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名もなき少女から始まった、魔法士の系譜  作者: みや本店
3章 夢を紡ぐ2人編
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76話 戦闘開始

 午後もサーチと遠隔攻撃でダンジョンを進んでいく。そして予定よりも早く野営予定の25階層入り口近くに着いてしまった。とりあえず休憩となったので僕とアスカは水を配って回った。皆さんに水を配り終えたところで、僕とアスカも休憩。アスカにはちょっとサービスで、魔法で冷たい水にしてあげた。アスカはおいしそうに水を飲んでくれていた。


 クランのリーダー3人が集まって話しをしている。ここで野営するか。下に降りるかだろう。25階層からは高レベルの冒険者にとっても本格的に戦闘が始まるからだ。しばらくすると話しが決まったようで、父上が立ち上がって皆に説明を始める。



「これから25階層に降りる。25階層からは戦闘が始めるので。戦闘隊形を意識しての移動を頼む。まだ敵とも呼べる強さではないが、各自で体の動きの確認をしてくれ。それとレベル15とリサとグランはここに来てくれ」



 僕とアスカも父上のところへ向かう。皆が揃ったところで、父上が話し始める。



「今日の戦闘の前衛は、セルスとランゼンの1チームだけにする。2人はクランメンバーの動きを確認しながら調整してくれ。前衛はランゼンとガンズは昔組んでたから問題ない。セルスとマルスもどちらも器用だから問題ないよな。なので、今日は攻撃チームの調整に当てよう。ガンズとマルスも攻撃チームの動きを確認して、気になったことがあれば、セルスとランゼンに伝えてくれ。後衛はいつものように、戦闘前のステータスアップと支援魔法を頼む。グランは俺とアスカとともに魔獣探しだ。質問や異議のある者はいるか?」


「異議なし!」



 皆が隊列に戻って出発準備完了。父上の号令で25階層へ降りていった。25階層へ降りてサーチ。早速魔獣を発見。僕は指を指す。



「父上、アスカ、魔獣がいます」


「了解。魔獣発見だ。敵が見える距離まで近づいて。ステータスアップの魔法を受けてくれ。その後は各自が展開して、セルスの合図で戦闘開始だ」


「了解!」



 皆で僕の指さした方向へ歩いていく。しばらくすると魔獣が見えた。父上は遠隔攻撃の射程辺りまで近づいて、皆の前進を止めた。



「チャミ、頼む」


「はい」



 皆の上に雪のようにフワフワゆったりした光が落ちてくる。僕はステータスアップの魔法を始めてみた。とてもきれいだ。何度か魔法がかけられた。



「魔法の準備完了です」



 その声を聞いて前衛部隊が動き出す。その動きを見ながら、セルスさんとランゼンさんも前に進む。セルスさんが大きな声で号令をかける。



「戦闘開始!」



 セルスさんとランゼンさんは敵の注意を引き付けるような動きをするが、攻撃はするものの魔獣に当てないような動きをしている。攻撃チームは遠慮なく攻撃だ。敵はあっという間に光って消えた。これだけ強い人たちの集まりだから当たり前か。


 戦利品を拾ってきてくれた人が僕に渡してくれる。僕はそれをリュックにしまった。



「父上、この階層からは、出発前にポーションの確認を指示してもらえますか」


「ああ、そうだな。了解した」


「ポーション確認。10本装備していない者は手を上げるように」



 父上が見回しても誰も手を上げない。



「では、出発!」



 父上はジグザグ歩き回り魔獣を探す、見つかれば隊に戻って魔獣と戦闘。その繰り返しだった。そろそろ時間となったので、ジグザグはやめて前進に切り替える。敵を見つけて戦闘は変わらないが、まっすぐ進むのでペースは速い。そして26階層への入り口が見えてきたので、足場の良さそうなところで野営となった。


 もう慣れてきて、料理関連、設営関連、晩酌関連と作業を終えていく、僕とアスカも料理を食べ始める。



「アスカもそろそろ戦いたいのでは?」


「もう少し魔獣が強くならないと出番はなさそうです。皆さんお強いですからね」



 食事が終わると食器と鍋の片付け。その後に希望者にシャワー。なんと今夜は男性も全員参加!5人ずつでシャワーを浴びてもらいました。男性のシャワーが終わると女性の手伝い。そして僕もシャワーを浴びる。天幕の乾燥をしてテーブルへ戻る。最後の荷物出しの声掛けをして荷物を渡すと、僕とアスカの今日の作業が完了です。


 2人でテーブルに座り、ワインとおつまみとアスカのおやつを楽しむ。すると僕たちの席にチャミさんが現れた。シャワーの魔法を覚えたいそうだ。僕は空気中の水分を集めてと説明するけど、伝わらなかった。リサさんは別の方法だと伝えると、チャミさんはお礼を言ってリサさんのところに向かった。



「シャワーの快適さを知ると、ダンジョン内でも使いたくなるよね」


「そうですね、魁もリサさんがいてくれたので、水に関しては贅沢に使えるクランでした。でも、旦那様が参加されてから、水は普通にあるものに変わってしまいました」


「リサさんも工夫をしてくれた結果、かなり自由に水が使えるようになったね」


「はい、シャワーが使えるクランと宣伝すれば、女性冒険者の参加希望が殺到するかもしれませんよ」


「アスカとおしゃべりしていると、戦闘の気分が抜けてとてもリラックスできる。ありがとう」


「いいえ、私も同じですから。旦那様とお話しできて気持ちに余裕が生まれます。昔は野営中でも、どこか警戒する気持ちが残っていましたから」


「気持ちのメリハリは大切だよね」



 その後もアスカとしばらく飲んだり食べたり笑ったりして過ごした。ダンジョンの中なのに穏やかな夜になった。


昨夜「聖女として召喚された私が、いつのまにか森の魔女と恐れられている!」の2話を掲載させていただきました。「名もなき少女から始まった、魔法士の系譜」共々読んでいただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします。

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