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名もなき少女から始まった、魔法士の系譜  作者: みや本店
2章 世界最強の剣士編
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51話 31階層からの帰還

 戦利品を拾い集めて、皆が集合する。



「アスカ、いいアドバイスだった。ありがとう」


「トカゲが目をパチパチしてた」


「アスカちゃんが皮の柔らかそうな部分を見つけたってことね、偉い偉い」



 リサがアスカの頭を撫でる。アスカはくすぐったそうにしていた。



「弱点は目とのど辺りか。攻撃はそれほど強力ではなかったから問題はない。だが、複数匹で襲われると厄介かもしれないな」


「今の陣形で挑むのが安全だと思います。俺とグリムが両脇から攻撃で、ガンズには他の数匹を足止めしておいてもらえば、何匹かの群れにも対処できるでしょう」


「了解、もう少し単体のリザードマンを討伐して判断しよう」


「了解」




 次のリザードマンを探して辺りを探索する。だが、見つかったのは別の魔獣。大きなカマキリのマンティスだった。俺は初めてみるその魔獣に危うさを感じる。攻撃は両腕の鎌による範囲攻撃と頭突きと噛みつきによるピンポイント攻撃が想定される。



「リサ!」



 リサの魔法が発動されて、マンティスの混乱が始まる。闇雲に両手を薙ぎ払う動きをする。



「俺が左手、マルスが右手、ガンズは中央で足止め優先で」


「了解」



 俺とマルスがタイミングを合わせて、マンティスの攻撃範囲に入り、手の攻撃を剣で受ける。手足が細いからか力強さはない。ただ、鎌は思ったより鋭く、ギザギザのある刃のような構造をしていた。切られると、ダメージは大きいだろう。中央のガンズは大盾を構えながら、隙を見つけては剣で突いている。ガード最優先のため、突きは様子見程度でダメージを期待はしていないが。俺は状況を打破するため、左手の鎌に剣の振り下ろしを加える。マンティスが気にする様子が見えた。俺に攻撃を加えようと右手を後ろへ大きく構える。この隙にガンズは首、マルスは右手の鎌を攻撃し始める。嫌がるマンティスは攻撃態勢を解き、後方へ下がろうとする。俺も左手の警戒をしつつ、本体としっぽのつなぎ目辺りに攻撃を集中する。するとマンティスが羽を広げて飛び立つ様子を見せる。羽に隠れていた腹部に薄っすら光る魔石を発見。すかさずマルスは全力で魔石を突き、光の粒に変わる。ようやく討伐完了だ。


 戦利品は2本の鎌。ただ、この鎌は金属でも石でもない、今までに手にしたことのない素材でできている。強いて言えば樹脂を固めたような素材だ。戦利品を回収して皆が集合する。マンティスの戦略についてガンズが話し始める。



「マンティスはグリムが中央だな。伸びるような突きはグリムが適任だ」


「了解だ。羽を閉じているときの固さは分からんが、攻撃を続けていけば傷もつけられるだろう」


「リサの魔法から討伐スタートですね。それで安定すると思います」


「了解です!」




 これで討伐対象を単体のリザードマンとマンティスにする。だが、次に会敵したのは赤いワーウルフだった。ワーウルフ用の陣形で討伐に問題はないが、この高速に襲ってくる魔獣が31階層にもいることが分かると、31階層の攻略難易度はぐっと上がることになる。俺は迷いもあり、一度休憩を取ることにした。



「31階層の探索を進めて、安全な岩場だけは探すか、もう30階層もしくは29階層にもどるか?」



 皆の様子を見ると、積極的に発言する雰囲気がない。もう疲れているのだろう。



「皆、疲れているようだ。今回の探索はここまでにして、地上へ戻ろう」



 皆がホッとした表情になる。そして皆がそろって。



「了解!」




 この後は時間は遅くなったものの29階層の安全な岩場まで戻った。翌日は水の準備をしてから出発した。そして4日後の夕方に地上にでる。全員で拠点に行き、風呂に入り、セイラさんも誘ってリイサさんの店に繰り出した。



「30階層のボス討伐お疲れ様でした。乾杯!」


「乾杯!」



 皆でグッと飲み干す。アスカはブドウジュースをちびちびだったが(笑)



「明日は、ギルド、ガデンさんの店、マイルさんの店に討伐の報告とピンクのクリスタルを見せに行く。兄上の許可も得られれば、そのまま兄上のところにも顔を出す。そして国王陛下に献上したいとお伝えしてもらう。10時にギルド前に集合で頼む」


「了解」



 各々が飲み食べ初討伐を大いに語った。そんな中、俺は皆に伝えておくことにした。



「リサが卒業するまで、クラン全員でダンジョンに行くのは休みにする。いいか?」


「ああ、リサもその方が落ち着くだろ。俺たちも引っ越しになるだろうからな」


「ギルド長、どんな家を用意してくれますかね?楽しみです」



 するとリサが心配そうに俺に聞いてきた。



「グリムさん、本当に私、一緒に住んでいいのですか?」


「当たり前だ、拠点に1人で住ませる方が心配だ」


「ありがとうございます。セイラさんもよろしくお願いします」


「はい、こちらこそよろしくお願いしますね」



 30階層のボスの討伐祝いのわりに、皆が落ち着いて酒を飲んでいた。このメンバーで酒を飲むのも慣れてきた。


 この後の数日はバタバタすることが予想されるが、すべての用事を済ませればリサが卒業するまでは時間が取れるだろう。アスカと2人でダンジョンに行ってみるのも悪くない。休養が待ち遠しい気分だった。


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