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名もなき少女から始まった、魔法士の系譜  作者: みや本店
2章 世界最強の剣士編
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47話 30階層を目指す1

 ダンジョンへ出発する朝、俺とアスカは早めに起きて日課の訓練をする。そして風呂に入る。朝食はセイラさんが用意してくれたので、皆で食べ始める。



「今回は20階層までを2日で、その後は2階層を1日かけるくらいの移動を考えている。どうだ?」


「リサは初めてだし、そのくらいのペースがいいだろう」


「そうですね、リサはワーウルフの対策はまだしてませんし」


「ワーウルフ?厄介な魔獣なんですか?」


「1匹1匹は大したことはないのだが、数匹が同時に攻撃してくる。動きも早い。リサは手を出さない方がいいな。リサに向かわれると厄介だ」


「了解しました」




 食事を済ませ、荷物の最終確認を終えれば、いよいよダンジョンへ出発だ。



「セイラさん、留守をお願いします」


「皆さん、お気をつけて。行ってらっしゃい」


「はい、行ってきます」




 ダンジョンへの門を通過し、ダンジョン入り口を通る。この辺は人も多いので、道を少し逸れながらガンズのペースで歩いて行く。初日は10階層、2日目は20階層で野営した。3日目からは警戒を強化しつつ先へ進む。予定では1日で2階層降りることにしていたが、予定より早く23階層まで来ていた。今のところリサにほとんど仕事をさせていない。前衛3人の調子が良いようだ。結局、3日目の野営は24階層入り口近くにした。



「リサ、24階層はともかく、25階層からは敵の強さのレベルが上がる。何かあれば逃げることも念頭にして行動してくれ」


「はい」



 アスカの様子も確認するが、普段と違う様子はない。



「アスカ、カルパスにジャムを塗ってやろうか?」


「うん、甘いのがいい」


「食べ終えたら一緒に寝ような。父も疲れた」


「はい、お父様」



 俺とアスカは早めに眠りについた。他の3人は少し酒を飲んでから寝るらしい。




 24階層に降りた。ここでヒヤリとしたことが起こった。5匹のワーウルフと戦っている間に、後方から1匹別のワーウルフが襲い掛かってきたのだ。リサはすぐに「ブラインド!」と詠唱。アスカはリサをかばうように前に立ち、ワーウルフを突進を横にそらしながら、剣で魔石を突く。正確に1撃で魔獣を倒した。ワーウルフは防御力が低かったのが幸いだった。戦闘を終え、リサたちのそばへ駆け戻って無事を確認した。



「リサもアスカも落ち着いて対処できたようだな」


「はい、ファイアを詠唱するか迷いましたが、火だるまの魔獣に襲われるのも嫌だなと思いました」


「アスカはどうだった」


「いつもと一緒。訓練と一緒だから」



 頼もしい娘だ。ミノタウロスの討伐後、アスカは何か掴んだのかもしれない。




 しばらく休憩した後、25階層に降りる。マルスを先頭に警戒しつつ進む。赤いヨツイとの戦いにはリサの魔法を使ってもらった。遠隔攻撃の精度が落ちるのは、気持ちがかなり楽になる。3人で来た時よりも安定感が増していて危なげなく26階層の入り口にたどり着くことができた。



「まだ時間は早いが進むか?それとも早めに野営するか?」



 皆の意見は進むだった。そのまま26階層に降りた。26階層では10人以上の一団が赤いヨツイと戦闘をしていた。少々危なっかしく感じる戦い方だ。俺はガンズを見たが、ガンズは首を横に振った。助けを求められない限り手は出さないらしい。しばらく見ていると、ヨツイの冷気の攻撃を前衛が避けると、後ろにいた前衛の控えに当たってしまう。焦った前衛が守ろうと無茶な突進をかける。しかしヨツイの冷気の餌食となる。前衛2人がやられて、もう体制は維持できまい。俺たち3人は駆けだして、ヨツイに突きを食らわせる。最後のガンズの突きで魔獣を倒した。



「早く治療してやってくれ」



 俺の言葉に白魔法士が駆け寄ってきて、2人の治療を始める。



「俺たちは先を急ぐので、これで失礼する」



 治療をしていない人たちは、俺たちに礼を言いながら見送ってくれた。




 26階層を進みながら、俺は皆に尋ねる。



「このまま27階層の水場まで行って、明日は水汲みと休暇にするか?それとも今日はこの辺の岩場で野営し、明日にのんびり27階層に向かい水汲みをするか?」



 皆はこのまま27階層の水場まで行くことを望んだ。少々到着は夜遅くになるが明日が休暇になるなら大丈夫か。




 26階層は敵も少なく順調だったが、27階層に入るなり、アンタイオスとの連戦になってしまった。だが、リサのお陰で前回よりも楽に討伐できた。目くらましはいい。その後も敵との遭遇頻度は多かった。だが、前回俺たちが27階層には長くいたこともあり、不安になるようなことはなかった。俺たちが落ち着いているので、リサとアスカも安心しているようだった。そしてようやく水場に到着する。大きい水筒を水の滴る場所に置く。するとリサが質問してきた。



「とりあえずはお湯を入れれば良かったのでしたね」


「そうだが、もしかして魔法が使えるのか?」


「水も火もありますあから、すぐですよ」



 俺たちは水筒の中身を捨て、空っぽの水筒をリサの前に並べる。


 リサは魔道具で火をつけた後、「ボイル!」と詠唱すると大雨のようにお湯が降り出す。リサは様子を見てもっと強い雨にする。すべての水筒にお湯が溜まって魔法が解除される。



「リサもシャワーと温風も使えるのか?」


「アグリさん式シャワーですね。アグリさんから教わったのでできますよ」


「29階層には大きな池があるのだが、魔獣が住んでて、池のほとりには行きにくい。リサがあの池から水が取れればシャワーが浴びれるな」


「私はアグリさんのように魔法の手からお湯を出したりはできないので、上から降らせるだけですよ。それと降らせているところを見ていなければならないので、皆さんはせめてパンツははいていてくれると嬉しいです」


「了解。30階層のボスを片付けたら褒美にしよう!」




 こうして水汲みに時間はかからなかったが、せっかくなので予定通り明日は休暇にした。


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