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名もなき少女から始まった、魔法士の系譜  作者: みや本店
3章 夢を紡ぐ2人編
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17話 ダンジョン探索準備

「父上、食事を終えたらアスカに屋敷内を案内してもらってください」


「ああ、そうさせてもらう。しかし、グラン。今日の昼食はグランが用意したのか?」


「すみません、簡単なものしか用意できなくて。旅の時の料理が残っていたので、すべて使ってしまいました」


「アスカから旅の食事が良かったと聞いていたが、この料理が野営で出ていたのか?」


「はい、パンと料理とスープは出すようしていました。なるべく狩をして、その肉で料理もしましたが」


「グラン、これがダンジョンでも出せそうか?」


「はい、そのつもりでいます」


「6人で1カ月のダンジョン探索が基本だが、対応可能か?」


「はい、人数と期間さえ教えてもらえれば、準備可能です。ただ、セイラさんにもお手伝いしていただくことになりますけど」


「旦那様、卵料理も可能ですか?」


「もちろん可能だよ。皆さんのリクエスト料理があれば準備して持って行けます」


「それも荷物を抱えるのはグランだけで済むのか……これはダンジョン探索の革命が起こるな」


「父上、ダンジョンに出る前に、私の魔法の威力の確認をしたいと思っています。近いうちにアスカと2人でダンジョンへ行ってきても良いでしょうか?」


「ああ、それは構わん。確かアグリさんもそんなことをしていた。魔法の手をずっと先までのばして、さらに魔法の手の先から細い針のような物をたくさん出して、死角も攻撃する訓練もされていた」


「魔法の手からさらに複数の魔法の手ですか……さすがは母です。思いもよりませんでした。私も試してみます」


「その確認には俺もついて行こう。アグリさんに見せてもらった魔法が、グランの役に立つかもしれんしな」



 するとセイラさんが待ってましたという雰囲気になる。



「ぜひ、明日から3人でダンジョンへ行ってきてください。私はその間にこのお屋敷の大掃除をしたいと思います」


「どうするアスカ、1週間くらいダンジョンへ行ってみるか?結婚式は少し遅れるが」


「旦那様のダンジョンでの確認が最優先だと思います。試してダメなら別の方法を考える時間も必要になりますから」


「父上、アスカ。そうなると、食事はパンとチーズや干し肉とスープだけの粗末なものになってしまいますが……」


「グラン、ダンジョン内でそれだけの食事が出れば、豪華な食事だ。心配いらん」


「父上、午後は私たちとの買い物に同行していただけませんか?そうすれば父上がダンジョンんで食べたいものを選んでもらえます」


「酒も持って行けるのか?」


「はい、何本でもかまいません」


「よし、俺も一緒に行こう。ポーションや傷薬も買わねばならんし」



 これで明日からダンジョンへ行くことが確定してしまう。午後の買い出しは忙しくなりそうだ。




 僕は前もってセイラさんに寸胴鍋を見せて、この寸胴鍋をそのまま持って行くと説明した。セイラさんはこの鍋なら45から50食分くらいかしらとなる。セイラさんと相談した結果、3種類のスープを3人で10日分作ることにした。セイラさんはどうやって持って行くのと疑問に思われた。そこで僕は正直に話すことにした。このリュックは入り口を通ればいくらでも物を入れることができること。食料品は腐ったりすることがないこと。セイラさんは私も欲しいと言っていたが、さすがに僕にも何とも言えなかった。亡き父の家の家宝らしいので。


 午後からは4人そろって市場へ向かう。明日からダンジョンとなったので、先に食料の買い出しをすることにした。僕はペンとメモを出して、父上とアスカが買った物をメモする。リュックへ入れるときもタグ付けをした。2人が買った物は食事というより嗜好品。お酒とおつまみとお菓子とジュース……食事は全食僕が用意した方が安全だ。僕はセイラさんと協力して、90食分の食料を買い揃える。スープの材料もセイラさんと何のスープを作るか決めて材料を買った。やはり食材も王都は目が飛び出るほど高かった。食料の買い出しはこれでいいだろう。


 次に屋敷の物を買いに日用品を売る店に来た。さすがに王都の店、品ぞろえには驚かされた。中には何に使うのか分からない物もあった。僕はセイラさんに今日は屋敷の物の買い物はあきらめたと伝える。ダンジョンに持って行く物がここにもいろいろあるからだ。洗剤に石鹸。せっかくなのでタオルの類も新品に交換してしまおう!そうなると毛布も新しいのが欲しくなる。えい買ってしまえ!こうして大量の買い物を終える。さすがに毛布は1度にリュックに入らないので1つ1ついれた。そして最後に必要なもの。



「父上、携帯用のベッドが欲しいのですが」


「確か防具屋で取り扱っていると思うが……何に使うんだ?」


「ダンジョンで寝るためです」


「ダンジョンではそんな余裕はないと思うぞ」


「いいえ、しっかり眠ることも大切です。買いに行きます!」



 結局、携帯用のベッドはガデンさんの店で購入することになった。ちょうどアスカの剣の作成状況も聞けていい。


 ガデンさんの店には近衛兵団が使う立派な携帯用ベッドがあった。うーん、これも買い替えよう!ガデンさんにアスカの剣の様子を聞くと、かなり苦労しているとのことだ。あの純度のミスリルは思い通りの形にするのにとても時間がかかるらしい。約1カ月は見て欲しいとのことだった。


 僕たちは帰り道でもあるので、ライザさんの店にも寄った。ライザさんに10日間はダンジョンに行くと伝えると、慌てて仮縫い中の衣装を持ってきた。アスカのサイズ確認をしていると、僕の分も持ってこられた。僕はクランの礼服でよかったのに。約束していたセイラさんの結婚式の服もライザさんにお願いした。セイラさんの服も仕立ててもらうつもりでいたが、セイラさんに断られた。あまり立派な服では普段使いにくいそうだ。結局、セイラさんはお店に飾ってあった既製服に合わせる形でコーディネートをライザさんにお願いしていた。




 午後は目まぐるしいほど動き回り、4人でぐったり疲れてしまった。これから屋敷に戻ってスープの用意……無理です。明日を準備にあてて、明後日の朝出発にしてもらった。そして父上の、のどが渇いた!の連発にリイサさんの店で夕食を食べて帰ることとなる。驚いたことにセイラさんもけっこうお酒が強い。父上と仲良くよく飲んでいた。アスカはニコニコ食事をしている。こんな騒がしい夕食も、僕には楽しい夕食だった。やはり家族はいいものだ!


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