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名もなき少女から始まった、魔法士の系譜  作者: みや本店
3章 夢を紡ぐ2人編
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57話 お土産買ってきました!

 僕とアスカは王都の門でお借りした馬を返す。寄り道もせずにまっすぐ屋敷へ向かう。屋敷では早く旅の汚れを落としたくて、すぐにお風呂に入った。まだ夕方なので、お土産を届けがてら魁の皆さんにセリエさんの紹介をして回ることにした。セリエさんにも声をかけて、まずは父上の屋敷に向かう。



「父上、ただ今戻ってきました。お土産をかってきたのですが、厨房においておきます」



 父上のところにアスカを残して、僕とセイラさんが厨房へ向かう。僕はリュックから取り出した樽と台を試しに組み立てて置いてみた。



「セイラさん、ここの注ぎ口をひねるとビールが出てきます」


「ええっ、家庭でビールが飲めるのですか?倉庫街ならではのお土産なのですか?」


「マイルさんのお店に頼めば、仕入れてもらえると思います。樽は10個買ってきたので、残りは倉庫に置いておきましょうか」


「はい、お願いします」



 僕は倉庫へ行って、邪魔にならなそうなところへ9本の樽を重ねて置いた。厨房へ戻ると、セイラさんはもうビールの樽を移動して、常備するつもりになっていた。



「他にソーセージとベーコンも買ってきたので、テーブルの上に置いておきます」



 僕はテーブルの上にお土産を置いて、居間にいる父上たちに合流した。



「グラン、面白いお土産を買ってきてくれたようだな、ありがとう」


「あれだけビールを飲まれる父上なので、必ず喜んでくれると信じていました(笑)ガンズさんとマルスさんのところにも届けに行くので、今日はこれで失礼します」


「いいや、リイサさんの店に集合にしよう。セイラさんもそれでいいな?」


「はい、支度が出来たら店に向かいます」



 僕たちは、ガンズさんとマルスさんの屋敷にもお土産を届けた。そしてセリエさんがお手伝いに来てくれたことを伝えて紹介した。それとリサさんには薬草を仕入れてきたので、明日に拠点に届けると伝えた。するとリサさんがポーションの作り方を教えるから、午前中から拠点に来るように言われた。アスカもその予定で大丈夫なようなので、了解しましたと伝えた。


 マルスさんとリサさんが僕たちと一緒に出掛けようと支度を始めた。お誘いするまでもなく、リイサさんの店に行く気満々なのですね(笑)



「あなたたちも行くんでしょ?もしかしてグリムも来るの?」


「はい、父上たちとも店で合流です」



 皆そろったところで門を出る。ガンズさんが1人で前を歩いていた。



「ガンズさんもリイサさんの店ですか?」


「ああ、グランがビールを見せるから、ついつい飲みたくなっちまった!」


「父上たちもお店で合流なので、魁全員集合です」


「ああ、よくあることだ」




 みんなで盛大に乾杯をする。がぶがぶ飲み始めたのを確認して、僕はリイサさんのところへ行った。



「食材を仕入れてきたので、明日から食材を届けに来れます」


「さっそくですまないけど、明日から届けておくれ。食材に何が必要かはキキに聞いてちょうだい」


「分かりました。細かいことはキキさんと取り決めておきます」



 僕は席に戻ってビールを飲む。王都だと気楽な気分で飲める。数カ月前は、王都だって肩の力がはいっていたのにすっかり王都民になっている。



「リサさん、明日の午前中にここに食材を届けることになったのですが、調合を朝か午後からにしてもらえますか?」


「午後からにしましょう。私もランチをここで食べることにするから、一緒に食べて、一緒に拠点に行きましょう」


「はい、よろしくお願いします」



 すると父上が横から割り込んできた。



「リサとグランは拠点で調合か?それなら俺も2人に会わせたい人がいるから、午後から拠点に顔を出す」


「分かりました。拠点でお待ちしています。それと父上、今回のダンジョン討伐の参加者の名前を知りたいのですが」


「いろいろ説明することもあるな……よし、数日中に参加者全員で集まれるよう声をかけておく。グランは説明の準備があれば済ませておいてくれ」


「了解しました」



 皆に倉庫街はどうだったと聞かれる。アスカが滝を見に行った話しと、野盗に襲われた荷馬車を助けた話しをした。すると、皆さんが荷馬車を助けた話しに食いついてきた!アスカが自慢気に僕の活躍?について話し始める。もちろん私の旦那様はすごいでしょ顔だ。野盗のボスも捕まえて、近衛兵団に引き渡した話しをすると、皆が真剣な顔になる。そして父上に質問された



「そのとき、魁と名乗ったか?」


「お父様、もちろんです!」



 父上は渋い顔をしている。アスカは心配そうな顔になった。



「お父様、私は何かまずいことをしたでしょうか?」


「いや、アスカとグランは立派なことをした。俺も誇りに思う。ただ、野盗のボスを捕まえたとなると、国王陛下からお褒めの呼び出しがあるかもしれない。それも魁を名乗ったとなると、クラン全員でだ。俺は慣れているが、ガンズもマルスも胃が痛くなる。一方、リサは王妃様が学生時代の後輩という感覚が抜けきれず、後輩扱いでしゃべりまくる」


「伯父上様にお願いして、私と旦那様だけで伺うことにしましょうか?」


「ああ、そうしてもらえると助かる。それでいいな、ガンズ、マルス」



 2人は大きく何度も頷いていた。




 しばらく飲んだり食べたりしていたが、僕とアスカは旅の疲れが出たのか、うとうとし始めてしまった。



「グラン、アスカ、お前たちは旅で疲れているんだから、もう帰って寝ろ」



 するとセリエさんも帰ろうとしていた。



「はい、父上。僕とアスカは先に失礼します。セリエさんのことはお願いします」


「ああ、セリエさんはちゃんと屋敷に送り届けてやる」



 僕とアスカは眠い目をこすりながら、ようやく屋敷に到着。2人で滑り込むようにベッドへ寝転がった。それでもアスカは僕にくっついてきて、僕はアスカを抱きしめていた。



「アスカを抱きしめているのが、久しぶりな気がする」


「私も旦那様にくっついているのが久しぶりに思えます」


「こうして、アスカを抱きしめていると、僕はとても幸せだ」


「私も旦那様の側で眠れて幸せです」



 今夜はもう、このまま眠りについていまおう。おやすみ、アスカ。


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