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名もなき少女から始まった、魔法士の系譜  作者: みや本店
3章 夢を紡ぐ2人編
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49話 倉庫街の情報

 リイサさんの店では、父上とセイラさんとセリエさんがまだ飲んでいた。セリエさんもお酒が強そうだ。



「2人とも、また来たのか」


「はい、お父様。今日は1日歩きまわってのどが渇きました」


「よし、それならまた乾杯だな」



 皆でビールジョッキをガツガツぶつけ合って乾杯。そしていつもの一気飲みです。今日はアスカも半分くらい飲んでいた。のどが渇いていたようだ。



「父上、倉庫街に行くことにしたのですが、倉庫街は宿はありますか?」


「うーん、泊まったことがないから分からんが、商人が泊まる宿はあると思う。商品の受け取りに行くのか?」


「はい、倉庫に取りに行くと半額以下になるのですね。驚きました」


「ああ、馬車で運ぶし、護衛も雇うしで金がかかるからな。グランならあのリュックがあれば、確かに取りに行ってもいいかもしれん」



 するとセリエさんが横から教えてくれた。



「宿屋はありますよ。私も泊まったことがあります。宿はお貴族様が泊まれるような立派なところもありますし、庶民向けの安い宿もあります」


「セリエさんはお店をされていたと聞きました。その仕入れでいかれたのですか?」


「はい、店の開店準備で、1度だけ行きました。大勢人がいて活気がありました」


「それを聞いて安心しました。そうなると、後は馬の手配か……」


「旦那様、馬なら私が借りられます」


「アスカは馬が借りれるの?」


「グラン、知らなかったのか。レベル11以上の冒険者は王国から無料で馬を借りることができる。門の近くに厩舎があるから、アスカならすぐに借りられる」


「父上、レベルとは何ですか?」


「グランは冒険者レベルを知らなかったのか!冒険者の強さによってレベルが付けられている。この王国ではアスカがレベル16で最強だ」


「私にもレベルがついているのですか?」


「グランは……知らん。ギルドで調べてもらえば教えてくれる。今度、アスカに案内してもらえ」


「そういえばお父様、お父様はきっとレベルが上がっていると思います」


「俺もそう思っている。たぶんアグリさんからいただいた守護の祈りのおかげだろう」


「教会でいただいたあれですか?生前に母と教会に行って、神父様から母がいただいていました」


「もうお体が悪くなっていた頃か?」


「はい、私にはまだ直接話してはいなかったのですが、母の体調の悪さは見ていて分かっていました。あの頃からもう、自分の死後のことを考えて行動していたのですね……」



 アスカがテーブルの下で、手をこっそり握って僕を励ましてくれた。アスカの優しさに感謝だ。



「お父様、今日は1日歩き回って疲れたので、先に屋敷に戻ります」


「そうか、俺たちはもう少し飲んでから帰る」


「では、皆さん。お先に失礼します」



 アスカが僕の肩をポンポンと叩いて帰りましょうの合図。僕も立ち上がって、皆さんへおやすみなさいと挨拶して店をでた。アスカはすぐに僕の手を握ってきた。



「アスカ、いつも優しい気持ちをありがとう」


「夫婦なのですから、当たり前です」



 日中はバタバタしていたけど、夜は穏やかでホッとした。




 1晩ゆっくり眠って元気を取り戻した。やる気満々でアスカを訓練に誘うと、アスカは安心した顔をしていた。いつものように素振りをしてから立ち合いになる。



「アスカの攻撃は点か面で、父上の攻撃は線のイメージなんだけど、その他の攻撃はある?」



 アスカが考えるような表情になる。



「小さな剣は威力は小さいので速さと手数で勝負です。私のスタイルです。普通の剣は威力と速さのバランスがいいです。お父様とマルスさんのスタイルです。大剣はスピードは劣りますが、一撃の威力は凄まじいです。ガンズさんのスタイルです。ガンズさんはベテランなので、大剣を器用に使われ、盾代わりにすることもあります。前衛はほぼこのどれかのスタイルです。たまに剣と魔法を同時に使われる人も見かけます。ただ、剣がメインで魔法は補助です。旦那様のように魔法で前衛のような攻撃をされる人は、今のところ見たことがありません」


「僕はアスカと2人でダンジョンに行くとき以外は、前衛をやるつもりはない。前衛は前衛のプロがやるべきだから。でも、前衛の訓練は続けたい。僕がアスカの役に立てることもあるかもしれないから」


「私は旦那様と2人なら、ダンジョンは24階層までしか行くつもりはありません。旦那様は反対ですか?」


「反対ではないけど、賛成もしない。僕の訓練次第で25階層の魔獣も一撃で倒せるようになるかもしれない。それを目標に訓練を続ける。そしてお金を稼いで、2人の別荘を手に入れたい」


「旦那様、立派なお考えです。日々の鍛錬で必ず強くなります。そして25階層にも問題なく入れるようになります。私もお手伝いしますから、頑張ってください」



 こうして立ち合いが始まった。僕はハチの巣の盾を小さくして、魔力消費量を抑える目的で、アスカの攻撃に目がついていけるように訓練することにした。先はとっても長そうだけど……




 お風呂に入って、朝食の準備。アスカには朝食の前に出かけられる支度をしてもらうことにした。


 そしてお互いの支度が整ったところで、2人で朝食を食べ始める。



「アスカと2人で食事をする機会は少なくなってしまうね」


「旦那様もセリエさんと3人での食事を考えているのですか?」


「セリエさん1人で食べてもらうのは寂しいでしょ」


「はい、私もそう思います。でも、旦那様と2人の食事ができないのも寂しくもあります」


「これからは、食事の支度も掃除も洗濯もセリエさんがしてくれることになる。その時間をありがたく、2人で過ごす時間にさせてもらおう」



 僕とアスカは食事を終えると、急いで食器を片付ける。念のため、厨房にお茶のしたくだけしておいて、父上の屋敷にセリエさんを迎えに向かった。


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