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名もなき少女から始まった、魔法士の系譜  作者: みや本店
3章 夢を紡ぐ2人編
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16話 アスカの気持ち

 自分たちの部屋が決まって、僕たちはウキウキしながら、しばらくの時間を部屋で過ごした。そんな中、僕は気になっていたことを、アスカに聞いてみた。



「アスカは父上と別居することに抵抗はないの?」


「……」


「ごめんね、アスカ。僕はアスカとの生活に浮かれてて、そこまで考えてあげられてなかった。アスカが望むなら、今までのように4人で住んでもいいよ」


「旦那様と2人の生活はしてみたいです。自分の家庭を持つのが夢でしたから。でもお父様と離れて暮らすのも申し訳なく思ってます。ここまで育てていただいたので」


「どうする?アスカが選んでいいよ」


「……」


「では、こういうのはどうかな?子供ができるまでは2人で住んで、子供ができたら一緒に住んでもらう。子供にもおじいちゃんとの思い出を作ってあげられるから」


「はい、そのようにしたいです」


「では、アスカは自分の気持ちをちゃんと父上に伝えないと。今までの感謝の気持ちと、これからのアスカの希望を」


「はい、お父様へしっかりお伝えします」




 僕たちは自分の荷物を新居に運ぶことにした。父上の屋敷に戻り僕とアスカが自分の荷物をまとめている間に、セイラさんが新居の様子を確認してくれることになった。セイラさんが父上の屋敷から持って行ける物と、新しく買い揃える物を選別してくれたようだ。僕は料理道具は揃えて欲しいとだけリクエストした。


 僕は自分の荷物がほとんどないので、アスカには自室の荷物のまとめをお願いした。後でアスカの荷物は僕のリュックに入れてしまえば1度ですべて運べてしまう。やることのない僕はセイラさんのところへ持って行くものを預かりにいく。



「セイラさん、持って行く荷物があれば預かります」


「はい、台所にまとめて置いておきました。新居でも台所にまとめて置いておいてください」


「はい、分かりました」



 僕はリュックに次々と荷物を詰め込んでいく。僕のリュックの中にはタグのようなものが付けられるので、詰めたものはすべてセイラさんの預かりものと付けた。すべて詰め込み終えたところで、アスカの部屋へ戻る。



「アスカ、持って行くものをリュックに詰めるよ」


「はい、テーブルの上にまとめてあります」


「これで全部かな?」


「はい」


「それでは僕はこの荷物も持って先に屋敷へ向かうから、アスカは父上とお話しをしておいで」


「はい、旦那様。荷物をお願いします」



 アスカの荷物もタグ付けしながらリュックに詰める。すべてを詰め終え隣の屋敷へ移動だ。




 新居ではまず台所でセイラさんから預かった荷物を取り出す。そして3階の部屋へ行ってアスカの荷物をテーブルの上に置く。僕は隣の部屋をのぞいてみるとクローゼットと棚の部屋だった。やはりお貴族様仕様!僕は数少ない服をかけたり引き出しにしまったりした。


 荷物の片付けは終わってしまったので、次は簡単なお昼ご飯を作ることにした。と言ってもアスカとの旅の途中で作ったスープが残っているので、それを温める。そしてサンドイッチとホットドッグを作ることにした。リュックの中の在庫整理のようなものだ。かまどがいくつもあって厨房は大人数の生活にも対応していた。僕はリュックの中から寸胴鍋を取り出し、魔法でお湯を満たす。リュックに残っているすべてのソーセージを茹でてしまう。サンドイッチの具は焼いた鶏肉と焼いた豚肉。どちらも塩と胡椒で下味はついているので、お好みでトマトソースをかけてもらおう。薪は厨房横の倉庫にあったので何本かを持ってきて、魔法で火をつける。ホットドッグのパンもサンドイッチのパンも軽く炙る。サンドイッチのパンにはチーズも乗せてチーズも少し柔らかくした。リュックからまな板と包丁を取り出し、サンドイッチを切り分ける。4人分もお皿がない……セイラさんから預かった荷物には、食器関連のものが4つずつ用意されていた。さすがセイラさん!お皿にサンドイッチを乗せて食堂へ運んでおく。グラスとアスカが気に入っていたリンゴのジュースもリュックから取り出した。グラスの3割くらいにジュースを注ぎ、魔法で凍らせる。そしてさらにジュースを注いで冷たいジュースも完成した。後は皆が揃ったらスープを用意すればいいだろう。




 しばらくするとアスカとセイラさんが屋敷に戻ってきた。セイラさんは昼食の準備がされているのに驚いていた。



「アスカ、父上にお昼を食べに来て欲しいと伝えてほしい」


「はい、すぐに呼んできます」



 アスカはすぐに屋敷を出て行った。セイラさんは台所の荷物を片付け始めたので、僕はスープの準備を始めることにした。



「グランさんはずいぶんと家事に手慣れているようですね」


「はい、母が片腕を失っていたので、家事全般は僕がしてました」


「なるほど。では台所にしまう場所もお見せしておいた方がいいですね」


「はい、お願いします」



 それからセイラさんが棚にしまうのを僕も手伝った。やはりいろいろ足りない物がある。僕はセイラさんに不足しているものの購入をお願いした。



「セイラさん、午後は買い物に連れて行ってもらえませんか。僕は王都が初めてで、どこで買い物をして良いのか分からないので」


「はい、取り急ぎ生活雑貨と食料品関連ですか。カーテンや絨毯はもともと用意されているものでいいですか?」


「そうですね、今はあまりお金もないので当面は節約します」




 スープを準備して食堂へ運ぶ頃、ちょうど父上とアスカが食堂へ来た。まずは食事をしてからとなり、4人でテーブルについて食事を始めた。


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