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名もなき少女から始まった、魔法士の系譜  作者: みや本店
3章 夢を紡ぐ2人編
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11話 家族会議

 侯爵家を後にして、伯爵家へ戻る。馬をお返しして、グリム様は伯爵様に今後のことが決まったら、またご挨拶に伺うと伝えて伯爵家を後にした。


 今日の予定をすべて済ませて、グリム様の屋敷へようやく帰ってきた。僕は部屋で着替えて居間へ行くと、グリム様が待っていた。しばらくするとアスカも降りてきて、3人で今後のことを話すことになった。



「まず、グラン。俺のことはこれから父と呼べ。俺もこれからは息子として扱う」


「はい、父上。これからもよろしくお願いします」


「うむ。それで、グランは俺のクランに入るか?昨日も話したが、俺のクランに所属しながら商売をしようが職人になろうが構わない。だが、それぞれのギルドに挨拶には行かなければならない」


「父上、私もクランの皆さんとダンジョンへ行きたいと思っています。アスカは心配をしているようですが、父上はどう思われますか?」


「俺は幼少のアスカを平気でダンジョンに連れていった。それに比べれば魔法が使えるグランならどれほど安全か。ただ、黒魔法士のリサには意見を聞いた方がいいな」


「リサ?……母の学生時代の先輩のリサさんですか?」


「ああそうだ。リサにもアグリさんのことを報告してやらねばならんな。今夜はグランの歓迎会を兼ねてリイサさんの店に行こう。セイラさん、リサに伝言をお願いします」


「はい、すぐに行ってきます」


「話しが横道にそれたな。では、グランはこのまま俺のクランに所属することで問題ないな」


「はい」


「グランの所属が決まったところで、次は結婚のことだ。2人はどうしたい?」


「私にはこだわりはないので、アスカの好きなようにさせてください。私は全面的に協力します」


「私もこだわりはありません。旦那様と夫婦になれればそれ以上は望みません」


「ウェディングドレスを着たり、神殿で式をあげたり、女性にはそういうのがあるのではないか?」


「いいえ、お父様。そんなお金があるのなら、新居の家具や日用雑貨の購入に使用したいと思います」


「父上、私はせめてアスカにウェディングドレスを着せてやりたいと思います。また、クランの皆さんには結婚のご報告はしっかりしたいと思います」


「2人して結婚式をする気はないのか……アスカはウェディングドレスを着て神殿で式だけはしなさい。アスカのご両親とアグリさんに申し訳がたたん。クランの皆とは式の後にリイサさんの店で報告することにしよう。ウェディングドレスはライザさんに相談すれば間違いないな。どうだアスカ、グラン、この段取りに異存はあるか?」


「はい、お父様の言われるとおりにいたします」


「よし、では結婚のこともこれでいい。最後はグランがダンジョンへ行くことだが、グランは何ができる?」


「父上、私はダンジョンの知識がまるでありません。魔法で攻撃をしたりはできますが、私だけができることとなると……最大の役目は荷物持ちだと思います」


「荷物持ち?どういうことだ?」


「私のリュックは、リュックの口を通るものならいくらでも物が入れられ、リュックがいっぱいになることがありません。もちろん取り出しも自由です」


「お父様、私も旦那様と旅した1月。食事でカルパスを食べたことはありませんでした。いつも温かいパンとお料理とスープ。ダンジョン内でもあの食事ができるのは大きなメリットです」


「グランの亡くなられたご両親が残されたリュックは、そんな魔道具だったのか……なるほど、それはありがたい話だな。他にも何かあるか?」


「うーん、お役に立つか分かりませんが、父上も経験された、母の移動方法は私でも利用可能です。例えば、クランの皆さんにホバーを詠唱して、疲れることなく高速に移動が可能です」


「ああ、アグリさんが森の木を掴んで高速移動していたあれか!クランの皆がグランにつかまれば全員で移動も可能か」


「はい、それはできると思います。それと母ほどではありませんが、魔法の手も出すことができます。どれほどの攻撃力があるかは知りませんが、少なくとも掴んだ敵を近くへ引き寄せたり、遠くへ追いやったりはできると思います」


「なるほど、それならリサと2人で後衛にいれば、ある程度は自分の身は守れそうだな。アスカはまだ心配か?」


「……大切な旦那様なのです。心配が尽きることはありません。でも危険になれば逃げていただくことは可能だと思いました」


「確かにな。だが、そもそもグランの危機にアスカが黙っているとも思えん。そうだろ?」


「はい、お父様。旦那様は私が必ずお守りします!」


「グラン、ずいぶんとアスカに愛されているようだな。こんなアスカは初めて見た」


「当たり前です、お父様。旦那様なのですから、何よりも大切にいたします!」


「ともかく、これまでの戦い方とはずいぶんと変わりそうだ。クランの皆も含めて作戦会議をしよう。テスト的にダンジョンへ行ってみるもいいかもしれん」


「父上、ダンジョンへ試しに行くことは、ぜひご検討ください。私も試したいことがいろいろあります」


「分かった。ガンズは難しいかもしれんが、マルスとリサは協力してくれるだろう。2人が無理でも、俺とアスカの3人でも問題あるまい」


「お父様、その前に旦那様の防具か魔法士のローブ?が必要です」


「魔法士の装備となると、やはりリサには相談してみないとな。明日は国務院へ行って結婚の手続き、その後ギルドへ行って結婚の報告と家の提供をお願いする。後はライザさんの店でウェディングドレスか。リサが同行可能ならゲイテさんのところで魔法士の装備もお願いしよう。アスカもミスリルで剣を作ってもらうのだろう?」


「はい、お父様。それと結婚指輪を作りたいと思います。どこへ行けば良いでしょうか?」


「さすがに俺にも分からん。ライザさんに聞けば教えてくれるだろう。ふーっ、ずいぶんと話し込んだな。のどが渇いた。そろそろリイサさんの店に行くとしよう」



 こうして4人でリイサさんの店?に向かった。


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