46話 予想外の昼飲み!
朝の訓練を終えた後、2人でお風呂に入る。湯船に2人並んで入るのが、もうすっかり普通のことになっている。
「アスカも僕とお風呂に入ることにすっかり慣れたね」
「恥ずかしいことに変わりはありません。ですが、旦那様とお風呂に入っておしゃべりするのは楽しいです」
「うん、僕もアスカとのおしゃべりは楽しい」
2人でまったりした時間を過ごす。こういう時間は大好きだ。お風呂を上がると僕は朝食の準備を始める。アスカはサラサラのロングヘアなので、髪を乾かすのに時間がかかる。
おおむね食事の準備ができた頃、アスカが厨房に入ってくる。2人で料理を食堂に運んで食事の支度が整う。2人で席に着くとようやく食事が始まった。
「アスカ、今日もお昼頃からアスカを連れまわすことになる。いいかな?」
「はい、旦那様の行くところについていきます」
「アスカ、それととても言いにくいことなのだけど……」
「旦那様、お金の相談ですよね。立て替えるお金が不足したら、私も払いますので心配しないでください」
「本当に、頼りない旦那で申し訳ない。それと、今日は午前中から僕の仕事を手伝って欲しいんだ。お願いできる?」
「はい、何でも言ってください」
僕は朝食の後片付けをしていると、アスカはお茶の支度をしてくれた。僕はクッキーを持って食堂に戻る。今日は大きなテーブルの食堂が作業がしやすいからっだ。
アスカがお茶とクッキーを楽しんでいる間に、僕はアスカにお願いする献立表を作り始める。出来上がったところでアスカに声をかける。
「アスカ、申し訳ないけど、この献立表を4枚書き写してもらえるかな」
「はい、かしこまりました」
アスカが書き始めてくれたので、僕は材料の仕入れ表を書き始めた。上から優先順位の高い材料を書いた。そして、材料の横に仕入れて欲しい数を書いていった。書き終えた後は、金属製の食器やコップなどの数と寸胴鍋の数も書いた。残りの不明なものはポーション関係。薬草の仕入れはリサさんが始めてくれているかもしれない。リサさんと話してから行動を開始しよう。
アスカが3枚目を書き始めてくれたので、自分の作業を終えた僕も1枚書き写すことにした。僕は頭の中でイメージしてしまえば、後はそれを書き写すだけ。アスカの数分の1の時間で書き終えてしまう。
「アスカ、ありがとう。残りは僕が書くよ」
アスカと交代して、頭の中に残っているイメージで書き写す。そして書き終えた。
「旦那様は元の紙を見ないで書かれていましたね」
「ううん、最初に見て頭の中に描き残してしまうんだ。その後は頭の中のイメージを手で書くだけ。魔法士はこれができないと魔法が使えないから」
アスカは不思議そうな顔をして僕が描いた紙を見ていた。
「アスカ、これからリサさんのところに寄って、リイサさんのお店でお昼を食べて、マイルさんの店とガデンさんの店に行くよ。時間があればキツカ様のところにも寄りたい」
「旦那様は今日も大忙しですね。私に手伝えることがあれば、何でも言ってください」
「ありがとう、早速出発しよう」
リュックを背負って、アスカと手をつなげば、出発準備完了だ。僕たちは屋敷を後にした。
リサさんの屋敷に行くと、リサさんは庭の花壇に水やりをしていた。僕が声をかけると門の近くまで出てきてくれた。
「グラン、アスカ、おはよう。今日はどうしたの?」
「ポーションのことで相談です。仕入れは始めましたか?」
「始めたわよ。調合鍋も3つお願いした。明後日、薬草の2回目の納品と鍋も届くことになってる」
「仕入れはマイルさんのところですか?」
「そうよ。支払いのことはグランと話してと伝えておいた。今回の仕入れの窓口は、すべてグランが担当でいいのよね?」
「はい、必要なものの注文だけリサさんがしてくれれば、後のことは僕がやっておきます。それと。ポーションのビンはどうしましょう?」
「私もそれを悩んでた。何せ初めて作るから、純度をあげたポーションがどのくらいできるのか分からなくて」
「余っても次回使えばいいだけなので……5000本くらい頼みましょう」
「5000本!……うーん、でも考えてみるとそう多い数でもないのね。5000本にしましょう」
「了解しました。マイルさんのところに注文しておきます」
僕たちはリサさんと別れてリイサさんの店に寄った。席に向かうと、父上とセイラさんが見知らぬ女性む含めて3人で座っていた。もちろんビールを飲みながら!
僕とアスカも席につくと、父上が女性を紹介してくれた。
「こちらがセイラさんの妹のセリエさん、セイラさんから話しは聞いていただろ?」
「はい、父上。初めまして、グランです。我が家のお手伝いに来ていただけると聞いています。よろしくお願いします。隣が妻のアスカです」
「初めまして、アスカと申します。セイラさんには子供の頃からお世話になっていました。よろしくお願いします」
「初めまして、セリエと申します。お気に召したらぜひお雇いください」
「まあ、堅苦しい挨拶はここまでにしよう。グランとアスカも1杯だけ付き合ってくれ」
「はい、喜んで。アスカもいいね」
「はい、一緒にいただきます」
こうして予想外の昼飲みスタートです!




