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名もなき少女から始まった、魔法士の系譜  作者: みや本店
3章 夢を紡ぐ2人編
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47話 セリエさんとの面会

 ビールジョッキをコツンの乾杯の後、ビールを一口飲む。これから何軒も店を回るのに昼からお酒です。でもおいしい(笑)



「父上、ここに来る前にリサさんと会ってきました。今回のダンジョン攻略のすべての店との窓口は私が担当すことになりました」


「俺もそれで異存はない。グランとアスカですべてを好きにやってみろ。もちろん、困ったことがあれば相談にのる」


「父上、ありがとうございます。2人で頑張ってみます」



 僕と父上はジョッキをガツンとぶつけて乾杯した。初めて一気に飲み干せた!



「セリエさんは編み物はできますか?」


「はい、人並みにはできるつもりです」


「それは良かった。アスカに編み物を教えてやってください。アスカには作りたいものがあるらしいので」


「はい、私でお役に立てるのならなんなりと。私の方からもお伺いしたいことがあります。私は料理の腕も人並みなのですが……」


「セイラさんから何か脅されましたね。私は母が片腕で不自由だったので、家事全般を私がしていただけです。料理も田舎料理を作る程度です。でも、セリエさんとメニューの交換ができたら嬉しいです」


「はい、私もレパートリーを増やしたいと思います」


「それとセイラさん。私は父上とセイラさんの取り決めと同じやり方をしたいと思ってます。例えば、生活費はいつ受け取ってとか、食事の時間はとか、洗濯をする日はとかです」


「家の中のルールをグリムさんと同じにしたいということですね。かしこまりました。セリエに教えておきます。生活費については、ダンジョンから戻られたときに、適当に渡されています。なので、貯金がたくさんたまっています(笑)」


「セリエさん、そこは父上と同じようにはいかないと思います。僕はまだ、駆け出しの冒険者なものですから……」


「旦那様お1人に苦労はさせません。夫婦で稼いでセリエさんにお渡ししましょう!」



 アスカが闘志を燃やしたところで、この話しはおしまいになった。



「セリエさん、いつから屋敷に来られますか?」


「実は今日、グリムさんのお屋敷のお部屋をお借りしたのです。ですので、私はいつでもかまいません」


「では、早速明日にしましょう。僕とアスカが父上の屋敷に迎えに行きます。朝食を終えてしばらくしてくらいに」


「はい、その段取りでお願いします」



 僕とアスカは3人と別れて、マイルさんの店へ向かう。お酒を飲んだので顔が赤くないか心配なのだけど……




 店に着くと、マイルさんが出てきてくれて応接間に案内してくれた。



「マイルさん、食材の仕入れをお願いしたいのですが」



 僕はリュックから材料の仕入れ表をマイルさんにお見せする。



「かなりの量ですね。どこへお納めしましょう?」


「マイルさんのお店では、食材は倉庫に置かれているのですか?」


「はい、王都の近くの倉庫街に倉庫がありますので、そこからこの店に運んでいます」


「取りに行けば、その分お安くなりますか?」


「ええ、これだけの量ですから、倉庫からの運送費はかかりますので」


「もしかして、リサさんがお願いしている薬草も倉庫にありますか?」


「はい、倉庫にあります。一緒に取りに行かれるのなら、3回目の配送料分は値引きできます」


「それと、ポーション用のビンは取り扱っていますか?取り扱っているのなら、5000本欲しいです」


「はい、もちろん取り扱っております。これも一緒に取りに行くで問題ないですね」


「では、すべて取りに行く前提でお見積もりをください。それとリサさんがお願いした分も私がお支払いすることになっています。そちらの見積もりもいただいてもいいですか?」


「はい、かまいません。少しお時間がかかりますが、こちらで待ちますか?」


「ガデンさんの店にも行きたいので、そちらに行った帰りに寄らせていただきます」




 マイルさんの店を出ると、今度はガデンさんの店。お店が近くて助かります。


 お店に入ると、ケインさんがいた。今日はケインさんと相談する方が良さそうだ。



「ケインさん、金属食器について相談したいのです、お願いできますか?」


「はい、武器や装備でなければ、私が承ります」


「現物を見ながらお話しさせてください」


「はい、ではこちらにお願いします」



 ケインさんはお店の一画に案内してくれた。金属食器と言ってもピンからキリまであった。材料の値段がそのままという感じだ。



「ダンジョンに持って行く食器なので、庶民が使う安くて丈夫なものが欲しいです。お皿とカップとスプーンとフォークとナイフあたりですか」


「それですと、この辺のものでしょうか」



 僕とアスカが商品を手に取って見てみる。このレベルのもので十分だ。カップもマグカップと大きめのスープをいれられるカップもあった。スプーンとフォークとナイフも普通のものでいい。



「アスカ、お皿を大きいのを1枚にするか、普通のを2枚にするか迷っているんだ。大きいお皿だと、片側にメイン料理、もう片側にパンがのる感じ」


「それでいいと思います。ただ、普通のお皿も1枚あった方がいいと思います。例えば晩酌のおつまみを乗せるお皿に使うとか」


「なるほど、それじゃ大きいお皿と普通のお皿を1枚ずつにしよう」



 僕はお皿2枚とカップ2つ。スプーンとフォークとナイフを手に取った。



「ケインさん、この食器セットを16セット欲しいです。それと、名前を刻印してもらうことは可能ですか?」


「有料になりますが、刻印は可能です」


「それとこの食器セットが入るくらいの袋はありますか?」


「兵士の装備用の袋ならあります。それでもいいですか?」


「はい、では食器16セット、すべてに刻印をいれてもらって、袋もつけてもらう、それで見積もりをお願いします。そうそう、グランと刻印した1セットだけは先に受け取りたいです。サンプル用に皆さんに見せたいので」


「お見積もりには少々お時間がかかります。どうされます?それと、1セット先にお渡しするのは問題ありません。明日の夕方までに準備をしておきますから、それ以降で取りにきてください」


「分かりました。見積もりは用事を済ませてから、またお店にとりに伺います」


「はい、お待ちしております」



 僕とアスカは店を出た。時間つぶしと言っては怒られそうだが、キツカ様のところへ行くしかないか……


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