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名もなき少女から始まった、魔法士の系譜  作者: みや本店
3章 夢を紡ぐ2人編
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15話 2人の新居

「旦那様、朝です。起きてください」



 僕はアスカに揺り起こされる。ゆっくり目を開けると、目の前にはかわいいアスカの顔。僕は両手でしっかりアスカを抱きしめながら、「アスカおはよう」と寝ぼけながらの朝の挨拶。それでものんびりはしていられない。僕も朝の訓練をするのだ。ベッドを出た僕は思い切って、昨日用意したダンジョンへ行くための装備一式を身に着けて訓練してみることにした。身に着けてみて気付いたけど、全身黒ずくめだ。本当にこれでいいのかな?


 庭に出て、まずはアスカに借りている細剣で、体を使っての素振り。続いて魔法を使っての魔法の手の素振り?を始める。装備のお陰か魔力の回復時間が短縮された気がする。僕は杖を手放すと、自身の魔力を使って魔法の手を出現させる。確かに魔力の流れにブレが少なく、魔力消費量軽減効果も魔力回復速度も上がっているのが実感できる。これほど装備で変わるのかと驚かされた。次は杖の魔力を使っての魔法を詠唱するが、さすがに杖の魔力回復効果はなかった。僕は杖の魔力を半分まで減らしたくて、白魔法による魔法の手の攻撃を繰り返し詠唱する。さすがにガシガシと魔力が減っていく。半分まで減ったところで詠唱を止め。僕の魔力を杖に送る。杖の魔力は一瞬と思えるほどの早さで再充填される。僕の魔力も数呼吸で回復された。この装備のときは杖より僕の魔力回復が早そう。この組み合わせでいこう。


 それにしてももう少し白魔法の消費量を減らせないものか……魔法の手を糸のように細くしてみるか。僕は目標に向かって詠唱。細くて見えにくいが魔法の手は出ているようだ。試しに木に絡みつけて、ホバーも詠唱し引っ張ってみる。細くても魔法の手が切れることはなかった。攻撃力の違いは硬い物に向けて試したいけど、王都で試すのは難しいかな?



「アスカ、ダンジョンには岩や石の壁はあるの?」


「はい、ありますよ」


「ダンジョンは気軽に行っても大丈夫?」


「下層へ降りなければ、危険な魔獣はいません」


「今度、魔法のテストに一緒に行ってくれる?」


「はい、喜んでお供します」



 アスカとの生活準備が落ち着いたら、ダンジョンに行ってみることにしよう。




 お風呂に入った後は、食堂で朝食となる。4人が揃って朝食を食べているので、僕は皆に聞いてみることにした。



「皆さん、教えて欲しいのですが。お手伝いさんはどのように探せばよいですか?」



 すると父上が答えてくれる。



「あまり信用のない人を家に入れる訳にもいかないので、人の紹介が間違いない。セイラさん、どなたかお知り合いを紹介いただけませんか?」


「はい、探してみます。ただ、2人はお隣のお屋敷なので、しばらくは食事はこちらで食べられて、お掃除は私がするのでいかがです?」



 僕はありがたい申し出だと思うが心配にもなる。



「それはとても嬉しく安心なのですが、セイラさんの負担になりませんか?」


「両方のお屋敷を毎日隅々まで掃除とはいきませんが、毎日掃除する場所と、数日に1回掃除する場所を分ければ可能だと思います。何せどちらのお屋敷も使っていないお部屋がほとんどですから(笑)」


「父上、ギルドへセイラさんを私たちの屋敷のお手伝いさんとしても雇うのは難しいでしょうか?」


「そうだな、2つの契約では不審に思われるかもしれん。やめておいた方がいい」


「そうなると、セイラさんへの報酬は僕個人からお支払いすればいいですね」


「いえいえ、滅相もない。両家からいただくなどいただき過ぎです」


「でも、それでは僕とアスカの気持ちが収まりません。何か受け取ってもらえませんか、お洋服やアクセサリーでも構いませんし」


「それなら、お二人の結婚式のときに着ていく洋服を一式プレゼントしてください。私もたまにはおしゃれをして出かけてみたくなりました」


「分かりました。それでしたら、アスカのウェディングドレスの仮縫いの時に、セイラさんも同行してもらって、ライザさんにお願いするのでいいですか?」


「本当にそこまでしていただいてもいいのですか?」


「はい、よろしくお願いします。それと今日は屋敷を見に行く予定なので、セイラさんも父上も屋敷の出入りの許可を出しておきます。様子を見に来てください」




 朝食を終えて、僕はリュックだけを担いでアスカと隣の屋敷へ行ってみた。確かに父上の屋敷より大きい。敷地も1.5倍はありそう。2人で住むには大き過ぎだ。アスカは僕と父上とセイラさんの入館許可を与えてくれた。2人できょろきょろ辺りを眺めながら屋敷に入る。父上の屋敷と作りは変わらない。1階はどの部屋も大きく作られているだけで、部屋数は変わらない。お風呂が大きいのは気分がいい。2階は部屋数が多いのもあるけど、大きな部屋もいくつかあった。



「アスカ、部屋はどうする?大きな部屋に一緒に住むか、別々の部屋に住んで、2人で過ごす部屋を別に用意するか」


「旦那様と一緒のお部屋がいいです」


「それなら、ここの大きな部屋を見てみよう」



 僕が部屋を開けると執務室だった。他の広い部屋も住まいというより仕事場に近い作りだった。小さな部屋は普通に個室なので、作業場とお手伝いさんのフロアという作りのようだ。



「アスカ、3階が住むためのフロアみたいだね。行ってみよう」


「はい」



 3階は大きな部屋ばかりだった。階段に近い部屋を開けると、立派な部屋だった。ベッドも大きく、事務机やソファーもある。簡単なドレッサーも置かれている。この部屋、静養所の部屋の作りに似ている。はっきり言ってお貴族様仕様の部屋だ。こんな部屋に僕とアスカが住んでもいいのかな?でもこの部屋にアスカと住めたら嬉しいな。



「どうかなアスカ、この部屋は?」


「はい、大変気に入りました。旦那様、このお部屋にしましょう!」


「うん、ではこの部屋で決定!」



 こうして2人の新しい部屋が無事に決まりました。


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