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名もなき少女から始まった、魔法士の系譜  作者: みや本店
3章 夢を紡ぐ2人編
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55話 楽しい名物

 僕とアスカは倉庫街の宿に馬を預けチェックインの手続きだけ済ませると、そのまま街へ繰り出した。



「ボタンさんにお任せするので、ボタンさんの行きたい店を案内してください」


「お昼に行った店でもいいですか?夜のメニューは、ランチと違って豪華です」


「ボタンさん、また商会の経費ですね!」


「ばれましたか!この店はお客さんとでないと、とても私には来れない店なもので」


「なるほど。では、私たちが夜も行きたがったので、連れて行ったということにしましょう!マイルさんにもそのように話しておきます」


「お気遣い感謝します。せめてお2人もたくさん飲んで、食べてください」



 お店に入ると、昼間と同じ店員さんがいた。ボタンさんに奥を指さしていて、昼と同じ個室に行けということらしい。



「ボタンさん、こちらの街でも、ビールジョッキをガツンで乾杯一気飲みなんですか?」


「はい、王都でも同じと聞きましたが」


「私は田舎から王都に来て、まだ数カ月なので詳しくないのです」



 ビールと山もりのソーセージが運ばれてきた。ボタンさんは料理を注文してくれた。



「ここの名物がきますから、楽しみにしていてくださいね」



 僕たちは乾杯して、ソーセージを頬張る。ソーセージがとてもおいしい。僕の中で大量に買って帰ることが確定した!


 そしてボタンさん一押しの名物が登場。テーブルの横に台が置かれ、その上に小さめの樽が置かれた。樽の下の方に注ぎ口が付けられている。ボタンさんは自分のジョッキを飲み干して空にすると、注ぎ口にジョッキを近づけ、注ぎ口の栓をひねる。ジョッキにビールが注がれた。



「いかがです?王都にはないと聞いてますが」


「いいですね、これ。王都でも買えるのですか?」


「重くて持ち歩きに不便なので、王都では人気がないようですよ。グランさんならリュックに入れて持ち帰れますね」


「ボタンさんの倉庫に買いに行ってもいいですか?このソーセージも買いたかったのです」


「もちろんです。いくつでも買って帰ってください。ただ、支払いは王都でお願いします」


「はい、今日納品していただいたものも支払いに行くので、その時に一緒に支払います」


「他にも欲しい物があれば、何なりと言ってください。王都の店に置かれていない商品もたくさんありますから」



 これで明日もボタンさんのところへ行くことが確定です。



「ボタンさん、この辺で観光できるようなところはありますか?」


「お2人は馬でしたね。この街からさらに2時間ほど先に、大きな滝があります。この滝は地下に流れ落ちる滝なので、珍しいようです」


「それは楽しみです。アスカ寄り道して帰るけどいいかな?」


「はい、旦那様。私も滝を見るのが楽しみです」


「明日、簡単な地図を書いてお渡ししますね」



 樽のビールも飲みつくし、料理もきれいにたいらげた。そろそろお開きの時間だ。



「ボタンさん、お言葉に甘えて、明日も倉庫に寄らせてもらいます」


「滝を見ていかれるのなら、倉庫は朝がいいですね。まあ、私は1日倉庫にいますけど」


「今日は1日お世話になりました。おやすみなさい」


「おやすみなさい」



 僕とアスカは先ほどの宿に向かった。部屋は屋敷の部屋ほどではないけど、立派な部屋だった。今夜はアスカとお風呂にはいれないのが残念です。




 朝になる。もちろん訓練はする。宿の庭先なので素振りだけにした。朝もお風呂にはいれるようなので、2人とも汗を流しにお風呂に行った。アスカと話して、もうそのまま出かけらる準備をして、朝食を食べに行った。朝食はパンと厚切りベーコンエッグとスープ。このベーコンもおいしい。お土産確定!



「アスカ、お昼は僕のリュックの中の残り物になるけど、いいかな?」


「はい、それで十分です」



 僕たちは食事を終えてチャックアウトしたけど、お金は取られなかった。マイルさんにお礼を言っておかないと。馬に乗ってホテルの敷地を出る。目的地はもちろん倉庫。昨日と同じ受付小屋に行くと、ボタンさんが待っていてくれた。



「ボタンさん、おはようございます。昨晩はご馳走様でした」


「いえいえ、こちらこそ楽しい時間をありがとうございました。では、早速ご案内します」



 3人倉庫へ向かい棚を歩き回る。結局買ったものはビールの樽50個と樽を置く台5つ。ベーコンとソーセージを50袋ずつ。それと布性のリュック5つ。金属製のビンを20本買った。僕がリュックに荷物を詰めている間に、ボタンさんが書類を用意してきてくれた。2枚の書類にサインして。1枚は僕が預かってマイルさんに届けることにした。



「ボタンさん、本当にお世話になりました。でも、近いうちにまたここに来ることになります。年に3、4回は来るかな?懲りずにまた、お付き合いをお願いします」


「はい、またのお越しを楽しみにしております。奥様もぜひ次回もお越しください」


「はい、ありがとうございます。また、ボタンさんに会いにきます」



 僕たちは大きく手を振りながら、ボタンさんと別れた。門を通るときに一度馬を降りて、守衛さんのところへ向かう。すぐに通行の許可が出て、大きな道を進む。そして分かれ道となり、王都と逆の方向へ馬を走らせた。観光に向かうこともあり、僕もアスカも少し浮かれているみたいだ。


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