32階層のボス戦は、皆さんは以前にも経験があったのですよね?」



 すると、リサさんが代表して答えてくれた。



「ええ、後衛の皆も、もちろんアスカも経験済みよ。何か聞きたいの?」


「はい、昨日の戦闘でボスは火を吹いていませんでしたよね」


「言われてみれば確かにそうね。火を吹かれるのが厄介なボスなのに……」



 皆が確かにという顔をしていた。



「今回は、戦闘開始と共に顔を3つとも凍らせてしまおうと思ってます。そして魔石のある心臓の辺りも凍らせるので、アスカはその凍っている辺りの攻撃もしてみてくれると嬉しい」


「分かりました、旦那様」


「リサおばちゃんの体調を気にしての作戦?」



 リサさんがおちゃめな顔をして聞いてくる。もちろんそうなのだが、そのまま口にすることはできない。



「いえいえ、火に弱いボスがいたのですから、寒さに弱いボスがいてもおかしくないと思ったので」


「まあいいわ。今日はグランの作戦でいきましょう」


「了解です!」




 作戦も決まったことで、僕とアスカは先頭に向かう。皆の準備が整って、いよいよ出発だ。父上が前にでる。



「いよいよボスの討伐だ。まだ、誰も倒したことがないボスを俺たちが倒す。歴史に名を残しに行くぞ!」


「おう!」



 こうして今日もコの字形進行が始まった。


 普通の魔獣もかなり強い。アスカと朝の訓練をしていなかったら、目がついていけなかっただろう。リサさんには目くらましの魔法だけお願いしている。目くらましの魔法なら僕でもと言ったのだけど、僕の魔力はボス戦に温存しておけだそうだ。


 魔獣と闘いながらもいつものように進めている。皆も緊張しつつも落ち着いている。そして、そろそろ向かい側の壁という頃、僕は強く光る魔獣を見つける。いつものように指を指す。



「父上、アスカ、ボスのようです」


「了解。ボス発見だ。準備の最終確認をしてくれ。何かミスると命を落とすぞ」


「了解」



 魔法の射程圏内、チャミさんの魔法を受けて。皆が配置に着く。父上の合図で戦闘開始。


 僕は早速3つの頭を凍らせる。動きが鈍ったようだ。今のうちにと心臓付近も凍らせる。これも効果があるようだ。隙をみてアスカが連続突きを打つ。驚いたことにボスは光の粒となり消えてしまった。あまりのあっけなさに、喜ぶどころか皆が唖然として何も言えない。なんだか僕は悪いことをしてしまった気分。


 戦闘後の休憩?そんなもんいらない!という雰囲気の中、僕とリサさんは水を配る。配り終えたところでアスカの隣に腰かける。



「アスカ、討伐おめでとう」


「はい、ありがとうございます。旦那様。でも少々気が抜けてしまいました」


「何言っているんだアスカ!33階層のボスなんて倒して当然じゃない。王国内のこれだけの人が集まって、苦戦してたら恥ずかしいでしょ。まだまだ下の階層に行くのが目的なんだから、気合を入れてもらわないと困るよ!」



 僕はわざと大声でアスカに気合を入れる。もちろん皆に聞こえるように。周りの皆も確かにそのとおりだなとなって、少しはやる気を取り戻してくれた。父上も立ち上がって話し出す。



「グランのいう通りだ。俺たちが32階層のボスと33階層のボスはザコだと証明したんだ。まだ手こずってる他の国にも教えてやって、感謝されればいい」



 父上の言葉で、皆も納得した。



「ただ、33階層のボスを始めて倒した祝いはしない訳にはいくまい。明日は休養日とする。さっさと野営地まで移動して、休暇を楽しんでくれ」



 これには皆も大喜びだった。




 皆が気が抜けているようなので、ここで昼食になった。いつものように準備して、皆が食事を食べ始める。僕とアスカも適当なところに腰かけて食事を始めた。気になったので、リサさんの様子を見ると、普通に食事をしているようだった。



「旦那様、どうかされましたか?」


「リサさんの体調はどうかなと思ったから。普通に食事はしているようだから、大丈夫みたいだね」


「確かに心配ですね。リサさんが体調を崩すなんて初めてのことですから」


「明日はゆっくり休んでもらって、体調を万全にしてもらおう」




 食事を終えた僕はダイヤモンドを複製して、1つをリサさんに預けておくことにした。



「リサさん、この石持っていてください。魔力の回復や魔力の流れに良さそうですから。心配しなくても同じ石をもう1つ持っているので、僕の分もあります」



 僕はリサさんに自分の石も見せる。リサさんはしばらくどうするか迷ったようだけど、素直に受け取ってくれた。



「うん、2つあるなら1つ借りておく。王都に戻るまで借りておくわね。その代わり、杖の方はばっちり教えてあげる」


「はい、楽しみにしてます」



 やはり、リサさん。かなり悪いようだ。気になる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ