表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
名もなき少女から始まった、魔法士の系譜  作者: みや本店
3章 夢を紡ぐ2人編
182/336

34話 結婚式

 僕もアスカも結婚式の朝は早く目が覚めた。2人でどうしようかと考えたけど、やはり訓練はすることにした。その後にお風呂にも入る。新婦のアスカには、朝のお風呂はちょうど良かった。


 朝食を食べ終え、僕が食器を片付けていると、セイラさんが迎えにきてくれた。今日はアスカの支度を手伝ってくれるからだ。僕とアスカは衣装やブーケを持ってセイラさんと合流。3人そろって神殿に向かった。




 アスカとセイラさんは女性用の控室に向かった。僕は男性用の控室だが、男の支度などすぐに終わってしまう。着替えを終えてしばらく控室で待っていると、父上が控室に来てくれて僕の服装を確認してくれる。クランのエンブレムもつけてもらって支度は完了。2人で先に礼拝堂へ行くことにした。


 父上と僕が神父様と挨拶をしていると、アスカがセイラさんに手を引かれて礼拝堂へきた。父上はセイラさんから手招きされて、セイラさんと交代する。そして父上がアスカの手を引いて、祭壇へ連れてきた。僕とアスカが並んで祭壇へ立つと、神父様は聖典を読んでくださった。


 そして神様への誓約をして、神父様が指輪を渡してくれる。僕が指輪を取ってアスカの指に、アスカが指輪を取って僕の指にはめる。



「今日より夫婦となった2人に神の祝福を!」



 神父様の結婚宣言により、僕らは夫婦になった。



「これで2人は神より夫婦となることを認められました。おめでとうございます」


「ありがとうございます。神様と神父様に心から感謝いたします」




 嬉し涙が止まらないアスカをなだめながら、セイラさんが控室にアスカを着替えに連れていった。僕も控室に着替えに向かったが、父上は神父様にお礼の挨拶をしていた。


 僕が着替えを終えて再び礼拝堂へ戻ると、父上が1人で座って待っていた。僕は父上の横に腰かける。



「たいして親らしいこともしてやれなかったが、アスカはまっすぐな良い娘に育ってくれた。そしてグラン。お前もアグリさんが大切に育てたおかげで、こうして結婚するまでに成長できた。これからは2人が力を合わせて、幸せになるよう頑張るんだ」


「はい、父上」


「しかし、結婚式を無事に終えて、腹も減ったし、のども乾いた。荷物を置いたら、4人でリイサさんの店で祝杯だな」


「はい、父上」



 そんな会話をしていると、アスカとセイラさんが戻ってきた。4人で屋敷に向かう。結婚式はあっという間に終わってしまったけど、アスカのウェディングドレス姿は見れたし、夫婦になったと身が引き締まる思いもできた。結婚式を挙げて本当に良かった。




 屋敷に荷物を置いて、リイサさんの店に向かう。店にはクランの皆が勢ぞろいしていた。僕たちが来る前から飲んでいたようだが、あらためて乾杯らしい。



「今日、グランとアスカの結婚式を神殿で執り行ってきた。目出度い日なので皆で祝ってやってくれ。乾杯!」


「おめでとう!乾杯!」



 とりあえずいつものガツンの乾杯と一気飲みが終わる。



「ありがとうございます。これからアスカと2人で頑張ります」



 僕とアスカは2人そろって頭を下げた。そして、タイミングを見計らうようにキキさんが次々にお酒も料理も運んできてくれて大騒ぎになった。




 しばらくすると、驚いたことにガンズさんの娘のエイラさんとリアラさん。マルスさんの息子のサンズさんとライズさんがお祝いに来てくれた。


 ガンズさんの長女のエイラさんは民間学校の魔法士科に所属していて、魔法のことを教えて欲しいとお願いされた。僕も喜んで教えるので、今度屋敷に遊びに来てと伝えた。次女のリアラさんも姉と一緒に行きますと意気込んでいた。こちらは民間学校の剣士科所属なので、アスカ目当てのようだ。すると隣にいた、マルスさんの長男のサンズさんと次男のライズさんは、どちらも民間学校の剣士科所属なので、僕らも遊びに行きますと言っていた。もちろん大歓迎だよと答えておいた。



「アスカさん、ぜひ僕たちに稽古をつけてください」


「はい、かまいませんよ。ぜひ屋敷に遊びにきてください」



 だが、エイラさんだけは僕に向かって言った。



「私はグランさんにぜひ魔法を教えていただきたいです」


「エイラさんは白魔法士?それとも黒魔法士?」


「民間学校では分けられてはいないのです。でもほとんどの人が冒険者になるので、黒魔法中心のいいとこどりをめざします!」


「なるほど。もうすぐ卒業だったね、魁に入るの?」


「迷ってます。リサさんとグランさんは魅力ですが、父がいますから……」



 するとアスカが横から口をはさむ。



「エイラさん、ガンズさんはダンジョンではとても頼りになる立派な剣士様ですよ。今のあのお姿はダンジョンでは見ることができません」



 そう言って皆がガンズさんの方を見ると、ビールジョッキを片手に大騒ぎをしていた。



「エイラさん、魁に入るか入らないかは別にして、1度私たちとダンジョンに行きましょう。もちろんリサさんも旦那様も一緒ですから」


「はい、卒業前に1度ご一緒して、今後どうするかの参考にさせていただきたいと思います」



 僕はそんな冷静な分析ができるのは、お父さんそっくりだと言いたかったが黙っていた。お父さんに似ているは娘さんへの誉め言葉にならないだろうからね(笑)




 若い人達はお酒が飲めないので、さんざん食べてお腹がいっぱいになると屋敷に帰っていった。皆も魁に入ってくれると、家族が増えるみたいで嬉しいのだけど。


 結局、長い長い飲み会は、お店の閉店によって終わりを迎えた。昼から飲んでいたのに……


 マルスさんとリサさんに挨拶をして別れ、ガンズさんに挨拶して別れ、父上とセイラさんに挨拶して別れた。ようやくアスカと2人きり。


 僕は右手を差し出すとアスカは左手で握ってくる。僕の手にアスカの指輪が触れる。アスカと結婚したんだって急に実感がわいてきた。2人で力を合わせて、幸せに生きていこう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ