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名もなき少女から始まった、魔法士の系譜  作者: みや本店
3章 夢を紡ぐ2人編
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28話 結婚式の準備完了

 リイサさんの店で昼食を食べる。今日はお客さんが少ないようで、キキさんはお茶と焼き菓子まで持ってきてくれた。自分用に焼いたお菓子だったようで、ありがたくご馳走になった。


 食事を終えてライザさんの店に行く。オスバンさんが僕たちを見かけてライザさんを呼びだしてくれた。ライザさんはすぐに指示を出してくれて、更衣室のある個室に案内された。3人でソファーに座って待っていると、衣装を持った男性と女性が現れた。まずはアスカの衣装からとなり、アスカが女性と更衣室に入っていく。しばらくすると、アスカが純白のウェディングドレスを着て出てきた。


 とても綺麗だった。僕は思い出した。初めてアスカを見かけた日。すれ違うアスカを絵本の中のお姫様のようだと思った。そして、目の前のアスカは、まさにお姫様そのものだった。



「アスカ、とても綺麗だ。よく似合っているよ」


「旦那様、ありがとうございます」



 ライザさんが細かくドレスを確認する。問題ないようだ。


 続いて僕も服を持って更衣室に入る。僕の衣装は燕尾服と言われるものだった。男の衣装は普段とあまり変わらないのですぐに着替え終わって更衣室を出る。蝶ネクタイを付けられて、襟にはクランの紋章をつけられた。


 ライザさんは僕の衣装も細かく確認する。僕の衣装も問題がない。



「2人ともこちらに来て、鏡の前で並んでごらん」



 僕とアスカが2人で並ぶ。ライザさんがアスカの手を取り、僕の腕に手をかけさせる。



「2人ともよくお似合いだ。この姿をアグリさんにも見せてやりたかったよ」


「ライザさん、ありがとうございます。母もライザさんに衣装を仕立ててもらって、喜んでいると思います」


「私もアスカさんの息子さんと、グリムさんの娘さんの結婚式の衣装を作れるとは思わなかった。長生きはするものだね」



 試着を終えて普段着に着替えドレスは箱に片付けてもらう。オスバンさんに支払いをして。ライザさんにあらためてお礼を伝えた。大満足の僕たちは皆さんにお礼を言いながら店を出た。アスカはウェディングドレスが気に入ったようで、浮かれている感じだ。でも、アスカが喜んでいるのは、僕も嬉しい。浮か気分の2人は、あっという間に屋敷に到着してしまった(笑)


 荷物を片付け終えると、アスカが真剣な表情で僕に話があると言ってきた。僕は紅茶とクッキーを用意して、居間のソファーに2人で座る。



「旦那様、結婚を前に確認をさせてください。本当に冒険者になりますか?」


「うん、僕は冒険者になる。何ができるか分からないけど、やっぱり僕はずっとアスカのそばにいたいから」


「いいのですか?旦那様は器用ですから、商人にでも料理人にでも望むままなれます。ですが、その……旦那様に最も向いていないと思われる冒険者になってもいいのですか?」


「僕はダンジョンに行ってはっきり分かった。何をするのかではなく、僕にとって最も大切なのはアスカと一緒にいること。片時もアスカと離れたくない。だから僕も冒険者になる。それについて、マイナスの気持ちはまったくもっていない。だからアスカは気にしないで」


「旦那様の決心に水を差すようで申し訳ないですが、私から1つ言わせてください。冒険者は本当に危険な職業です。1つ間違えば簡単に命を落としてしまいます。私の知り合いも、何人もダンジョンから戻ってきませんでした。もちらん私は全力で旦那様をお守りします。それでも、油断をすれば命の危険が訪れます。どうか、ダンジョンの中では油断しませんようにお願いします」


「分かった。アスカの言いつけは必ず守る。アスカと一緒に訓練も怠らない。僕を冒険者として導いて欲しい」


「はい、旦那様をしっかりと冒険者としてお育てします」




 夕方になったところで父上の屋敷に向かう。父上は在宅だったがすでに酔っていた。どうも33階層のボス討伐の話しで盛り上がったクランの首脳たちと昼から酒を浴びるほど飲んだそうだ。僕は話すかどうか迷ったけど、やはり早く話した方がいいと思い父上に話し始める。



「父上、本日、指輪と結婚式の衣装を取りに行き、準備が整いました。結婚式をしたいと思います」


「それはめでたい!神殿へ行って神父様のご都合を伺ってみよう。セイラさん今夜はリイサさんの店で飲みましょう!」


「はい、祝杯をあげましょう」



 こうして4人で出かけることになる。屋敷を出ると、隣の屋敷の庭で素振りをしていたガンズさんが合流して5人で店に向かった。


 リイサさんの店に到着。先客がいた。マルスさんとリサさんだ。クラン一同勢ぞろいとなった。そして3人は僕のダンジョンでの戦いについても聞きたかったようだ。今夜は長い夜になりそうだ。


 いつものようにリイサさんが大量のビールジョッキを持ってきた。皆がビールジョッキを手にしたところで、父上が乾杯の挨拶。



「2人の結婚式の準備が整った。近いうちに神殿で結婚式を挙げてくる。あの小さかったアスカが嫁にいく。3人のお陰だ。ありがとう。乾杯!」


「結婚おめでとう。乾杯!」



 いつものガツンの乾杯と一気飲み。今日は僕も頑張ってみたけど、半分がやっとだ(笑)今夜はおめでたい席でペースが早い。ジョッキは次々と空になっていく。それだけ皆が祝福してくれていると思うと嬉しくなる。僕も今夜は酔っぱらうぞ!


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