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名もなき少女から始まった、魔法士の系譜  作者: みや本店
2章 世界最強の剣士編
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49話 30階層ボス戦

 休暇の翌朝、各々が準備を済ませ28階層へ向けて出発する。今日は29階層の岩場に行くか、30階層の安全地帯に行くかは状況次第といったところだ。いずれにしても、明後日をボス戦に見据えている。28階層も敵との遭遇頻度が多かった。29階層の入り口に着いて少し遅めの昼食にした。


 食事を済ませるとすぐに出発した。29階層は地図まで作ったので、地形が分かる。俺は道からそれ、右手側を壁伝いにして進むことにした。これなら警戒するのは左半分で済むからだ。俺の予想通り、敵とはほとんど遭遇することなく、30階層の入り口に到着する。俺は念のため皆に確認した。



「29階層の岩場に野営するか?30階層の安全地帯に行くか?どうする?」



 皆が30階層へ進むことを選んだ。では出発!……だが、すぐに戻ってきた。安全地帯に着く前にボスを発見してしまったからだ。前回俺たちと戦った後、ボスは俺たちを追ってきたのかもしれない。29階層の岩場も何度も野営していたので、安心できる場所にはなっていた。ボス戦の前にかえってちょうど良かったかもしれない。




 食事をしながら俺は最終確認を始める。



「計画のとおり、俺は右手、ガンズは左手、マルスは左手への攻撃を中心に臨機応変に。リサは皆の指示で魔法を頼む。2刀の回転切りは1回転目は避けること。たぶん1撃で倒されるだろう。だから2刀の回転切り直前のリサの魔法はとても重要だ。2刀の回転切りは2回転目で俺とガンズで止める。その後がマルスのラッシュに期待だ。長丁場になることが予想される。体力が減ったら無理せずリサに頼ってくれ。リサは焦って詠唱しなくていいから、タイミングのいいところで魔法を頼む」


「いよいよ明日だな」


「はい、この日を待ち望んでいました」


「私もお役に立てるよう頑張ります」



 各々気合が入っている。今夜は早めに眠って、明日に備えるか。




 そしていよいよ決戦の日の朝がきた。皆、体調も気力も万全のようだ。朝食を済ませ腰のポーションも確認。剣も2本持ち準備万端。ガンズは大盾に剣と細剣の両方を装備させている。マルスも今回は細剣との2刀だ。よし、出発しよう!




 ボスは昨日の場所から動いていなかった。好都合だ、リサとアスカの立ち位置は、29階層の入り口まで近いから逃げやすいだろう。俺はリサとアスカにここで待機と指示。魔法が届くかを確認すると問題がないようだ。アスカの頭を撫でながら、アスカにも気合を入れた。その後は俺が右手を、2人は左手を目指して進む。前回の経験から胸を開かせるよう俺たちは少し距離を離している。俺たちが間合いに入ったところで、ボスの右の振り下ろしがきた。俺は剣で受ける。相変わらず重い。ガンズは左手振り下ろしに備えて構えていたが、マルスは隙を見ながら左手への攻撃を行っている。ボスが左手側を気にしたので、俺は左手に細剣を持ち、可能な限り突きまくった。ボスは仕方なく両手を上げて、両手を振り下ろす。この攻撃は力が入っていないので、受けた後の反撃が可能だった。俺は左手の細剣で突きまくる。左手側もマルスとガンズが突きまくっていた。ボスは2刀を平行に構える動作にはいる。「リサ!」リサへの掛け声に反応して、リサはすぐに魔法を発動。ボスは構わず2刀を振るがそんなものは当たらない。俺とガンズはお互いに駆け寄り、2回転目を2人で受ける。多少後ろに下げられたものの、これは2人にとっては想定内だ。マルスはすぐに近くにあった左足に集中攻撃を加えていた。ボスがマルスに打ち掛かろうとする。ガンズがすかさず盾を構えながらマルスのそばへ戻り、受けの体勢を取る。俺も自分の位置に戻り、右手に突きを加える。


 こんなことを何度繰り返しただろう?しかし、たとえボスといえどもダメージは蓄積していくのだ。ボスの変化は足に出た。マルスがしつこく攻撃していた効果がようやく出て、ボスは左ひざをつく。もうボスの振り下ろしに力は入らないだろう。俺は右手、ガンズは左手、マルスは左足に攻撃を加える。ボスは立とうとするが、俺たちの攻撃で立つことができない。そしてついにボスは左手の剣を手放し、片手を突いて立ち上がろうとする。ガンズはボスが捨てた大剣をリサの方へ大きく蹴り捨てた。リサもボスの様子を見つつ、大剣まで近づき、大剣を引きずって後ろの位置まで戻った。ボスは立ち上がれずにいる。ガンズの左手の攻撃に、マルスも加勢したからだ。そして俺の攻撃もようやく効果がでて、ボスは右の手から剣を落とす。もう握っていられなくなったのだろう。俺はここでようやく指示をだす。



「マルス、魔石を狙ってとどめを刺してくれ」


「了解」



 俺とガンズは腕の攻撃を気にしながらの攻撃だったが、マルスはもう全力攻撃で魔石近くを突きまくる。リサがマルスにヒールをかける。疲れを取ってやるつもりか?ナイスアイデアだ。そしてついにその時がきた。ボスの体が光の粒となり、まばゆいばかりに輝いた後に消えていった。俺たちはその場に座り込み、まずは息を整えた。リサはガンズと俺にもヒールをかけてくれた。あまり効果は無いようだったが、気持ちは嬉しい。アスカが駆け寄ってきて、俺に抱きついてきた。



「お父様、凄かった」


「ああ、父は頑張ったぞ。アスカも頑張ったな」



 汗でびっしょりだったがアスカを抱きしめた。そして今度は水筒を持って、リサが俺のそばへ来てくれた。



「お疲れ様でした。歴史に残る戦いをこの目で見れて嬉しいです」


「何を言ってる、リサも一緒に戦ったんだぞ。お前も歴史に名を残したんだ」


「はい、嬉しいです」



 俺はようやく落ち着いて立ち上がった。アスカを肩車して辺りを見回すと、薄いピンク色の大きなクリスタルが落ちていた。これが戦利品か?他も探してみたがこれだけだった。俺はクリスタルをマルスのところへ持っていき手渡す。



「見たことがないクリスタルです」


「これは国王陛下に献上しよう。ミスリルのお礼だ」


「そうですね、きっとこれは王国の宝になりますから」



 そして俺は右手を突き出し、マルスを立たせる。続いて横で座り込んでいるガンズも立たせる。



「今日はもう29階層の岩場に戻って休むことにしよう」


「了解」



 こうして念願の30階層のボスを討伐した。ヘロヘロの体で29階層に戻ったのはご愛敬だ(笑)


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